ｴﾝｼﾞﾝｶﾑｼｬﾌﾄのｶﾑﾗﾝﾌﾟとは何のことで、どんな機能があるものでしょうか？ ご教授ください。 ｶﾑﾗﾝﾌﾟ=0.3とか0.４というのは何を意味するものでしょうか？

Question

ﾗﾝﾌﾟが大きくなるとﾊﾞﾙﾌﾞｸﾘｱﾗﾝｽのバラつきで出力差が大きくなると聞いたのですが
ﾗﾝﾌﾟがわからないため理屈がわかりません。説明していただけると幸いです。
宜しくお願い致します。

Answer 1

ランプとは、ベースサークル(カム山の無い丸断面）とカム山をスムーズに繋ぐための緩和曲線のことです。
通常カムシャフトのベースサークル部分はバルブリフターと接していません。なぜならバルブクリアランスがあるから。
そこからいきなりカム山が立ち上がってしまうと、カム山がバルブリフターを叩くように接することになり、バルブの開閉が急激になります。するとバルブが疲労破壊したりバルブシートが荒れて圧縮を保つことができなくなります。
そこで、ランプ=ベースサークルからバルブクリアランス分のふくらみ、を設けることでスムーズな弁開閉を行えるようになります。

インターチェンジをランプというのと同じで、充分な加速/減速スペースを設けることでスムーズに合流できるのと全く同じです。

ちなみに、HLA(ハイドロリックラッシュアジャスタ)付の同弁系を持つエンジンの場合、ランプはありません。油圧によって常にバルブクリアランスがゼロに保たれているから。

カムのランプはバルブクリアランスと密接な関係が有ります。というか、ランプの設計でバルブクリアランスが指定されるといって良いでしょう。
ランプが大きいとバルブクリアランスが大きくなり、バルブリフトの有効長が犠牲になります。(カム山高さ-バルブクリアランス=バルブリフト量)そして、それだけオーバーラップが少なくなるので低回転域で充填効率が上がり、パワー感が向上します。
欠点はタペット音が出やすくなることでしょう。整備的にも有る程度アバウトでもよいので、純正だとランプは大きめでしょう。
逆にランプをつめると、エンジンの高性能化に繋がりますが、バルブ突き出し量やバルブクリアランスをよりシビアにセッティングしなければ行けませんので、チューニングエンジン向けといえます。

質問者からのお礼コメント

親切丁寧な解説ありがとうございます。大変勉強になりました。