トヨタ プリウスα 「3代目プリウスベースの7人乗りハイブリッドカー」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

3代目プリウスベースの7人乗りハイブリッドカー

2022.1.17

年式

2011年5月〜モデル

総評

プリウスαは発売当初から、北米や欧州市場で販売が行なわれており、各国で個人ユースのほかタクシーとしても使われていた。そこでの知見を活かして作られたのが、JPN TAXI（ジャパンタクシー）だ。ベースとなる設計はプリウスαが流用され、開発責任者も同じ人物である。

満足している点

プリウスに7人乗りをというラブコールにトヨタが応えて販売したのがプリウスαだ。ユーザーがどのように使いたいのか、徹底してマーケティングして作られただけに、約10年間の販売期間ではボディ構成などに大きな変更がなされなかった。その意味では、完成された状態で世に送り出された優秀なモデルであった。

不満な点

物理的にわかっていたことながら、3列目シートへ移動するには大きく身体を屈める必要があり大変だったことを思い出す。また、その3列目はシートサイズも小さかった。登場した際、メディア向けのイベントとして燃費数値を競うコンテストが行なわれたが、3代目プリウスでは難なく記録できた公道における28㎞/ｌ以上の数値がなかなか出せなかった。

デザイン

3

2009年にデビューした3代目プリウスをベースに背高の専用ボディを与え、5人乗り2列シート、7人乗り3列シートモデルを設定したミニバン風モデル。シャープなプリウスから一転、ずいぶんとふくよかなデザインだが、空気抵抗係数は0.29と非常に優秀だから、プリウスの真髄である優れた燃費性能をしっかりと発揮する。2021年3月に販売終了。

走行性能

4

直列4気筒1.8ｌガソリンエンジンにハイブリッドシステムの組み合わせ。システム出力は136PSで、ベースのプリウスから車両重量の増加と乗車定員の増加に対応しファイナルギアをローギヤード化して対応。2列5人乗りはニッケル水素、3列7人乗りがリチウムイオンだが、これは座席確保が目的で、走行性能には違いがなかった。

乗り心地

3

滑らかな乗り味を目指したというが、上質ではなかった。正確には燃費性能向上を狙ったタイヤの特性、サスペンションの設定からざらついた印象が終始つきまとう。ただ、突き上げがきついであるとか、車酔いしやすいといったマイナス点はない。3代目プリウスの特徴そのままともいえる。

積載性

4

ここは抜群に良い。3列シートが設定できるので広くて当然。2列シートモデルで5名乗車した場合が535ｌ、3列シートモデルで7名乗車時でもラゲッジルームは200ｌ確保され、ゴルフバック1個が積載できた。3列目シートは床下にすっぽり格納でき2列シートモデルと同じ床面積を実現していた。

燃費

4

最終モデルではWLTC値で20.7㎞/ｌを達成。同じハイブリッドシステムを搭載した7人乗りのミニバンであるノアが19.8㎞/ｌであることを考えると、140kgほど軽く、比較すれば全高の低い（1825㎜のノアに対して1575㎜）プリウスαは60㎞/hあたりから燃費数値に効いてくる前面投影面積の上からも有利だった。

価格

3

いわゆる標準グレードの上位であるＧツーリングセレクションが331.98万円だった（〜2020年モデルの価格）。前出のノアのハイブリッドモデルとほぼ同等の価格帯であった。競争が激しいカテゴリーでもあったことから、販売終了間近ではディーラーでの値引き対応があったともいわれる。