トヨタ クラウン（スポーツ） 「新しいクラウンを象徴する存在」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

新しいクラウンを象徴する存在

2023.12.17

年式

2023年10月〜モデル

総評

クラウンの新しい一手。「スポーツを名乗る軽快なデザインのSUV」がクラウンとして登場するなんて、ひと昔前なら絶対考えられませんでしたね。従来からのクラウンオーナーやファンは「こんなのクラウンじゃない」というかもしれませんが、このクラウンスポーツのターゲットはそういう人たちではなく新しいものを受け入れる層と考えればいいでしょう。最大のライバルは身内の「ハリアー」であり、ポルシェ「マカン」でしょうかね。価格帯は違いますが。

満足している点

クラウンらしからぬ大胆なパッケージングと奥深い走り。ハンドリング性能はさすがです。あと、地面に対する着座位置の高さのおかげで乗り降りしやすいですね。

不満な点

よりドライバビリティに優れるハイブリッドシステム「デュアルブーストハイブリッド」の搭載がないこと。「クラウンクロスオーバーRS」に積んでいる、走り重視のハイブリッドです。スポーツを名乗るからには、ハイブリッドシステムも走りを求めたタイプを載せてほしかったと思うのは、ワガママでしょうか？

デザイン

5

実際の全長は4.7mもあるんですが……ギュッとコンパクトに凝縮されたデザインだから小さく軽快に見えるのがいいですね。「これがクラウンなのか？」と問われれば「よくわからない…！」ですが、多様化の時代ですから。

走行性能

4

キビキビと気持ちよく走ります。「スポーツ」を名乗るくらいですからね。ドライバビリティの高さはバッチリです。個人的に残念に感じているのは「クラウン クロスオーバーRS」に搭載している高出力でダイレクト感に優れるハイブリッドシステム「デュアルブーストハイブリッド」の設定がないこと（なので1点減点です）。「スポーツ」を名乗るのだから、いま積んでいるシリーズパラレル式ハイブリッド（と今後発売予定のそれベースのプラグインハイブリッド）に加えて、走りがもっと楽しいハイブリッドを載せたほうがいいような気がします。期待したいですね。

乗り心地

4

「スポーツ」なのでほかのクラウンシリーズに比べると乗り心地はよくないです。が、世間一般水準でいえば、十分に快適な乗り心地。「スポーツ」だからといってサスペンションをハードに締め上げているわけではなく、ファミリーカーとして使っても家族からのクレームを受けずに済むレベルです。

積載性

4

「クラウンセダン」や「クラウンクロスオーバー」に比べると、荷室は狭いです。具体的にいうと、奥行きが短めですね。とはいえ、SUVとしては一般的な広さで実際の使い勝手はハリアーと同じくらいはあります。なので、よほど広いトランクが欲しいという人以外は気にしなくていいでしょう。そして現行クラウンシリーズの凄いところは、このクラウンスポーツで「荷室が足りない」となれば、荷室自慢の「クラウンエステート」も用意されていることです。

燃費

5

燃費性能に優れるシリーズパラレル式のハイブリッド（と、その発展版となるプラグインハイブリッド）を積んでいるので、クラスや車体サイズを考えれば燃費良好。郊外では実燃費で20km/Lを超えますからね。立派です。

価格

2

上級グレードのハイブリッド4WDだけという設定もあり、590万円。ハリアーの最上級グレードハイブリッド4WDが約515万円と考えれば、こんなものでしょうかね。安くないですが、クラウンですから……。