■ニューヨークモーターショー2020が延期 日系メーカーへの影響は
コロナショックが、自動車産業に大きな影響を与え始めています。2020年3月10日(現地時間)、ニューヨークモーターショーの主催者は、今年のショー開催期間を当初予定の4月から4か月半遅らせて、8月28日から9月6日の会期へ延期すると発表しました。
【画像】いつ公開? シビック顔ミニバンに大変身! 全長5mのホンダ新型「オデッセイ」
理由は新型コロナウイルスへの対策で、ニューヨーク州は現地時間3月7日に州内の感染者数が76人となったことを公表するとともに、非常事態宣言を発令しています。日本の自動車産業への影響は、どれほどの規模となるのでしょうか。
今回の延期決定により、日系メーカーを含む自動車メーカー各社は、販売体制の大幅な見直しを迫られています。
例えば、ホンダは新型モデルの北米版オデッセイを発表する予定でした。日本で販売されるモデルと違い、全長が5メートルを超え、パワートレインは3.5リッターV型6気筒エンジンが搭載されるビックサイスミニバンです。
近年の北米市場は、セダンからSUVへのシフトが大きく進んでいますが、“サッカーマム”と呼ばれる家庭の主婦が子どもの送り迎え用として使うオールマイティなクルマとして、オデッセイには絶大な人気があります。
北米のホンダディーラーにとっても、7月からイヤーモデルチェンジ期を迎えるこの時期に、モーターショーで新型を展示できないのは、2020年の売り上げに大きく響きます。
アメリカはホンダにとって最大の稼ぎ頭です。アメリカでのつまづきは、巡り巡って日本市場への影響を及ぼします。
マツダにとっても、ニューヨークショー延期は痛い。なぜならワールド・カー・オブ・ザ・イヤーの最終発表がおこなわれる予定だったからです。
ファイナリストはマツダの「CX-30」、「マツダ3」、そしてキア「テルライド」の3台。マツダが最終受賞する確率はとても高いといえます。
ファイナリスト発表はジュネーブショー中止でネット上のみでしたが、最終発表もネット上のみとなる可能性が高くなりました。
もしマツダが受賞する場合、2020年で創業100周年を迎えたマツダとしては、ニューヨークの華々しい場で受賞トロフィーをつかみたかったはずです。
マツダの世界戦略において、大きな悩みが北米事業の伸び悩みです。数年前から、北米戦略を大幅に見直しており、その成果が徐々に出始めています。
そうした時期に出鼻をくじかれるような今回の事態は、ホンダと同様、日本市場へも影響が出ると考えられます。
2020年3月11日時点で、アメリカで非常事態宣言を発令している州は、ニューヨーク州のほか、カリフォルニア州など全米50州のうち7州。カリフォルニアはアメリカでもっとも自動車販売台数が多い州です。
アメリカでの新車モデルイヤーが切り替わる前、3月から5月は期末決算セールの時期にあたります。
日本より遅れて流行し始めたアメリカにおけるコロナウイルスの影響はこれから、自動車産業に大きなマイナス要因となることは間違いありません。
■6月開催のデトロイトモーターショーにも影響か?
アメリカの自動車業界において、ニューヨークモーターショー延期の影響を受けそうなのが、2020年6月開催となるデトロイトモーターショー(正式名称:北米国際自動車ショー)です。
デトロイトモーターショーは、2019年までは1月に開催されてきました。
しかし、近年はCASE(コネクティビティ、自動運転、シェアリングなどの新サービス、電動化)の影響で、新しいクルマの技術発表の場として、同じく1月開催のラスベガスでのCES(コンシューマ・エレクトロニクス・ショー)にお株を奪われ、大幅に衰退してしまいました。
そこで、2020年からは開催時期を6月へ変更し、さらには音楽コンサートや技術系シンポジウムなどを併催するまったく新しい形式に生まれ変わろうとしています。もちろん、GM、フォード、FCAのお膝元として、主力車種の世界発表も計画中です。
そうなると、8月に移行するニューヨークモーターショーが色あせてしまいそうです。従来は、1月のデトロイトモーターショーで発表しきれなかった、パフォーマンス系やラグジュアリー系のクルマがニューヨークモーターショーに登場するという流れでした。
ニューヨークショー延期によって、日系メーカーを含めて自動車メーカー各社は、デトロイトショーでの発表内容を変更する可能性もあります。
その影響はとくにSUVにおいて日本市場にも及ぶと考えられます。アメリカ市場では、7割がSUVとピックアップトラックを占めます。例えばトヨタ「RAV4」のように、まずアメリカ市場へ導入してから、日本市場へ導入して、結果的に成功を収めたケースがあります。
コロナウイルスは、さまざまな観点から自動車産業に大きなインパクトがあるといえます。
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