トヨタ シエンタ 「使う人のことを考えた実用車」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

使う人のことを考えた実用車

2023.1.11

年式

2022年8月〜モデル

総評

よくできたコンパクトカーですね。車体は運転しやすいように小さなタイプがいいけれど、実用性はとにかく高いほうがいい。そんな人にオススメです。

満足している点

小さい車体なのに実用性の高い高効率パッケージング。乗り心地と操縦安定性をしっかり両立していること。そして驚異的に燃費がいいこと。ファミリーユーザーにもオススメです。

不満な点

無塗装樹脂部品を組み合わせたデザインは好みが分かれるかもしれませんね。でも、気になるのはそのくらいかも。あと、3列目まで使う際は荷物がほとんど積めないことでしょうか。

デザイン

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先代の軽快さからデザイン雑貨のような雰囲気にイメージチェンジ。何を隠そうこの変更の大きな理由は運転のしやすさのためで、ボンネット先端を高くすることでドライバーから見えやすくなり、車両感覚がつかみやすくなっています。そういった背景を知ると、つくづく使う人のことを考えて作られたクルマなんだと実感しますよね。

走行性能

4

シエンタにはガソリン車とハイブリッドがありますが、燃費だけではなく走行性能から考えてもオススメはハイブリッド。ハイブリッドは言うなれば電動アシスト付き自転車のようなもので、モーターのアシストが加わることで加速の余裕が増すのです。このクラスはもともと動力性能にゆとりがないから、モーターアシストの効果って絶大ですよ。街乗りレベルでも余裕が違って運転が楽になるし、エンジン回転数が高まる状況が減るから音も静かで快適になりますね。

乗り心地

4

よくできていますね。背の高いコンパクトカーってそもそも重心が高く、物理的特性からいって運動性能的にも乗り心地的にも不利ですが、シエンタはそのあたりのまとめ方が絶妙。操縦安定性に不満のないレベルできちんと乗り心地をよくしていて、そのバランスの高さが見事です。乗員が上下にブレないのがいいですね。それは運転の疲れにくさにも、同乗者のクルマ酔いのしにくさにもつながっていますね。

積載性

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コンパクトな3列シーターなので、さすがに3列目を起こした状態での積載性は控えめです。ただ、素晴らしいのはその先。3列目はまるで消し去ったかのように巧みに格納できる（2列目の座面下に収まる）こともあって、その際の荷室はコンパクトカーとは思えない広さ。小さなステーションワゴンのような感覚ですね。荷物が多くなりがちなキャンプやウインタースポーツに出かける人は、車体サイズに見合わない余裕を持った荷室を魅力としてこのクルマを選ぶ価値があるのでは。だからあえて2列車を買うのもいいですね。ちなみに2列車と3列車では2列目シートの畳み方が異なるので購入時はしっかりチェックしておきましょう。

燃費

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カタログ記載のWLTCモード燃費は、FFモデルのもっともすぐれた仕様で28.8km/Lと30km/Lに迫るもの。そんなにいいの!?と目を疑うような数値ですね。ハイブリッドシステムも含めたパワートレインはヤリスと基本的に同様で、ヤリスだと実燃費30km/L以上を狙える驚異的なポテンシャルです。シエンタはヤリスに比べると車体の重さなどから燃費は控えめですが、それでも実燃費20km/L以上は現実的。

価格

4

ベーシックな「X」のハイブリッドモデルは5人乗りが238万円、7人乗りが242万円から。ガソリン車に対して43万円アップですね。単純に考えると、ハイブリッド化によって浮いた燃料代だけでは元は取れませんが、減税や免税と次に乗り換える際のリセールバリューなども考慮すると、実質的な差はもっと縮まります。そのうえ動力性能や快適性のアップ、さらにガソリンスタンドに行く頻度が減るといった感覚的な部分まで含めると、コストパフォーマンスも悪くないのではと思いますね。