トヨタ GRカローラ 「欲張りなハイパフォーマンス4WD」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

欲張りなハイパフォーマンス4WD

2023.5.22

年式

2022年10月〜モデル

総評

一言で言えば「欲張りなスポーツモデル」と言えるだろう。ハイパフォーマンスを実現するターボエンジンと4WDという組み合わせに、日常ユースもこなすリアシートとラゲッジスペースが用意されている。そこに充実した装備とGRヤリスよりも良好な乗り心地が加わっている。クルマに求める性能は人それぞれであるが、「すべてこれ1台」という言葉が似合うモデルの1つでもある。

満足している点

GRヤリスで感じた速さと強さを兼ね備えたファントゥドライブなフィーリングはそのままに、リアシートがあってGRヤリスより大きなラゲッジスペースが存在することで、日常ユースでの利便性が向上しているところだろう。乗り心地も若干マイルドな方向性になった印象があるので、GR-FOURに魅力を感じていた人にとっては購入の心理的ハードルを下げてくれる1台になるはずだ。

不満な点

ハイパフォーマンスモデルに利便性を求めるなという声が上がってしまいそうだが、もう少し室内の細かな使い勝手を向上させてくれたらありがたい。特に小物入れの充実だ。GRヤリスがスパルタンであるのに対し、GRカローラはスポーティーでありながらややGT的な雰囲気もあるという評価を受けているので、その利点を生かした利便性の向上を走りに影響がない範囲で実施してほしい。

デザイン

4

カローラスポーツと共通するデザインが多いにも関わらず、ワイドに膨らんだフェンダーは実にマッチョな印象を与えており、かなり違うキャラクターに感じる仕上がり。デザインだけで言えば、近い関係性であるGRヤリスよりも野性的というかチューニングカーチックなテイストで、知らない人が純正と聞いたらビックリするはずだ。それを良いと捉えるか悪いと捉えるかは人によるが、凄みを感じるデザインなのは確かだ。

走行性能

5

走行性能に関して不満が出ることは少ないだろう。実際に走らせてみると各所の剛性感に驚かされる。ボディはもちろんブレーキやシフトなど、クルマが全体的にカチッとした印象だ。GRヤリスも同じだが、低速域からトルクフルで扱いやすいエンジンは相変わらずのクオリティ。パワーはGRカローラの方が上だが、トルクの立ち上がり方もリニアで分かりやすく、ドライバーが構えやすいので扱いやすい。あらゆる場面で安心して踏んでいけるクルマだ。

乗り心地

4

足回り自体はハードな印象を受けるが、ボディ剛性が高くハードな足回りをしっかりと受け止めていて、乗り心地もさほど悪くないといった印象だ。この手のスポーツモデルに乗り慣れた人ならば、乗り心地が良いと思う人もいるかもしれない。特に公道での中高速域以上であれば、大きな不満は出ないだろう。

積載性

2

元々、カローラスポーツの積載性があまり高くないため、GRカローラもラゲッジスペースに関しては余裕があるとは言えない。カローラスポーツとラゲッジスペースやリアシートは基本的には変わりなく、ゆえに積載性に優れているとは言えず、むしろそれが理由で積載性は良くないというのが正しい。またビックリするのが小物入れの少なさで、ドアポケットくらいしかない。センターコンソール下もちょっとでいいから小物入れが欲しいと感じてしまう。

燃費

3

このモデルで燃費性能を期待する声はないと思うが、実燃費で言えばリッター当たり2桁に乗るかどうかといったところ。GRヤリスに比べてクルマが重たくなっていることを考えると、「まぁまぁかな」といった印象だ。どちらかと言えば安定性が高いため踏めるクルマなので、ついついアクセルを踏みすぎないように注意するのが最も燃費的にいいかもしれない。

価格

4

価格は525万円のワングレード。GRヤリスの上級グレードに比べてやや高い設定となっているが、日常ユースでの利便性と快適性が上がっていることを考えると、この価格は決して高くはないと感じる。単純にGRヤリスのパワーユニットを流用するのではなく、さらに開発を進めスペックを向上させている点から見ても、手間がかかっているのが垣間見えて、より「買い」感を強くしている。