一気に進み始めたEVシフト
執筆:Kenji Momota(桃田健史)
【画像】どんなクルマに?【開発すすむ次世代EVコンセプト4選】 全100枚
編集:Taro Ueno(上野太朗)
このところ、自動車メーカー各社から相次いで新型EVが発表されている。
例えば、日産は今冬、新型EV「アリア」を発売する。「リーフ」をひと回り大きくしたサイズ感のクロスオーバーSUVだ。
軽自動車クラスの新型EVについても、日産は三菱との共同開発車を日産/三菱それぞれのブランドから2022年度初頭に国内販売することが明らかにされている。
また、トヨタとスバルはコンパクトSUVクラスの四輪駆動EVを共同開発し、「bZ4X」と「ソルテラ」を2022年に発売予定だ。
そのほか、欧米ではEV義務化の方針を打ち出すなど、このところグローバルでのEVシフトが目立つようになってきた。
とはいっても、EVの販売台数はガソリン車やハイブリッド車に比べるとかなり少ないのが実状で、多くの人にとってEVはまだ特殊なクルマという存在であり、または未来のクルマというイメージを持っていると思う。
そんなEVはいつから存在しているのか? これまでEVに関してどのような経緯があったのか?
EVの歴史を振り返ってみることで、これからのEVがどのように普及する可能性があるのが見えてくるかもしれない。
まずは、最初のEVブームについてみていこう。それはなんと、今から100年以上も前のことだった…。
最初のEV 100年以上も前に?
ところはアメリカのニューヨーク・マンハッタン。時代は1900年代初頭である。
マンハッタンには、欧州などから新天地を求めて多くの移民が押し寄せていた。
今のような超高層ビル群は当然ないが、それでもレンガ造りのビルが立ち並ぶ都会であった。
マンハッタンは湾岸エリアにある大きな中洲のような場所のため、地面の高低差が少ない。また、大通り(アベニュー)と、それと直角に交差する小道(ストリート)で構成さえる、いわゆる碁盤の目の都市計画がおこなわれた。
その中の交通手段は、馬車や自転車が主流で、欧州から渡ってきたガソリン車は富裕層の乗り物として存在するのみだった。
そのほか、タクシーが普及し始めていたが、なんとその多くがEVだったのだ。
タクシーの事業所には充電ステーションもあった。
なぜEVタクシーだったかといえば、ガソリンエンジンの開発がまだ初期段階であり、またガソリンの品質が安定しなかったため、毎日定期的に走行するタクシーでは事業効率が低かったからだ。
そこで、すでに工業部品として世の中に出回っていたモーターを活用した車が考案されたのだ。
GMやフォードなど、自動車メーカーが近年のEVシフトに関する資料を公開する際、EVの原点として、そうした1900年代初頭のマンハッタンの風景を移した画像を紹介することが多い。
日の目を見ずに塩漬けに……
1900年代初頭のEVタクシーは徐々に姿を消していく。
最大の理由は、フォードT型の登場だ。
クルマが、富裕層向けから大衆向けに大きくシフトしたのだ。
フォードT型の影響を受けて、ガソリンエンジンとガソリン燃料の研究開発が一気に進み、量産効果によって関連部品のコストが一気に下がった。
一方、EVはガソリンエンジン車の普及の中で、取り残されていってしまう。
時代は進み、第二次世界大戦が終わって1950年代入ると、アメ車のトレンドは、より大きく、より速く、よりゴージャスにという路線が強調されていく。
こうしたトレンドに、EVは、ハマらなかった。
アメリカのイケイケ路線は、60年のマッスルカーに代表されるような大排気量化の道を進む。
また、欧州でもアメリカほどではないが、大衆車の大型化が進み、EVが登場する余地はなかった。
こうした状況が70年代に入ると大きく変わる。
世界的に排気ガスによる公害が社会問題となり、アメリカのマスキー法に代表される厳しい排気ガス規制が始まる。さらに、オイルショックによってガソリン価格が上昇したり、ガソリンの供給不足に陥った。
こうした状況を打破しようと、1900年初頭から約70年ぶりに、EVの研究開発が欧米や日本で表舞台に出てきた。
ところが……。
歴史はあるが歩みは遅かった?
70年代に、未来のクルマとして自動車メーカーが大学などでEVコンセプトモデルが次々と登場し、またEVバスの実証試験などもおこなわれた。
しかし、当時のバッテリーは鉛バッテリーで、充電効率が悪く、重量が重く、さらにバッテリー内部の液体の臭いも影響して、本格的な量産には至らなかった。
さらにそれから20年近く経った、1990年に米カリフォルニア州がゼロエミッションビークル規制法(ZEV法)を施行し、トヨタ、ホンダ、日産などもEVを限定的に量産した。
だが、ZEV法の規定が燃費効率の良いガソリン車も対象とする方向に転じたこともあり、メーカー各社のEV開発がストップしてしまう。
それからさらに20年近くが経った2009年、日産「リーフ」と三菱「アイミーブ」が登場する。
実は、この2モデルが大手自動車メーカーが本格的に大量生産した初めてのEVだったのだ。
つまり、1900年代初頭のマンハッタンEVタクシー時代から数えて、100年以上経って、やっとEVは日の目を見たことになる。
EVの歴史は100年間あっても、その実態は1970年、1990年という節目での小さなブームがあったに過ぎない。
本格的なEVのスタートポイントは2010年代に入ってからであり、まだまだ日が浅いのが現実だ。
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みんなのコメント
ようやく、代替動力から本来の動力源に戻る時代になったわけだ。
めでたい。