トヨタ シーポッド 「2023年式C+pod感想文」のユーザーレビュー

ノイマイヤー ノイマイヤーさん

トヨタ シーポッド

グレード:G 2020年式

乗車形式:レンタカー

評価

1

走行性能
2
乗り心地
2
燃費
3
デザイン
3
積載性
1
価格
1

2023年式C+pod感想文

2024.1.20

総評
●超小型モビリティとは
豊田市で超小型モビリティの実証実験があり、C+pod(シーポッド)に試乗できる機会があった。

<豊田市プレスリリース抜粋>
豊田市は、脱炭素社会を目指し、豊田市つながる社会実証推進協議会の取組として、トヨタ自動車株式会社及びNTPグループ株式会社トヨタレンタリース名古屋とともに、超小型電気自動車「C+pod」を活用した、カーシェア実証を開始します。この実証では、トヨタ自動車が提供する会員制カーシェアサービス「TOYOTA SHARE」を活用し、同社の社用車のうちC+pod 20台をシェアリング車両として市民等にも貸出します。なおこの車両は、出発ステーションと違うステーションで返却できる「ワンウェイ利用」が可能です。実証を通して、カーシェアリングに関する利用実態やニーズを検証し、市民や来訪者の新たな移動手段として提案するとともに、電気自動車の普及促進につなげます。

C+podは「超小型モビリティ」である。超小型モビリティとは国土交通省の定義では「自動車よりコンパクトで小回りが利き、環境性能に優れ、地域の手軽な移動の足となる1人~2人乗り程度の車両」である。現代の自動車を取り巻く環境の中で、例えば高齢ドライバーの免許返納の一歩手前の受け皿、過疎地域のガソリンスタンドが閉店していく中での地域の足、物流のラストワンマイルの担い手、或いは観光地のゲタ代わりとしてこのような超小型モビリティが求められているという。

また国土交通省の調査によれば一般ドライバーの乗車人数は2名以下で10km以内が7割。更に5割が高速道路を走らないので、超小型モビリティの潜在的な需要があるとされ、超小型モビリティの普及によって運輸部門からのC02排出を削減できるのではないかという考えが背景にある。

その区分は下記の様になっており、今回取り上げるC+podは超小型モビリティ(型式指定)となる。



表を見ると分かる通り、C+podは原付扱いのミニカーと同じ寸法関係でありながら、ミニカーよりパワフルな原動機を搭載しても良い分、高速道路の走行はできず、最高速度は60km/h以下に絞られた軽自動車の一種である。最高速度を絞り、高速道路の走行を諦める代わりに衝突安全基準もフルラップ衝突が50km/h→40km/hに、オフセット衝突が56km/h→40km/hに緩和され、更にポール側突が免除される。

購入時にCEV補助金は貰えるが、免許は普通運転免許が必要で車検も軽自動車税も必要である。つまり、ユーザー目線では小型モビリティは不自由な軽自動車にしか映らない。上記を反映したのかC+podは個人で購入はできずリース契約のみの車種となっている。

現状でもコンビニエンスストアの配送車両や郵便配達車に超小型モビリティを使用している事例はあるが、これら車種はスクーターやスリーターより対候性が良く、コンパクトでちょっとした路上駐車は容易い点が営業車に向いているという。

●トヨタの超小型モビリティ
トヨタはかねてから、CO2削減のためにはHEV・PHEVが向いている。BEVは近距離コミューターに適しているという考えを発表してきた。

私が若い頃は、日産がハイパーミニ(2000年)、トヨタはe-com(1999年)を発表し限定的な用途で世の中に存在していた。特にハイパーミニは当時400万円という価格も普及には繋がらなかった。

2003年にはBEVでは無いもののスズキが軽自動車企画のツインを発売。かなり専用設計の部分が大きい車だったが、50万円を切るスタート価格で市販されるも、わずか2年で販売を終えている。

そんな中、C+podは新しい超小型モビリティの規格を活用し久々のコンパクトなBEVを世に出した。少量生産を前提とした小規模メーカーの製品とは一線を画したハイテンを活用したアンダーボディを奢っている。Frエンドは衝突安全のためのスペースとし、フロア下にインバータや薄型Liイオンバッテリーを搭載。モーターが後輪を駆動するレイアウトとした。昨今のBEVやPHEVはフロアが高いため手足を投げ出すような姿勢を強いられるがC+podでは自然なフロア位置と健全な着座レイアウトが心地よい。航続距離を150kmに焦点を当ててバッテリー容量を減らしたことと小径タイヤ(13インチ)が功を奏しているのだろうか。

P/Fは汎用性を考えて一般的なプレス成型品をスポット溶接して組み上がっているが、Aピラー~ルーフサイド、B-Cピラーなどの上屋はパイプフレームをリベット加工するなどして金型代をかけずに簡便に済ませているのが特徴的である。衝突エネルギの管理はプラットフォーム側に任せて衝突安全でトクした分を活用していると言うわけだ。美観に関わる外板は樹脂成形で作られておりカラーバリエーションやツートンカラーも容易に拡張しやすいことが特徴である。



諸元を見ていると第二次世界大戦後のバブルカーにも似たスペックを感じる。しかし、スバル360やミゼットIIよりも小さいサイズであり、相当に小さい。2名乗車だが、荷室はほぼ皆無でリュックサックくらいしか乗せられないだろう。衝突安全性能面で比較にならないがスバル360は実際に4人乗れるパッケージを実現しており、まだまだBEVはスペース効率が悪いと言うことを感じざるを得ない。

上にも書いたがC+Podは2024年夏を目処に生産中止となるという。これまでの生産台数は2000台程度と言われており、お世辞にも商業的に成功したとは言いがたい。クルマとしての粗さ、コンセプトの粗さなど実際に乗ってみても支持が得られる要素が何一つ無い点に寂寞感があった。

個人的には自動車を一台だけ持つとしたら、一切高速道路を走らない自信が無いので近距離専門だったとしても超小型モビリティには辿り着かない。フリートユースやカーシェアリングなど別にどうでも良い車の一つとしてこの手の超小型モビリティが求められるのかも知れないが、同じコストで衝突安全基準も高く、4人乗れて高速道路も走れる軽自動車があるのなら、わざわざこちらを選ばないといけない理由は何処にあるのだろうか。

唯一この手の超小型モビリティを選ぶ可能性があるとしたらとしたら、年老いて高速道路など存在しない公共交通機関の脆弱な地域に住んで、免許返納直前に仕方なく手を出す可能性があるが、それならもう少し自動運転のレベルを引き上げたい。

補助金無しで160万円を超える価格を考えれば、通勤の為だけに使いたいとも思えないし、通勤に使っても高速道路を使う社外出張にも転用できないのは不便である元々スクーターだったピザ屋さんの配達とか、レンタサイクルの代わりにC+Podだったらうれしいかもしれないが。

超小型モビリティ調査のために生まれてきたかの様なC+Podは結局2024年夏に生産を終えるという。町で殆ど見かけないまま役割を終えると言うことは、C+Podそのものの商品性の乏しさだけでは無く、まだ人々はBEVに夢を見たいと思っているし、本当に使っているシチュエーションの+αの機能が未だ必要であることを暗に物語っている。誕生の背景が違うと言えども、日産サクラと、C+Podを含んだBEV超小型モビリティ群の目撃頻度を比較すれば自明である。

何となくトヨタが作りたくて作った車という感じがしないし、だからなのか総合的な商品としての魅力にも乏しい。今後、超小型モビリティ自体も充分認知され、行政機関によって大量購入されるとか、特定の人たちに補助金を出して半額以下で供与するとか何か公的な目的のために存在するならば許容できるだろうが、そのためには価格競争力が必要だ。正直、この内容ならコムスの価格で売って欲しい。

下の写真は1970年の東京モーターショーに出品されたEVコミューター。結局、この時代からEVコミューターが提唱されているが、54年が経過しても、完全に実用化されることはない様だ。

満足している点
1.スクーターよりは安心感がある
2.コムスよりは最低限文化的
3. 普通乗用車流用部品がもたらす安心感
不満な点
1.軽自動車ではなくC+podを積極的に選ぶ理由が無い
2.173.1万円の価格が内容に見合っていない
3.50km/h手前で車両全体が振動して不安感がある
デザイン

3

トヨタブランドのC+Podは超小型モビリティと言いつつも「ちゃんと」デザインされていて安物感が余り感じられないところは所見でガッカリせずに済む点で非常に有り難い。



切れ長なマルチリフレクターLED式ヘッドライトから上をブラックアウトして軽快感を出したり、フェンダー上の面を削いでシャープに見せるなどデザインの力が大いに感じられる。前輪の上には黒い線が入っているが、これによってノーズの長さが感じられるのでスマートやiQでありがちな「ミニバンの顔だけ」感の払拭に寄与している。



インテリアはiQほどトリッキーでは無い、道具感を大切にしたデザインだが、2トーンカラーをうまく使って広さ感を演出したり、ステアリングやウインカーレバーに他車共通部品を流用している点は普段乗っている車との共通性が感じられて、この手のマイクロカーに必要な安心感にも繋がっている。



車幅が狭いのでインパネも狭いが、ヒーコンが無い、オーディオもないのでセンターコンソールはスイッチ式シフトと曇り取りやシートヒーター、クーラーなど個々の装備品のスイッチだらけだ。ちょっと殺風景だが公共物的な要素が強い車なのでこれでも大きな不満は出ないだろう。

デザインは、趣味性は感じられないが性格を考えればリーズナブルで大きな不満は無い。むしろ、細部も自動車らしく見えるのは大メーカーのノウハウが生かされていると感じる。
走行性能

2

乗り込んでドアを閉めた瞬間、クルマがフラッと横に揺れる。軽自動車などでありがちな挙動だ。



コンパクトなボディだが、決して狭苦しくは無く、ミゼットIIを思い出させてくれた。ドラポジを合わせたらブレーキを踏んでスイッチON。Dレンジボタンを押してPKBを解除する。足踏みPKBなのも慣れ親しんだ方式で普通車や軽自動車から乗り換えても違和感が無い。



ブレーキを離せばクリープで走り出す。無音とは行かず、接近通報装置の音が聞こえてくる。スピーカーは外にあるはずなのに非常に良く聞こえる。

アクセルを踏み足せばミャーンというギアノイズを聞かせながらEVらしくスムースに加速する。路地を曲がろうとした時に意外とステアリングが重く、重ステであることに気づいた。車両重量690kgとBEVとしては軽量だがお年寄りやEPS育ちの若い腕力の無い女性にはきついのでは無いか。

大通りに出た。信号待ちから左車線を恐る恐る走らせたが、左車線のリズムには乗って走れる。右車線を追い越していくトラックの音がよく聞こえる。おそらく遮音が出来ていない。ラジオも付いていないのでちょっと気になってしまう。

調子に乗って右車線に出てみたが、60km/hまでしか出せず、そこをピークに作られているので高速域の加速が全然伸びない。轍にステアリングを取られない様にステアリングを抑えながらガマンするも、アクセルベタ踏みなのに頼りない加速Gでバックミラー(防眩!)の後続車がどんどん迫ってくる。

スピルバーグ監督「激突」の主人公の様な気分になり、冷や汗をかきながら左車線に車線変更した。

しばらく走らせて郊外の堤防道路へ向かった。C+Podには幹線道路は似合わない。交通量が無く、信号の無い見通しの良い堤防道路はリラックスして走ることが出来る。

超小型モビリティは近距離用途向けのコミュータなので40km/h+αの速度域で真っ直ぐ走っている限りは何とか軽トラの7掛けくらいの快適性で走ることが出来る。

堤防道路は交差する道路をくぐってちょっとしたコーナーが存在するのだが、これがちょっとヒヤッとする瞬間だ。一気にロールが大きく傾くので怖いなと感じる。重ステなので掌に伝わる路面からのインフォメーションは多いのでゆっくり手応えを感じながら切り足していくのだが、このコーナリング中にドシンと大きな段差があったらバランス崩すだろうかと少し心配になる感じだ。

何も無い直線でイチニイチニとステアリングを振ってみると応答遅れが大きい。ゆっくり走るための車だし、転覆対策も必要なのだろう。非常に応答遅れは大きいものの、サーキットの狼じゃあるまいし、今回の試乗中反応が悪いなとまでは思わなかった。

一方で気になったのは、46km/hを超えると急に尻の下がムズムズするほど振動してくることだ。ちょっと壊れてるんじゃ無いか?と言いたくなる電気あんまの様な振動をするのだが、この速度ピッタリで目立ち始めるのでどこかが共振しているのだろう。

また、上り坂はアクセルを強めに踏まないと動力的にきつかったが、その状態で交通の切れ目を狙ってゼロ発進で合流するシーンが最も怖かった。

市街地向けの都市型コミューターとしてはステアリングの重さや乗り心地の堅さが気になるし、軽自動車の代用品として考えればもう少し加速性能や動的なコーナリング性能が欲しくなる。

過去に試乗したコムスと較べれば、確かに良い。しかし173万円する一種の軽自動車してみるとほぼ半額のミラe:s(スマアシ付き92.6万円)とのコストパフォーマンスの違いを考えると価格設定に納得しづらい。

乗り心地

2

積載性

1

キャビンの運転姿勢は正しく取りやすいが、荷物スペースがデコボコでカーシェアの備品や充電ケーブルでさえ雑然としていたのは閉口した。



プロボックスの様な収納の鬼になれとまでは言わないが、公共的要素が強い車なので書類や手荷物が綺麗に乗せられるようにしてほしい。
燃費

3

カタログで書かれている航続距離は150km、初代リーフが200km、ミニキャブMiEVが133km、サクラが180kmであるから、超小型モビリティとしては充分な航続距離を持っている。



車に乗るとたくさん走りたくなる私だが、あまりの出来映えに「もうたくさん」と白旗を揚げたとき、メーターに表示されていた航続距離は114kmであった。

公共インフラとして充分充電されずに次の利用者が出現する可能性があっても恐らく問題になることは無いだろう。

原付1種の感覚で乗っていたが、航続距離的にはまさしく同等の感覚である。私も若い頃にホンダCRM50?に乗っていたが、リッター30km/Lでおよそ100km~150km程度走れたと記憶している。

ただし、超小型モビリティのC+Podの場合は急速充電が出来ないので基本的に遠出は出来ない。

フル充電は200Vで5時間とのこと。燃料タンクに相当する総電力量は9.06kWhと小さめである。例えばミニキャブMiEVは20kWh、RAV4のPHEVは18.1kWhなので丁度2倍である。

個人的にはもう少し航続距離を落としてでも暖房を設定したり加速力を補ったりして欲しい。
価格

1

試乗車の価格は173.1万円、スタート価格は166.5万円である。

購入した場合、補助金が35万円貰えるので138.1~131.5万円の価格帯になる。

確かに価格自体はコムス(72.7万円、補助金込みで52.7万円)、サクラ(X:231.7万円、補助金込みで176.7万円)の間に位置している。

この中なら走らせた印象も確かに価格に見合っている。しかし絶対的な価値を考えると、約39万円追加してサクラを買った方が幸せになれるだろう。どうしてもC+Podじゃなければ駐車できないとか特別な理由が無い限り私個人は誰かに勧めたいとは思えない。

例えば会社のお金(経費)で外回り様の営業車として買うなどが考えられるが、個人所有で近所の買い物に・・・と言うことであればサクラやミニキャブMievの方が数段実用的で幸せになれると思う。

一方で、交通事情の悪い地域に住んでいて自動車に慣れ親しみ、軽自動車からダウンサイジングしたい人たちには「トヨタが作っている」という事実は魅力的に感じるだろう。

あの改善の鬼だったトヨタの力を以てしてもこの価格かと思うと、BEVは何か考え方を根本から変えないと真の普及価格(補助金無しでガソリン車と競合できる)にはならなさそうだ。

BEVは当面、お金持ちの方にアーリーアダプターになっていただける様に先進感・BEV感に配慮した高額商品として生き残るほか無い?と感じた。
故障経験

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