トヨタ ヤリス 「現時点で燃費性能は宇宙一かも」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

現時点で燃費性能は宇宙一かも

2024.1.29

年式

2020年2月〜モデル

総評

コンパクトカーとして完成度は高いですね。ただ、コンパクトの原点に立ち返って後席や荷室はあまり広くないので、それをどう捉えるかが判断の分かれ目となるかも。

満足している点

燃費はすごいです。状況によっては実燃費35km/L以上走るハイブリッドはもちろん、同じく20km/L以上走るガソリン車も。あとは、ハンドリング性能も素直でヴィッツ時代から考えると大幅にレベルアップしましたね。

不満な点

後席と荷室の広さは期待しないほうがいいでしょう。ただ、トヨタには「アクア」や「ヤリスクロス」もあって、実用性を求めるならほかの選択肢がしっかり用意されているのはさすがですね。

デザイン

3

ライバルのホンダ・フィットがシンプルでクリーンな雰囲気としているのとは対照的に、躍動感あふれるデザインですね。どちらが好きかは好み次第だと思いますが、キビキビと走りそうな感じが好きならヤリスは魅力ではないでしょうか。ちなみに、5ナンバーサイズに抑えた国内仕様はワイド仕様の欧州仕様に対してフェンダーの張り出しを抑えていますが、そう感じさせないテクニックに感心します。

走行性能

3

動力性能の話からすると、1.0Lガソリンは普通に走るなら問題なし（峠道の上り坂や高速道路＆バイパスの合流は辛い時も）、1.5Lガソリンは「これだけあれば十分」という感じ。いっぽうハイブリッドになるとゆとりが感じられます。モーターはエンジンと違ってアクセルの踏み始めからスーッと前へ進んでいく感じがいいですね。ハイブリッドのドライバビリティも、従来モデルに比べたらずいぶんよくなり“もっさり感”がなくなりました。ハンドリングはガソリン車もハイブリッドも良好。そのまま不安なくサーキット走行できるほどです。それにしても、昨今のトヨタ車の走行安定性はホントよくなりましたね。ヴィッツ時代とは比較にならないほど、ヤリスの走りはレベルアップしました。

乗り心地

3

走行安定性と乗り心地のバランスがいいのが昨今のトヨタ車の美点で、それはヤリスにもしっかり盛り込まれています。まったくもって不快じゃないですよ。ただ、居住性という意味まで含めると、後席は前身のヴィッツ時代より狭くなってしまいましたね。なのでファミリーユーザーであれば「ヤリスクロス」、もしくは「アクア」をおススメします。2名までの乗車がメインなら、全く問題ありません。

積載性

2

積載性に関しては、あまり期待しないほうがいいかもしれません。ホンダ「N-BOX」などスーパーハイトワゴンの軽自動車よりは広い荷室ですが、ファミリーで使うとなるとやや心もとないですね。SUVタイプの「ヤリスクロス」もしくはライバル関係にあるホンダ「フィット」や日産「ノート」、そして同門の「アクア」のほうが安心です。

燃費

5

もうすごいです。ハイブリッドであれば郊外路では35km/Lなんていう数字が普通に出ちゃうんですから。同様に郊外路ならガソリン車でも20km/L以上はフツーに走るので、燃費計が壊れているんじゃないかと思うほど。国産車の燃費番長といっていいでしょう。

価格

4

値段も頑張っていますよね。というか昨今のトヨタのベーシックタイプのクルマは、ライバルに比べて安い傾向。それがヤリスにも当てはまります。ハイブリッドはやや高くなりますが、納得の範囲でしょうか。また、3年後とか5年後のリセールバリューを考えれば、実質的なガソリン車とハイブリッドの価格差はもっと縮まります。もし悩んでいるなら、とりあえず両方の見積もりをもらうのがいいでしょう。ただ、いくらハイブリッドの燃費が良くてガソリン代を節約できるといっても、その節約した金額でハイブリッドの車両価格アップ分を払うのは難しいかも。それよりも加速の力強さやスムーズな加速、静粛性なんかを魅力と考えてハイブリッドを選ぶのがおすすめです。