最初の愛車はシティ、同級生は日産党が多かった
1980年代初めにクルマの免許を取ったとき、首都圏の郊外の家に親と同居していて、そこから東京の大学に、ひと足先に免許を取得したモーターサイクルで通っていた。最初の愛車はホンダ・シティだった。
【復刻版カタログ】1980年代、「FF+ターボ」はフレッシュスポーツの象徴だった! シティ・ターボのニュースな実像(1982年)
同じ時代にトヨタはソアラを送り出して、早くも欧州のプレミアムブランドと戦う意志を示していたのに対し、ホンダは独創的なコンセプトやデザインでアピールするという存在だった。シティには、以前から興味があったヨーロッパの小型車に近い雰囲気もあって、惹かれていた。
同級生のクルマ好きは日産党が多かった。スカイラインやブルーバードがレースやラリーで培った走りのイメージは、この頃はまだ根強く残っていた。スタイルや走りから逞しさや骨っぽさを感じたことも、当時の友人に受けていたようだ。
大学を卒業して、まもなく自動車メディアに入った。ただしそこはRV、今で言えばSUVやミニバンを主に扱う雑誌で、取材で乗るクルマも多くがこのジャンルだった。
この世界には、ハッチバックやセダン、そしてクーペとは違う楽しさがあった。ジャンルそのものが生まれたてだったので、パッケージングやデザイン、メカニズムなど新鮮な提案が多かったのだ。中でもSUVは魅力的なモデルが次々に登場した。三菱パジェロ、トヨタ・ハイラックスサーフ、日産テラノなどだ。昔からジープやランドクルーザーなどで培ってきたオフロード性能を、扱いやすいエンジンとスタイリッシュなボディと組み合わせた姿は、とにかくフレッシュで新しい風を感じた。
1980年代後半、日本車は欧州車に負けない味を備えていた
この時代には、トヨタのAE86(カローラレビン/スプリンタートレノ)やホンダのワンダーシビック(3代目)など、手頃な価格で走りが楽しめるクルマはいくつかあった。ターボという新しいメカニズムも出てきていた。
でも自分の中では、操る楽しさはモーターサイクルで堪能していたこともあって、クルマはパッケージングやデザインに興味を持つようになった。この棲み分けは今も変わっていない。
1980年代も後半になると、バブル景気の後押しを受けるかたちで、トヨタ・マークIIなどのいわゆるハイソカーがブームになった。そしてトヨタ・セルシオが登場、日産スカイラインGT-Rが復活するなど、今も語り継がれるあの年がやってきた。
1989年、ボクは旧いクルマを扱う編集部に移っていて、新車の輸入車に乗る機会も増えていた。このとき生まれた日本車は性能が優れていただけではなく、独特の味もあって、遜色ないと思えるほどの存在に成長していた。
排出ガス規制や衝突安全対策が一段落したうえに好景気という追い風があったことは事実だが、1980年代はとにかく、クルマの楽しさをいろいろな角度で見せてくれた。ボクが古今東西のあらゆるジャンルに興味を持つことができているのは、この時代にカーライフをスタートできたことが大きいと感じている。
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