<欧州の電気自動車市場は4年で4倍に成長した>
VWグループが2030年に欧州におけるエンジン搭載車の販売を終了させるというニュースが出ています。日本ではマイルドハイブリッドを搭載した(つまりエンジン搭載車の)ゴルフ8の洗練された走りが自動車エンスーの間で話題ですが、グローバルではそんな無邪気な反応をしている場合ではないのかもしれません。
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日本市場だけを見ていると気づきませんが、世界の電気自動車マーケットは急拡大しています。欧州の調査会社JATOダイナミクスのレポートによると、2021年第一四半期の電気自動車マーケットは73万台規模となっています。これは2017年通年での販売スケールと同等ですから、わずか4年で市場規模が4倍に成長しているわけです。
※AVLの記事(https://www.jato.com/q1-2021-ev-global-sales-at-the-same-level-as-2017-full-year-figures/)
<電気自動車販売台数トップの中国を欧州が猛追し始めた>
その成長を支えているのは電気自動車のリーディングカンパニーであるテスラではありません。グローバルな電気自動車セールスで25%と圧倒的なシェアを持っているテスラも、今や他社に追撃されている状況で、その一番手がフォルクスワーゲングループなのです。
2021年第一四半期の電気自動車マーケットにおけるVWグループのシェアは8%で、ディーゼルゲート(ディーゼルエンジンに関する不正事件)以降、電気自動車シフトを急激に進めてきたとはいえ、VWグループが実質的に電気自動車の量産へシフトしたのは2020年からと、その成長速度は急激としか言いようがありません。
とくに欧州ではものすごい勢いで電気自動車の販売台数が増えています。今のところ電気自動車の販売台数世界トップは中国が圧倒していますが、ドイツ、イギリス、イタリアなどは前年比で3~4倍というペースで電気自動車市場が拡大しているのです。
<欧州は本気で9年後の“エンジン搭載車卒業”を目指している>
こうした状況を見る限り、2030年(つまり9年後)には欧州でエンジン搭載車を販売しないというのは、まっとうな経営判断であって、環境志向をアピールするためのセールストークなどではありません。おそらくVWグループは本気で、少なくとも欧州市場においてはエンジン搭載車から卒業するつもりです。
さらに言えばFCAとPSAが合併したステランティスはグローバルの電気自動車シェアにおいて4.8%で4位のポジションにつけています。ルノー日産アライアンスも4.5%のシェアを有しています。欧州メーカーは全般的に電気自動車シフトを進めているのです。
<化石燃料インフラの淘汰が始まった後では遅いかもしれない>
こうなるとドイツやフランス、イタリアなどの欧州自動車大国では給油スタンドなどの化石燃料インフラが一気に淘汰されるという未来も現実味を帯びてきます。一方で、充電インフラはどんどん整備されるはずです。
そのときになっても「発電や製造も含めたトータルなCO2排出量で考えると、ハイブリッド車のほうが環境負荷は小さい」と一部の日系メーカーがアピールしても、時すでに遅しということになるかもしれません。電気自動車が一定の割合を超えた段階で、インフラなどの利便性でもエンジン車を上回ってしまう可能性が高いのではないでしょうか。
環境負荷の高まりなどからシェアカーなどが増加する未来には、自動車の生産台数そのものが絞られ、それは自動車メーカーの淘汰の始まりも意味するはずです。電気自動車は単なるカーボンニュートラルの手段ではなく、どのメーカーが生き残ることができるかを左右するプロダクトになっているのかもしれません。
文:山本晋也(自動車コミュニケータ・コラムニスト)
※写真
1枚目:VWが向こう10年分、140億ドルのバッテリーを発注したスウェーデンのノースボルト社
2枚目:新型ゴルフ GTI
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