フォルクスワーゲン ジェッタ 「保守の皮を被った革新！」のユーザーレビュー

保守の皮を被った革新！

2018.11.4

総評

以前にパサートワゴン2.0（B5.5）も乗っていたので、それとの比較もして書きます。

VW、セダン、2LNAと聞くと、面白味のないクルマと思われるかもしれません。
しかし、ゴルフ4世代のパサートとゴルフ5世代のジェッタの間には、ワーゲン史に残るターニングポイントがあります。
ゴルフの誕生以来、ゴルフ4までは、基本的に同じといってよいSOHCエンジンを搭載しており、その走りがワーゲンのイメージを形作りました。カタログスペックは控えめ、しかし乗ると実用トルクは十分。踏めば走る（うるさいけれど）。

しかしゴルフ5になり、他社からしばらく間を置いたツインカム化がなされ、直噴技術も加わり、カタログ値、実際の走りともに華やかになりました。元来の高速性能の高さは引き継ぎつつ、市街地走行フィーリングでは日本車に似てきたとも言えそうです。これはある意味、旧来のワーゲンファンを捨ててでも、近代化へ挑戦したと言えるでしょう。
このゴルフ5世代の試みの延長線上に、今のTSIワーゲンがあると思います。

このジェッタは、そんなターニングポイントの時期に生まれたクルマです。一見、保守的ですが、中身は革新に満ちています。旧来のワーゲンにはないパワー感や俊敏さを楽しみつつ、長く乗りたいと思います。

【2021年秋追記】
ATの不調（オイル漏れ）により、維持費がかさむため、本年春に所有を離れました。あと数年は乗ることを想定し、予防整備や部品交換をした直後だけに、悲しいことでした。
今改めて思うに、自分の理想にぴったり合う、夢のような車でした。

満足している点

昨今の省エネ時代からすれば「パワフル」と呼んでもよいエンジンに、6速ATが組合わさり、ベーシックグレードらしからぬ性能です。6速あるので、変速しようかな、というタイミングでアクセルを緩めるとすかさず反応してギアが替わってくれ、直感的な走りを楽しめます。
また最小回転半径も5.0mと優秀です。車幅があるぶん、狭い場所で左に曲がる時は左方間隔に気をつかいますので、小回りがきくことは助かります。
安全性も信頼できます。ゴルフ5世代になりボディ剛性がより向上したとのことです。ESPも06年に改良が加えられたそうです。市街地の下り坂で、自動車学校の車と同じくらいの速度でカーブに入ったときでも警告灯がつきました。よく心配してくれます。

不満な点

・車幅1785mmと、幅だけ見ればゼロクラウンより大きいので、日本の環境に適応できるギリギリのサイズかと。

・サイドブレーキが助手席側にあるので、助手席の人がシートベルトを操作するタイミングと合致してしまい、使いづらいです。

・カミングホーム機能は、明るくて良いのですが周囲がびっくりするかな。

・電動格納ミラーは、たたんでも中途半端な感じ。日本車の器用さには及ばないところが可愛い。

・乗り降りはしにくい。特に日本車からの乗り換えではそう感じると思う。特に後席から降りるときは、ドアの重さ、開口部の足下空間の狭さから一苦労。重役さんは乗せらr……笑

デザイン

5

【外装】
日本の風景によく似合う。日本家屋の前に止まっていても、よくなじみます。控えめだが周りの車にはない風格、気品。
アルミホイールは最初、もっと地味なデザインでも良いのに、と思いましたが、適度なきらめきが醸し出すスポーティーさや高級感は良いですね。LEDのテールランプも、10年以上たっても最新技術のような新鮮味があります。

【内装、居住性】
ボディカラーが黒なので、内装はベージュを選択。華やかなベージュの内装は、購入動機の半分くらいを占める、と言っても良いくらい。
スイッチの色はげ、生地のたるみなど、耐久性は日本車に遠く及ばず。
しかし、それを差し引いても残る良いもの感ーー適度な木目の装飾、青いメーター、金色のシルキーなシートベルトは、毎回乗るたび大きな喜びです。
ドライバーズシートは適度な堅さがあり快適です。後席は広々としていて、エアコンの吹き出し口もあって良いが、後席シートの座り心地は先代パサートから落ちる。

走行性能

4

ゴルフ5から、後輪がマルチリンクのサスペンションになりました。ジェッタも、旧世代（トーションビーム）のパサートと比べて、より安定して曲がれると感じます。

高速道路は、水を得た魚です。燃費も良くなります。
国産2LNAで80~90km/h、旧パサート2LNAで90~100km/hが、静かに快適に走れる速度域なのに対し、ジェッタは100km/hを超えても、まだまだコンフォートゾーンはこれから、という感じです。

乗り心地

3

アイドリング時の静粛性、振動の無さは特筆もの。ワーゲンと思えません。
一方で走行中は適度にエンジン音。ロードノイズは、前車のパサートに比べるとやや気になります。
しかし国産の大衆車に比べて、雨の日の静粛性がグッドです。雨音が静かですし、軽い水の轍を走ってもあまりゴーとかシャーとか聞こえません。

乗り心地は、硬めです。マルチリンクはトーションビームよりも乗り心地がよいと言われます。たしかに安定感ではそうだと思いますが、しなやかさ、やわらかさではトーションビームが優っているのかなと。

積載性

5

燃費

3

価格

5

故障経験

【内装】
8年くらいで、天井が垂れてきましたので、直しました。
エアコンのダイヤル操作は、ゆっくり丁寧にしないと、目的の温度や風量を飛び越えるようになってきました。
サイドブレーキ横のドリンクホルダーが開かなくなりそのままにしています。
時計が遅れ気味です。
前席ルームライトが走行中誤点灯→取り換え。