トヨタ GRヤリス 「FFコンパクトスポーツの決定版」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

FFコンパクトスポーツの決定版

2021.9.30

年式

2020年7月〜モデル

総評

WRCのホモロゲーションモデルにふさわしいパフォーマンスは持っている一方で、一般道での乗り心地や最低限の使い勝手は保障されている、サーキット好きにはたまらないスポーツモデル。レーシング域の走行性能が妥協なく作られており、4WDモデルは特に車体の安定感がしっかりしているので安心して走り込むことができる。

満足している点

ホモロゲーション車両と聞いて、どんなとんでもないクルマになるのかと思いきや、日常でもきちんと使えて、サーキットでは抜群のパフォーマンスと安定感を持って走れる最高のスポーツカーに仕上がっている。サーキットをよく利用していたり、これからチャレンジしたい人にとっては、抜群の相棒になると思う。

不満な点

ハイパフォーマンスなスポーツカーゆえに、積載性や乗降性はかなり犠牲になっているので、普段の通勤や街乗りメインで考えている人は、GRヤリスではなくノーマルヤリスを検討した方がいいかもしれない。

デザイン

4

ヴィッツからヤリスに名前を変えてから、どんどんやんちゃな性格があらわになってきたヤリス。WRCのホモロゲーション車両として生まれたGRヤリスは、デザインもそれに輪をかけて印象に残るデザインになっている。好き嫌いはありそうだが、見て一発で「スポーツカーだ！」と思えるデザインの作り込みはお見事。

走行性能

5

GRヤリスには、2WDのRZ、4WDのRZ、RZ“ハイパフォーマンス”が用意されていて、どれもかなり性格が違うモデルになっている。4WDのモデルは、3気筒ターボエンジンがパワーアップされていて、“ハイパフォーマンス”はさらに専用のサスペンションやLSD、BBS鍛造ホイールなど、まさに走るために作られたクルマとなる。サーキットなどで乗る予定があって、GRヤリスの最大限の走りを楽しみたい人はRZ“ハイパフォーマンス”をおすすめしたい。

乗り心地

4

2WDのRZモデルは、通常のヤリスとそこまで乗り心地に差はないが、GRヤリスはおそらく乗り心地よく感じると思う。スポーツモデルというと硬い足回りを想像しがちだが、トヨタはWRCやニュルでの経験を経て、よく動くしなやかな足回りの方が荒れた路面を早く走れると気づいたそう。その学びがGRヤリスにも受け継がれている。

積載性

3

ノーマルのヤリスでも後席や荷室スペースは小さいことに加えて、GRヤリスはなんと3ドアとなっているため、後席の乗り降りはさらに大変。「積載性などよりもGRヤリスの走りを存分に楽しみたい！」という人以外は、使い勝手で苦労するかも。

燃費

4

燃費は、2WDのRZが18.2km/Lで、4WDのRZ、RZ“ハイパフォーマンス”が13.6km/L（WLTCモード）。4WDモデルはターボ化されていることと、圧倒的にパワーアップしているため、燃費が下がるのは仕方がない。これくらいのスポーツカーを手に入れて燃費が13.6km/Lなら、どちらかと言えば燃費が良い方だとも言える。

価格

4

価格は、2WDのRZが約265万円で、4WDのRZが約396万円、RZ“ハイパフォーマンス”が456万円となる。正直に言えば、2WDのRZを買うなら、普通のヤリスモデルを検討しても良いかもしれない。GRヤリスを買うなら思い切ってRZ“ハイパフォーマンス”までいってしまった方が、後々の後悔は少ない気がする。