ボルボ V60 「ボルボの強みであるステーションワゴンの進化形」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西村 直人
西村 直人(著者の記事一覧
交通コメンテーター
評価

4

デザイン
4
走行性能
4
乗り心地
3
積載性
5
燃費
2
価格
3

ボルボの強みであるステーションワゴンの進化形

2022.7.21

年式
2018年9月〜モデル
総評
ボルボはSPAと呼ぶ新世代プラットフォームにより現在のラインアップをそろえる。大きなボディから中間のV60/S60、そして小さなXC40までを包括する。また、プラグインハイブリッドやBEVモデルへの対応もプラットフォームを部分的に変更することで対応可能。こうしたマルチなパワートレーンへの対応がボルボのブランドイメージを高めている。V60は日本に最適な一台だ。
満足している点
日本市場で取り回しのしやすいボディサイズと、端正なデザインと広大なラゲッジルームの組み合わせ。ここが最大の特徴で満足度が高まる点だ。北欧スカンジナビアデザインと称される、淡い色合いと木目を組み合わせたインテリアも評価が高い。すでに導入から5年目を迎えたが、未だその魅力は色あせていない。
不満な点
縦長のセンターディスプレイは初期モデル、すなわち2018年モデルではバグがあり、試乗車での取材中も何度かフリーズしてブラックアウト→再起動という事態に見舞われたことがある。走行そのものに支障をきたすことは一切ないが、車内環境の多くはこのセンターディスプレイにタッチすることで操作するので、使い勝手を損なってしまうこともあった。現在、バグの一切は修正済だ。
デザイン

4

V60はフェイスデザインからして端正だが、こうしたスマートなデザインからは想像ができないほどラゲッジルームが広大で使いやすい。ここがデザイン上のもっとも大きな特徴だ。各部にエッジを利かせつつ、ステーションワゴンの王道ともいえる広大なラゲッジルームの両立は、SPA(スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャー)と呼ばれる新世代プラットフォーム(2013年〜)によるものだ。
走行性能

4

2018年当時のラインアップで紹介する。試乗した「T5インスクリプション」は直列4気筒2.0Lターボで、最高出力254PS/35.7kgmの最大トルクを発揮する。加速力を決めるトルク値は1500〜4800rpmの幅広い領域で発揮するため、3.5Lクラスの大排気量エンジンモデルのようで、エンジン回転域によらず力強い走りが堪能できる。
乗り心地

3

市街地走行から高速道路まで終始、フラットな乗り味が特徴だ。試乗した2018年モデルは導入当初ということもあり、減衰特性、バネレートとも硬めの設定で、路面によっては突き上げを感じるところもあったが、年時改良が施され現行モデルになるに従い、格段に滑らかさを増している。一点だけ、初期モデルは後席の乗り心地が粗め。購入時は試乗をおすすめする。
積載性

5

ワゴンの特徴はテールゲートに表れるが、兄貴分にあたるV90と比較すると、V60のテールゲートの角度は15度も立てられている。これにより、積載量にしてもV90に迫っているし、旧型のV60と比較すると99Lも大きい(VDA方式での容積比較)。リアサスペンションのラゲッジルームへの張り出しは少なく、大きな荷物でもかさばることはない。フロアの広さがV60の特徴だ。
燃費

2

最初期モデルの燃費数値は、数少ない、かつV60最大のウィークポイントだった。市街地走行では6km/L台で、高速道路で丁寧な運転操作を心掛けても12km/L台がやっとだった。トルク特性に優れるので走行性能そのものに不満はないのだが、燃費数値だけはクラスの水準から少し落ちる程度。最新モデルはパワートレーンが一新され、クラス水準以上の数値を達成する。
価格

3

試乗した当時の価格は614万円と、装備内容からすれば決して高過ぎることはなかった。が、燃費数値はじめランニングコストまで含めると若干ながら高めのプライスだった。整備関連をパッケージング化したプランも用意されていたので、新車購入でのサポートは手厚く、その意味での満足度は高かったようだ。
西村 直人
西村 直人
交通コメンテーター
WRカーやF1、MotoGPマシンのサーキット走行をこなし、4&2輪のアマチュアレースにも参戦。物流や環境に関する取材を多数。大型商用車の開発業務も担当。国土交通省「スマートウェイ検討委員会」、警察庁「UTMS懇談会」に出席。自動運転技術の研修会(公的/教育/民間)における講師を継続。警視庁の安全運転管理者法定講習における講師。近著は「2020年、人工知能は車を運転するのか」(インプレス刊)。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員日本自動車ジャーナリスト協会会員
ボルボ V60 新型・現行モデル

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