現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 播磨のHじゃない「IHI」! ホンダF1もフェラーリF40もお世話になった会社だった

ここから本文です

播磨のHじゃない「IHI」! ホンダF1もフェラーリF40もお世話になった会社だった

掲載 更新 36
播磨のHじゃない「IHI」! ホンダF1もフェラーリF40もお世話になった会社だった

 この記事をまとめると

■ターボエンジンのタービン製造を担っている「IHI」について解説

クルマによってタコメーターの数字が異なる! 「回るエンジン」と「回らない」エンジンの違いとは

■海外にも大手メーカーはあるがIHI製タービンの信頼は絶大だ

■F1やスーパーカー、チューニングメーカーにも採用されている実績がある

 工業製品ならなんでもお任せな「IHI」はタービン製造の老舗だ

 日本が世界に誇る重工業メーカーといえばIHI。古くは「石川島播磨重工業」だったのだが、IHIのHはじつは播磨じゃない、ヘヴィー・インダストリーだという、そんな公式ツイートが昨年末、話題になった。

 ちなみにIHIの最初のIは、当然「石川島」。『鬼平犯科帳』の読者ならおなじみ鬼平こと長谷川平蔵が、罪を犯した小悪党に向かって「石川島の忍足寄場で懸命に勤めてまいれ」と促す、あの江戸の埋立地だ。石川島は17世紀としては進歩的なアイディアから整備された東京湾で最初期の埋立地で、今日の湾岸のハシリといえる。

※写真は石川島造船所の跡地周辺

 というわけでIHIの前身は、明治の富国強兵の頃から軍艦や商船、発電所や機関車を造る国策企業で、日清・日露の戦時特需で得た利益が自動車や航空機部門に再投資された。それ(とくに前者)が、いすゞ自動車のルーツとなったのだ。いわばインフラ施設に始まって陸海空の動力機関を動かすため、大小に関わらずタービンを回すのはお家芸というわけだ。

 戦後、クルマの世界で何よりIHIの名を上げたのは、バブルもたけなわの頃。第2期ホンダF1のテクニカルパートナーとして1984~1988年にエンジンの出力向上のカギそのものであるターボチャージャーを供給し、1988年の16戦15勝という、ほぼほぼ完全制覇に貢献したのだ。

 しかもその技術と信頼性はサーキットだけにとどまらなかった。同時期に公道を走れるレーシングカーと称されたフェラーリF40にも、IHIのターボチャージャーが採用されたのだ。当時も今も、世界中でターボチャージャーのサプライヤといえば、アメリカのハネウェル傘下に入ったギャレット、ボルグワーナーに吸収されたKKK、そしてIHIと同じく日本の重工業メーカーの雄、三菱重工が有名だったが、ターボ技術華やかなりし時代、IHIは名実ともに頂点に立ったのだ。ついでにいえば、ブガッティEB110が装備していた4基のターボチャージャーもIHI製だった。

 世界規模で見てもタービン製造のパイオニア的存在

 ホンダF1との関係はつい最近、2020年シーズン初めまで続いたが、フェラーリとの関係は現在進行形で続いている。というのも、フェラーリ・カリフォルニアTからポルトフィーノ、488GTBやピスタにF8といったV型8気筒の系譜は、こぞってIHIのターボチャージャーを採用してきた。

 IHI製ターボチャージャーの数ある強みのひとつは、インペラにインコネルニッケルクロム合金ではなく、TiALと名づけられたチタンアルミナイド材料を用いている点だ。材料費は高いが慣性を30%以上も抑え、しかもインペラ自体、鋳造でなくマシニングによる削り出しで、フローティングメタルベアリングではなくボールベアリングを介して取り付けられているという。ラグの少なさ・レスポンスよさで秀でるのだ。

 しかも最新のハイブリッドV8ツインターボである296GTBに採用されたIHI製ターボチャージャーでは、より高性能の合金に進化。タービン自体の最大回転数は18万rpmにも上るとか。

 ダウンサイジングやバリアブル・ジオメトリー・ターボがガソリンでもディーゼルでも常識化した今や、IHIのターボは高性能なスーパーカーに限らず、VWゴルフのような欧州車、ダイハツ・タントのような軽自動車にも積まれている。現在ではIHIのターボは自動車メーカーへのOEM供給だけでなく、ここ数年はサードパーティのチューニング・パーツとしても販売され、ますますその裾野を広げている。そればかりか、FCV(燃料電池車)用の電動ターボも手がけるなど、未来へのソリューション・テクノロジーとしても注目されており、やはりターボなくして脱炭素化は無さそうな気配すら漂ってきているのだ。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

ラリージャパンで競技区間進入の一般車、スタッフの制止振り切り検問突破していたことが明らかに。実行委員会は被害届を提出予定
ラリージャパンで競技区間進入の一般車、スタッフの制止振り切り検問突破していたことが明らかに。実行委員会は被害届を提出予定
motorsport.com 日本版
ラッセル、予想外のポールポジションに歓喜。コースイン遅らせる判断が奏功「フロントロウの自信はあったけどね!」
ラッセル、予想外のポールポジションに歓喜。コースイン遅らせる判断が奏功「フロントロウの自信はあったけどね!」
motorsport.com 日本版
中型トラックの枠を超えた「超過酷仕様」!フォード レンジャー スーパーデューティ、2026年発売へ
中型トラックの枠を超えた「超過酷仕様」!フォード レンジャー スーパーデューティ、2026年発売へ
レスポンス
なんじゃこの「付け髭」感! デザイナーの意思をガン無視した「5マイルバンパー」はアリかナシか?
なんじゃこの「付け髭」感! デザイナーの意思をガン無視した「5マイルバンパー」はアリかナシか?
WEB CARTOP
超イケてる新型ムラーノをデザインのプロが分析! 個性を主張する「デジタルVモーション」の使いすぎには要注意
超イケてる新型ムラーノをデザインのプロが分析! 個性を主張する「デジタルVモーション」の使いすぎには要注意
WEB CARTOP
女性チームのアイアン・デイムスがポルシェにスイッチ。LMGT3初年度はランボルギーニを使用
女性チームのアイアン・デイムスがポルシェにスイッチ。LMGT3初年度はランボルギーニを使用
AUTOSPORT web
角田裕毅、ラスベガスで躍動し予選7番手「ミスター・ガスリーには離されたけど……アタックには満足。良いフィードバックもできている」
角田裕毅、ラスベガスで躍動し予選7番手「ミスター・ガスリーには離されたけど……アタックには満足。良いフィードバックもできている」
motorsport.com 日本版
まるで「“ミニ”フェアレディZ」!? 全長4.1mの日産「コンパクトクーペ」が斬新すぎる! 短命に終わった「NXクーペ」とは?
まるで「“ミニ”フェアレディZ」!? 全長4.1mの日産「コンパクトクーペ」が斬新すぎる! 短命に終わった「NXクーペ」とは?
くるまのニュース
【ラリージャパン 2024】開幕!! 全行程1000km、SSは300kmの長く熱い戦い
【ラリージャパン 2024】開幕!! 全行程1000km、SSは300kmの長く熱い戦い
レスポンス
「日産 GT-R  プレミアム エディション Tスペック」は、諦めない!不屈の国産スポーツカー、未だ一級品の証し【新型車試乗】
「日産 GT-R プレミアム エディション Tスペック」は、諦めない!不屈の国産スポーツカー、未だ一級品の証し【新型車試乗】
Webモーターマガジン
AM放送が聴けない「電気自動車」が数多く存在! FMラジオは搭載されているのになぜ?
AM放送が聴けない「電気自動車」が数多く存在! FMラジオは搭載されているのになぜ?
THE EV TIMES
ヤマハがNetflixアニメ用に未来のレースマシン「Y/AI」をデザイン、実物大モデルも
ヤマハがNetflixアニメ用に未来のレースマシン「Y/AI」をデザイン、実物大モデルも
レスポンス
”第2の波”を生んだ挑戦者、それはレズニー傘下で喘ぐamtだった…!【アメリカンカープラモ・クロニクル】第39回
”第2の波”を生んだ挑戦者、それはレズニー傘下で喘ぐamtだった…!【アメリカンカープラモ・クロニクル】第39回
LE VOLANT CARSMEET WEB
今週、話題になったクルマのニュース4選(2024.11.23)
今週、話題になったクルマのニュース4選(2024.11.23)
@DIME
レッドブルのペレス、今季6度目の予選Q1敗退。3戦続けてRBの角田&ローソンに敗れる「マシンに根本的な問題がある」
レッドブルのペレス、今季6度目の予選Q1敗退。3戦続けてRBの角田&ローソンに敗れる「マシンに根本的な問題がある」
motorsport.com 日本版
トヨタ「コンパクトSUV」なぜ消滅? “全長3.9m”級の元祖「ヤリスクロス」的存在な「ヴィッツSUV」に注目! 14年で幕を閉じた「ist」とは?
トヨタ「コンパクトSUV」なぜ消滅? “全長3.9m”級の元祖「ヤリスクロス」的存在な「ヴィッツSUV」に注目! 14年で幕を閉じた「ist」とは?
くるまのニュース
シャープでクールなNEWグラフィック! SHOEIが「NEOTEC 3」の新たなグラフィックモデル「ANTHEM」を発売
シャープでクールなNEWグラフィック! SHOEIが「NEOTEC 3」の新たなグラフィックモデル「ANTHEM」を発売
バイクのニュース
ラリージャパン唯一の女性ドライバー、平川真子が意気込み。兄・亮に「クラス優勝をするところを見てほしい」
ラリージャパン唯一の女性ドライバー、平川真子が意気込み。兄・亮に「クラス優勝をするところを見てほしい」
AUTOSPORT web

みんなのコメント

36件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2450.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

1450.02180.0万円

中古車を検索
カリフォルニアTの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2450.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

1450.02180.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村