トヨタ シエンタ 「マルチに使える元祖トールコンパクト」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西村 直人
西村 直人(著者の記事一覧
交通コメンテーター
評価

4

デザイン
5
走行性能
4
乗り心地
3
積載性
5
燃費
5
価格
4

マルチに使える元祖トールコンパクト

2022.11.28

年式
2022年8月〜モデル
総評
1999年のファンカーゴに端を発するトヨタのトールコンパクトモデルは、ラクティス→2世代に渡る従来型シエンタときて、3代目の新型となった。デザインは紆余曲折あったが、結果的に元祖であるファンカーゴの色を随所に感じさせる。デザインにはよく黄金比があるといわれるが、トヨタのなかではこれがトールコンパクトの王道なのだろう。まとまりよく、5ナンバーサイズなので使い勝手もいい。パワートレーンにしても最新世代のハイブリッド&ガソリンエンジンは走行性能と燃費性能を高い次元で両立。
満足している点
5ナンバーサイズの5/7人乗りトールワゴンは貴重な存在だ。子育て世代にとってはコンパクトなボディサイズでスライドドアという点がなにより使い勝手の点でメリットが大きい。価格も抑えられている。しかもボトムグレードのXであっても、上位グレードとの外観上の違いは大きくないから所有満足度も高いままだ。販売店での装着オプション品も充実しており、主なオプションをセット販売しているので選択がグッと楽になる。価格も手ごろだ。
不満な点
ボディサイズは使い勝手でのマイナス点は少ない。ただ、ユーザーによってはこの愛くるしいデザインを受け付けないかもしれない。競合他車ではシャープなエアロデザインを採用したモデルがあり、こちらにも一定の支持がある。モデル途中で追加される可能性も捨てきれないが、今のところ、このキュート路線でいくはずだ。7人乗りのハイブリッドでFFモデルの場合、乗り心地面でややきついところがある。売れ筋なので、ディーラーでは試乗車があるだろうから、事前に確認されるとよいだろう。
デザイン

5

愛くるしい小型犬が登場するCMが好評だが、シエンタのキャラクターをうまく表現している。フロントデザインはまさに小型犬のような瞳(ヘッドライト)で、サイドには樹脂プロテクターを効果的に配した。先代のシエンタにも樹脂プロテクターを前後左右に配していたが、新型ではさらに大胆に用いた。リヤセクションではテールランプユニットを縦型に配置した。これは往年の人気トールコンパクトモデル「ファンカーゴ」にも似たデザインだ。スライドドアのガイドレールを上手くデザインに取り込んでいる。
走行性能

4

直列3気筒1.5Lのガソリンエンジンモデルと、同エンジンにTHS-Ⅱを加えたハイブリッドモデルの2本立てだ。ガソリンモデルはFFモデルのみで、ハイブリッドには独立した電動モーター(3.0PS/4.5kgf・m)を備える4WDもラインアップした。ガソリンモデルも十分活発で、7人乗車時でも都市部の移動であれば不足なし。ただ、ロングドライブには燃費数値のアドバンテージを含め、ハイブリッドモデルがいい。加えて4WDでは悪路での発進性能が向上する。
乗り心地

3

TNGAの概念で作られたGA-Bプラットフォーム(クルマの土台)を採用する。このプラットフォームは現行ヤリスから採用が始まったもので、ヤリスの開発当初から、スライドドアをもつシエンタへの活用も視野に入っていた。そのため、乗り心地面でも満足いくレベルなのだが、唯一、ハイブリッドのFFモデルでは後輪からの突き上げがきつく感じるシーンがある。3列目シートの7人乗りの場合、その3列目ではわりと大きな上下動を感じる。前後のピッチングがうまく抑えられているだけに少しだけ惜しい。
積載性

5

高さを活かしたキャビンはアクセスしやすく、そして広い。2列目シートも大きく前後スライドできるので、7人乗りの3列目シートとのスペース配分も容易に行える。2列目シートの背もたれ後部が大きくえぐれているので、その意味でも3列目の足元スペースは広い。ラゲッジルームはフロアまでの高さが505mmとかなり低い。幅は1265mm、高さはテールゲート開口部で1070mm、室内で1105mmと広大(7人乗り)。2列目を前倒しにして3列目を格納すれば170cmの筆者が斜めに寝られた。
燃費

5

燃費数値にも優れる。ガソリンモデルの場合WLTC値で18.4km/L、ハイブリッドモデルの場合で5人乗りのFFで28.8km/L、同4WDで25.3km/L。7人乗りのFFで28.5km/L、同4WDで25.3km/Lだ。全高が高い(FFで1685mm、4WDで1715mm)が、5ナンバーサイズなので前面投影面積が少なく、結果としてWLTC値の高速道路モードでの数値悪化がほとんどない。これはガソリンモデルにもいえることだ。両モデルともレギュラーガソリン指定である。
価格

4

ガソリンモデルの5人乗り「X」1,950,000円からスタートし、ハイブリッドモデルの4WDで7人乗りの「Z」の3,108,000円がトップグレードだ。トヨタらしく幅広いグレード構成を誇る。ボトムグレードのXでも衝突被害軽減ブレーキ(法規対応)をはじめとした先進安全技術を備えるが、上位グレードの装備もかなりの数、オプションで装備できる。無理に上位グレードを買わずとも、Xに必要な装備を加えるといった自分なりの購入方法が選べる点も、こうしたファミリーカーにとってはありがたい。
西村 直人
西村 直人
交通コメンテーター
WRカーやF1、MotoGPマシンのサーキット走行をこなし、4&2輪のアマチュアレースにも参戦。物流や環境に関する取材を多数。大型商用車の開発業務も担当。国土交通省「スマートウェイ検討委員会」、警察庁「UTMS懇談会」に出席。自動運転技術の研修会(公的/教育/民間)における講師を継続。警視庁の安全運転管理者法定講習における講師。近著は「2020年、人工知能は車を運転するのか」(インプレス刊)。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員日本自動車ジャーナリスト協会会員
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