トヨタ カローラスポーツ 「キーンルックが似合うカローラ」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西村 直人
西村 直人(著者の記事一覧
交通コメンテーター
評価

4

デザイン
3
走行性能
4
乗り心地
4
積載性
3
燃費
4
価格
3

キーンルックが似合うカローラ

2023.6.21

年式
2018年6月〜モデル
総評
150ヶ国以上で販売されているカローラ。そのスポーツモデルともいうべきハッチバックがカローラスポーツだ。今でこそGRカローラを擁するが、その原点はハッチバックにあり。導入時のプロトタイプ試乗会はミニサーキットだったが、優れたハンドリング性能はセダンを何倍も上回っていた。現在、ガソリンモデルは4気筒2.0Lになり、ハイブリッドは改良型の4気筒1.8L THS-Ⅱを搭載する。
満足している点
いわゆる所有満足度が高い車であること。ここが最大のチャームポイントだ。ボディサイズにしても全幅1790mmと日本の道路&駐車環境にも最適な1800mm以内に抑えている。熟成されたハイブリッドモデルもいいが、個人的なおすすめは初期モデルの4気筒1.2Lターボから代替えされた2.0LのNAエンジンだ。前輪駆動でCVTのみだが、気持ちの良い走りと高い実用燃費を両立する。
不満な点
数少ない不満点として挙げられるのは車内デザインだ。ほぼセダンと共通で、せっかくのハッチバックボディとのバランスがやや悪い。実用性はとても高いが、着座位置にしても高く、せっかく“スポーツ”を名乗っているのにもったいない。ただし2トーンシート表皮が選べる点は美点だ。加えてクラウンと並んで備えたトヨタ初の本格的なコネクティッド技術があるが使い勝手があまりよくない。
デザイン

3

サイド、リヤ周りのまとめ方はボリューム感があってとても良いと思う。一方で、セダンとも共通路線の顔付きはアンバランスに感じる。もっともセダンの全幅は1745mmと狭く、厳密には異なるが、キーンルックにはじまり切れ長のヘッドライトと印象が近い。端的に顔が大きく見えてしまい、サイドからリヤに掛けてのボリュームが活かされていないように思える。全体としてのレベルは高いだけに惜しい。
走行性能

4

導入初期からハイブリッドモデルの走行性能は高かった。THS-Ⅱシステムはハードとソフトの両面に手が加えられていたため、全域でトルクフルな印象を強めた。一方、1.2Lターボは6MT(シンクロレブ機能付きのiMT)との組み合わせもあったが、高回転域がやや苦手だった。その点、現行モデルの2.0Lは、パワー&トルク、回転フィールと文句なし。1350kg〜の車両を軽々と引っ張る。
乗り心地

4

走行安定性と快適性を高い次元で両立させている。1.2Lターボはとてもしなやかで、ハイブリッドモデルよりも車両重量が軽く前輪荷重も小さいため、カーブでは鼻先がぐんぐんと入り込む。そのハイブリッドモデルにしても、後軸周りに搭載している2次バッテリーの重さを感じさせないしなやかな足さばきをみせる。現行2.0Lもこの印象を受け継ぐが、ややハード方向に寄せられた。
積載性

3

ラゲッジルームには47インチのゴルフクラブが入る9.5インチのゴルフバックが2個収納できる。分割可倒式リヤシートを倒せば、4:2:4分割アジャスタブルデッキボードと組み合わせることで広大な空間を効率良く使うことができる。ボードそのものは軽量設計ながら頑丈な造りで、重い荷物の積載にも気を使わずに済む。またこのボードは立てて間仕切りのようにも活用できる。
燃費

4

2.0LのNAエンジンながらロングストローク型で熱効率が高いため実用燃費がとてもいい。当然、カタログ上のWLTC値も良好で総合値は17.2〜18.3km/L、高速道路モードでは20.0〜21.4km/Lまで伸びる。これがハイブリッドだと総合27.2〜30.0km/L、高速26.1〜29.0km/L。ちなみにセダンの3気筒1.5Lの総合は18.1〜19.4km/L、高速21.1〜23.1km/Lだ。
価格

3

ボトムグレードとなる「G“X”」(前輪駆動)で220万円。トップグレードの「G“Z”」(同)が264万円。搭載するエンジンやトランスミッションは同じなので、純粋に装備による違いで44万円の差が付いている。ボトムグレードからLEDヘッドライト&コンビライトや先進安全技術が付くが、おすすめは2.0Lのパワーが存分に活かせる18インチタイヤを履くG“Z”だ。
西村 直人
西村 直人
交通コメンテーター
WRカーやF1、MotoGPマシンのサーキット走行をこなし、4&2輪のアマチュアレースにも参戦。物流や環境に関する取材を多数。大型商用車の開発業務も担当。国土交通省「スマートウェイ検討委員会」、警察庁「UTMS懇談会」に出席。自動運転技術の研修会(公的/教育/民間)における講師を継続。警視庁の安全運転管理者法定講習における講師。近著は「2020年、人工知能は車を運転するのか」(インプレス刊)。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員日本自動車ジャーナリスト協会会員
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※ 掲載しているすべての情報について保証をいたしかねます。新車価格は発売時の価格のため、掲載価格と実際の価格が異なる場合があります。詳細は、メーカーまたは取扱販売店にてお問い合わせください。

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