トヨタ ハイエースワゴン 「10人乗れる現実的な選択肢でリセールもよし」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

10人乗れる現実的な選択肢でリセールもよし

2023.9.4

年式

2005年11月〜モデル

総評

大人数（6人を超える）での長距離移動は少し窮屈かもしれないが、さほど長時間でない移動であればこれほど効率的なコミューターは他にはないだろう。このような絶対的な一定の需要をしっかりと押さえてくるあたりはトヨタの強さを感じる。バンにも言えることだが、モデルライフが長くなってきているので、運転支援システムを中心にそろそろ大幅な進化が欲しいところ。運転支援システムが充実すれば鬼に金棒という状態になるだろう。

満足している点

まずは普通免許で10人乗れるところじゃないだろうか。現実的な選択肢で10人乗れるモデルは他にはない。また、バンほどではないが、一定の需要が常にあってリセールバリューが良く、すぐに現金化できるのもビジネスユーザーとしては嬉しい点だろう。カスタマイズパーツの多さも魅力的だ。

不満な点

これはバンも同じだが、運転支援システムの充実化が望まれる。特にレーダークルーズコントロールは標準装備されるのが望ましい。そして可能であれば車線逸脱ステアリングアシストも欲しい。ビジネスユーザーが多いモデルは価格を抑えたいという気持ちは分かるが、エントリーグレード以外はもっと運転支援システムを充実させてほしい。

デザイン

3

基本的にビジネスモデルであるから、オシャレやスタイリッシュといった要素はあまりないが、それでいい。バンと共通のデザインで、デザイン性として特別秀でたものは感じないが、商用車として実用を求めた結果であり、機能性は非常に高い。そういった意味では機能美を感じるデザインと言えるだろう。

走行性能

3

バンと同じだがロール感も大きくステアリングフィールもダル、車内に伝わる振動や騒音も大きく走行性能そのものは高いとは言えない。しかし、年々の改良で良くなっているとは感じる。もっともこのクルマは荷物をたくさん積むことを主として考えられたクルマなので、普段使いをするならばその点を忘れてはいけない。また、トルク感で言えばこちらはディーゼルがラインアップにないので、低回転域でのパンチが物足りないと感じる層はいるかもしれない。

乗り心地

3

バンに比べると人を乗せることを意識したモデルではあるが、乗り心地がラフな雰囲気なのは基本的にバンと同じで、乗り心地が優れているという印象はない。通常の3列シートミニバンに比べると乗り心地は当然敵わないが、ビジネスモデルであることを改めて思うと、高速域での長距離移動での乗り心地は優れている。低速域での街乗りもこの手のモデルとしては悪くないが、乗用モデルが主の車種と比べると突き上げ感が目立つ。

積載性

5

ビジネスモデルであり、バンと基本的には共通であるため積載性は優れていて当然。ただ、それは一部のシートを畳んだ場合の話だ。ただ荷物の積み下ろしがしやすいのは好印象。さらにセンターコンソールを始め、各種収納が大きく使い勝手が良いのも印象的だ。

燃費

2

ハイブリッドシステムを搭載しているわけでもないし、もともと商用モデルと共通しているところが多い。商用モデルはその特性上、燃費性能が良くないモデルも多いため燃費に関して期待してはいけない。バンも同じだがモデルライフも長く、基本的なメカニズムも古いためなおさらである。また、ワゴンはバンと違ってガソリンしかエンジンラインアップがないため、燃費としてはさらに厳しい。

価格

4

ボディタイプやグレードによって価格は異なってくるものの、エントリーグレードは300万円弱といった具合で、高くもなく安くもない印象。ただ、中間グレードとの価格差があまりないことを考えるとエントリーグレードの存在意義が薄い。また、トップグレードのグランドキャビンは400万円を切る設定だが、他のグレードとの価格差や各種サイズ感を考えると、お買い得感を感じる人はいるかもしれない。