現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 40年前の日伊合作ボーイズレーサー[シャレード・デ・トマソターボ]は拍手喝采だったのか? 過去を20代の若者に伝えたい【リバイバルBESTCAR】

ここから本文です

40年前の日伊合作ボーイズレーサー[シャレード・デ・トマソターボ]は拍手喝采だったのか? 過去を20代の若者に伝えたい【リバイバルBESTCAR】

掲載 13
40年前の日伊合作ボーイズレーサー[シャレード・デ・トマソターボ]は拍手喝采だったのか? 過去を20代の若者に伝えたい【リバイバルBESTCAR】

 日伊合作車のシャレード・デ・トマソターボをご存じだろうか? パンテーラというスーパーカーを生み出したデ・トマソ社とダイハツのコラボレーションによって生まれたボーイズレーサーである。はたして、発売当時、どんなクルマだっただろうか? 

※本企画はベストカー1984年4月号のシャレード・デ・トマソターボ試乗記事(執筆は徳大寺有恒氏)から抜粋したものです

40年前の日伊合作ボーイズレーサー[シャレード・デ・トマソターボ]は拍手喝采だったのか? 過去を20代の若者に伝えたい【リバイバルBESTCAR】

文:徳大寺有恒、ベストカーWeb編集部/写真:ベストカー、ダイハツ

■なぜイタリアのスーパーカーメーカーのデ・トマソ社がなぜ?

1971年、デ・トマソ社とフォード社とのコラボレーションによって生まれたパンテーラ。写真は350ps/50.0kgmを発生するデ・トマソ・パンテーラGTS

 いままで、多くのクルマが○×とか凸凹感覚とか、いかにも一般大衆に受けようと、ヨーロッパ風デザインだとか、本物のアメリカンといったようにクルマをコーディネートし、いわゆるひとつの上べだけの“カッコ”だけを売り物にしていた感が恐ろしく強いが、今回シャレードターボのパリエーションに追加登場した“シャレード・デ・トマソターボ”はすごい。本物である。

 クルマはというと、シャレードターボのレギュラールーフをベースに、イタリアのエキサイティングカーを数多く手がけたヌオバ・イノセンテイ社の代表アレッサンドロ・デトマソ氏が直接参画したものであり、エアロパーツ、イタリアンブランドパーツを組み込み、まるで、日本生まれのイタリア育ちというクルマに仕上がっている。

1984年1月に発売されたシャレード・デ・トマソターボ。搭載された993cc直3ターボエンジンは80ps/12.0kgmを発生。車重は690kg

 では、このデ・トマソターボがノーマルのシャレードターボとどのくらいの違いがあるのかを紹介してみよう。まず、手はじめは外観だが、これがすごいのだ。一見すると“ドキッ”とするといっても過言じゃない。

 ボディのエアロチューンはCL値を向上させ、高速走行を一段とアップさせるスポイラーと一体の前後大型バンパー、サイドに張り出したストーンガード、そしてポディサイドにはサイドスカートをはじめ、超大型のサイドプロテクションモールが他のエアロパーツと一体、イタリアンエキサイティングミニというムードを漂わせている。

ベストカー1984年4月号より

 また、リアゲートにしても、パックドアスポイラーを装着することにより、リアピューもまんまイタリアンムード。気になる足はというと、ゴールドのカラーリングが施されたシャレード・デ・トマソターボ用のカンパニョーロ製の5J×14サイズのマグネシウム合金製ホイールに、なんとビレリP8(165/65R14)のラジアルタイヤが装着されているのだ。

 これだけでもわかるように、外観はかなりのシロモノ。ノーマルのシャレードターボに比べると、かなりしたたかと思わせてくれるのだ。



記事リンク









 









次の記事





[スープラ80]の発売当時はあまり評価されなかった!? 過去を20代の若者に伝えたい【リバイバルBESTCAR】















■MOMO製本革製ステアリングにバケットシートを装着したインテリア

MOMO製本革ステアリングやバケットシートを装着し、エクステリアと同じくレッド/ブラックのツートンカラーとしたイタリアンテイスト溢れる内装

 内装もかなりのイタリアンムードに溢れている。ステアリングホイールはMOMO製の本革製3本スポーク、ダッシュボードにしても、日本人の感覚では考えもつかない赤を使ったシャレたカラーコーディネイトがなされている。

 シートにしてもデ・トマソ仕様の少し硬めのバケットシートが採用され、並みのシャレードとはまるで違うクルマという印象を与えてくれる。

 リアシートにしても、サイドサポートを張り出させ、そのうえ、ハイバックとなっており、リアシートに座る人間に対しての気配りが充分に感じられるのだ。

赤/黒の2トーンカラーが眩しいシート

 このシャレード・デ・トマソターボの価格は123万円だが、もしノーマルのシャレードターボ(95万4000円)をデ・トマソターボ仕様にするとしたら、27万6000円の差額でここまでできるだろうか。おそらくパーツ単体を購入して作ったとしても、ここまでの仕上がりは望めないだろう。さすが、デ・トマソである。

1985年2月のマイナーチェンジでフロントマスクおよびリア回りのデザインを一新、フラッシュサーフェスフォルムを採用

■シャレード・デ・トマソターボが現代に復活する?

アウトビアンキA112アバルト(シリーズ7)。1985年式はフォグランプがバンパー埋め込まれる

 シャレード・デ・トマソターボが発売されたのは今から40年前だが、本企画担当ははっきり覚えている。ダイハツ製エンジンを積んだイノチェンティ・ミニにも憧れていたが、東京・世田谷区尾山台にあったJAXカーセールスに新車のアウトビアンキA112アバルトを見に行ったことがあった。当時新車価格が189万円と高額なため断念し、1年後に1984年式の中古を135万円で買った担当にとって、シャレード・デ・トマソターボの123万円という価格は衝撃だった。

1983年12月に発売されたイノチェンティミニ・デ・トマソ

 タコ足付き直4OHV1049ccで70ps/8.7kgm、車重710kgのA112アバルトに対し、シャレード・デ・トマソターボは993cc直3ターボで80ps/12.0kgm、車重は690kgと近しいライバル車であったからである。

 A112アバルトで池袋のダイハツディーラーに乗り付け、シャレード・デ・トマソターボに試乗させたもらったが、ヴォンヴォンという排気音と体感的な速さ(実際は遅い)はA112アバルトのほうが上。サソリの毒が体内に回っていた担当にとってはシャレード・デ・トマソターボは少々物足りなかった。

 とはいえ、シャレード・デ・トマソターボは高速域の伸びがよく、車格が上ということもあって乗り心地や後席の居住性は快適だった。なんといってもゴールドのマグネシウム合金のカンパニョーロアルミにMOMOステというだけで心躍ったものだ。

1984年10月にターボモデルを国際ラリー規格グループBに合わせて排気量を993ccから926ccへとダウンサイジングしたホモロゲーションモデル、シャレード926ターボを200台限定で発売。1985年のサファリラリーに初エントリーながら初優勝(グループAでも1-2フィニッシュ)

 後に限定200台のホモロゲモデルのシャレード926ターボ(76ps/11.0kgmを発生する993cc直3SOHCターボ)に試乗させてもらった時に、車重が690kgと軽いこともあって、シャレード・デ・トマソターボを含めてダイハツは偉大だと感心した。

 それから30年以上経った2017年と2018年の東京オートサロンに、ダイハツは、このシャレード・デ・トマソターボの実車を展示するとともに、このシャレード・デ・トマソターボを彷彿とさせるブーン・スポルトパッケージを出展。この時ばかりは色めきたったが、50を超えたおじさんにはさすがに購入を決意するまでにはいたらなかった。

2017年の東京オートサロンで発表された、シャレード・デ・トマソターボを彷彿とさせるブーン

 やっぱり本物が欲しいのである。ダイハツは2017年時点でシャレード・デ・トマソターボを中古車市場で探していたそうだが見つからなかったそうだ。

 改めて、大手中古車情報をサイトを検索してみたが、やはり初代シャレードデ・トマソターボの在庫車はなかった。ちなみに2代目シャレード・デトマソターボも、約98万円、約79万円と2台しかなかった。もし、中古車市場に流通したら、程度を見極めたうえで、買いたいと思っている。

■ダイハツシャレード・デ・トマソターボ主要諸元
ボディサイズ:全長3600×全幅1575×全高1390mm
ホイールベース:2320mm
車両重量:690kg
エンジン:CB50型993cc、直3ターボ
ボア×ストローク:76.0×73.0
圧縮比:8.0
最高出力:80ps/5500rpm
最大トルク:12.0kgm/3500rpm
10モード燃費:18.8km/L
サスペンション:前ストラット、後5リンク式SP
タイヤ:165/65R14ピレリP8
新車当時の価格:123.0万円

■歴代シャレード デ・トマソ年表
●1981年10月/第24回東京モーターショーにシャレードをベースにした「シャレード・デ・トマソターボ」を参考出品
●1983年10月/第25回東京モーターショーでも「シャレード・デ・トマソターボ」を参考出品
●1984年1月/東京モーターショーに参考出品した「シャレード・デ・トマソターボ」(初代デ・トマソ)を発売
●1985年2月/「シャレード・デ・トマソターボ」マイナーチェンジ
●同年6月/「シャレード・デ・トマソ・ビアンカ」を限定600台で発売
●同年10月/第26回東京モーターショーに2代目シャレードをベースにミドシップに改造したプロトタイプカー「シャレード・デ・トマソ926R」を参考出品
●1986年9月/「シャレード・デ・トマソリミテッド」を限定300台で発売
●1987年10月/第27回東京モーターショーに3代目シャレードをベースにした「シャレード・デ・トマソ」を参考出品
●1993年8月/「シャレード・デ・トマソ」(2代目デ・トマソ)を発売
●1994年8月/「シャレード・デ・トマソ・ビアンカ」を限定200台で発売

【画像ギャラリー】なぜスーパーカーメーカーとコラボ? 歴代シャレード・デ・トマソターボの写真をチェック!(25枚)

投稿 40年前の日伊合作ボーイズレーサー[シャレード・デ・トマソターボ]は拍手喝采だったのか? 過去を20代の若者に伝えたい【リバイバルBESTCAR】 は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

プジョーがまたも最速。トヨタ、ポルシェは虎視眈々、50号車フェラーリは7周のみ/WECバーレーンFP3
プジョーがまたも最速。トヨタ、ポルシェは虎視眈々、50号車フェラーリは7周のみ/WECバーレーンFP3
AUTOSPORT web
予選ヒートからペナルティ続発の波乱。勝者失格により南米王者モンテネグロが金メダル獲得/FIA MSG
予選ヒートからペナルティ続発の波乱。勝者失格により南米王者モンテネグロが金メダル獲得/FIA MSG
AUTOSPORT web
S4改め、アウディS5 アバントへ試乗 3.0L V6ターボのHVで367ps! 新デザインテーマの車内
S4改め、アウディS5 アバントへ試乗 3.0L V6ターボのHVで367ps! 新デザインテーマの車内
AUTOCAR JAPAN
24歳で手に入れ31年…「ミニ モーク」から「ミニ マーコスGT」に乗り換えた理由は…「増車するならまたクラシックミニですね」
24歳で手に入れ31年…「ミニ モーク」から「ミニ マーコスGT」に乗り換えた理由は…「増車するならまたクラシックミニですね」
Auto Messe Web
アストンマーティン、F1サンパウロGPスプリントは2台揃ってピットスタート選択。決勝へ向けた準備時間に当てる
アストンマーティン、F1サンパウロGPスプリントは2台揃ってピットスタート選択。決勝へ向けた準備時間に当てる
motorsport.com 日本版
日産、欧州向け小型EV開発へ 10年以上ぶり「Aセグメント」参入 ルノー子会社と協業
日産、欧州向け小型EV開発へ 10年以上ぶり「Aセグメント」参入 ルノー子会社と協業
AUTOCAR JAPAN
自身を批判する一部の人間に腹を立てるフェルスタッペン「僕はただパフォーマンスを発揮し続けるだけ」と気に留めず
自身を批判する一部の人間に腹を立てるフェルスタッペン「僕はただパフォーマンスを発揮し続けるだけ」と気に留めず
AUTOSPORT web
初PPのapr LC500h、先輩・小高からの“愛のあるLINE”で新人・中村も気が引き締まった?「明日は普通に走ることが目標です(汗)」
初PPのapr LC500h、先輩・小高からの“愛のあるLINE”で新人・中村も気が引き締まった?「明日は普通に走ることが目標です(汗)」
motorsport.com 日本版
誰が高速道路を「逆走」しちゃうの? 矢印読めないの? 事故件数“危険レベル” 対策どうなってるのか
誰が高速道路を「逆走」しちゃうの? 矢印読めないの? 事故件数“危険レベル” 対策どうなってるのか
乗りものニュース
水平対向エンジン搭載! 新型「2ドア“クーペ”」公開! ド迫力ワイドボディ&ツインターボでめちゃ楽しそう! 900馬力超えの「P39 40SE」英国に登場
水平対向エンジン搭載! 新型「2ドア“クーペ”」公開! ド迫力ワイドボディ&ツインターボでめちゃ楽しそう! 900馬力超えの「P39 40SE」英国に登場
くるまのニュース
ハミルトン、セナの戴冠マシン『MP4/5B』でデモランへ「ここでドライブできるなんて思いもしなかった」
ハミルトン、セナの戴冠マシン『MP4/5B』でデモランへ「ここでドライブできるなんて思いもしなかった」
AUTOSPORT web
BMW、大型ハイパーネイキッド『M1000R』の最新モデルを公開。同時発表の『S1000R』は5馬力アップ
BMW、大型ハイパーネイキッド『M1000R』の最新モデルを公開。同時発表の『S1000R』は5馬力アップ
AUTOSPORT web
1960年代風の「レトロなスポーツカー」発売へ 500馬力V6に "リトラ" 採用! ベルトーネ新型「ランナバウト」公開
1960年代風の「レトロなスポーツカー」発売へ 500馬力V6に "リトラ" 採用! ベルトーネ新型「ランナバウト」公開
AUTOCAR JAPAN
ブガッティ「W16ミストラル」は巨大台風並みの強い風力を活用! オープンエアで最高速420キロの世界を楽しめるハイパーカーの空力はどうなっている?
ブガッティ「W16ミストラル」は巨大台風並みの強い風力を活用! オープンエアで最高速420キロの世界を楽しめるハイパーカーの空力はどうなっている?
Auto Messe Web
3年ぶりポールの64号車Modulo、ドライの決勝にも期待する声。「今年はテストの調子のままで来れている」とHRC
3年ぶりポールの64号車Modulo、ドライの決勝にも期待する声。「今年はテストの調子のままで来れている」とHRC
motorsport.com 日本版
F1コラム:標高2240メートルでの過酷なレース。高地のコンディションがドライバーとチームメンバーにもたらす困難
F1コラム:標高2240メートルでの過酷なレース。高地のコンディションがドライバーとチームメンバーにもたらす困難
AUTOSPORT web
新型『イプシロン・ラリー4』投入の名門ランチア、イタリア王者の賞典で2026年からのERC参戦を表明
新型『イプシロン・ラリー4』投入の名門ランチア、イタリア王者の賞典で2026年からのERC参戦を表明
AUTOSPORT web
マツダのコンパクトSUV「MX-30」が進化! 遊び心ある「おしゃれな特別仕様車」を新設定 “大きなディスプレイ”が鎮座する新コックピットも注目です
マツダのコンパクトSUV「MX-30」が進化! 遊び心ある「おしゃれな特別仕様車」を新設定 “大きなディスプレイ”が鎮座する新コックピットも注目です
VAGUE

みんなのコメント

13件
  • ******
    ほとんど現存してない一台
    着いてるパーツ考えれば仕方ないんだが、同じ金額でテンロククラス買えたからね
  • zvw********
    「アンチな、ターボ」とか「Rock'n ディーゼル」が懐かしい
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

106.3115.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

79.0125.0万円

中古車を検索
シャレードの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

106.3115.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

79.0125.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村