トヨタ 86 「後期モデルは走りの完成度が高まった」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

後期モデルは走りの完成度が高まった

2023.1.11

年式

2012年4月〜モデル

総評

効率度外視（もちろんしっかり利益が出るよう計算しているはずですが大きくは儲からないはず）で専用車体のスポーツカーを作ったこと。そして細かい改良を重ねて進化させたこと。この2点だけで素晴らしいと思います。いまどき、これだけ安価に買える専用設計した車体のスポーツカーなんてありませんからね。トヨタの心意気を感じる1台です。

満足している点

とにもかくにも後輪駆動のスポーツカーを手軽かつ気軽に楽しめること。2019年モデルともなれば、初期モデルに対して幾度もの細かい改良が施され、完成度が高まっているのもいいですね。

不満な点

これといって大きなウィークポイントは感じませんが、後継モデルの「GR86」に比べるとパワー不足は否めませんね。気軽に全開できる適度なパワーがいいのか、それともGR86のようにトルクフルな走りがいいのかは好み次第ですが、スポーツカーと捉えるとあまり速くはありません。

デザイン

4

見るからにスポーツカーなスタイルは今どきの新車では希少。GR86も2019年のモデルは少し前（2016年）から「後期型」としてバンパーのデザインなどが改められています。後期型のデザインのほうが躍動感があっていいですよね。

走行性能

5

86の目指したのは絶対的な走行レベルの高さではなく、コントロール性と気軽にスポーティな走りを楽しめること。そういう意味では、2019年モデルになると実質的に最終モデルと呼べるほど完成度が高められ、ノーマルでもスライドコントロールなどがしやすくなっていますね。峠の上り道ではV6エンジンを積むハイパワーなミニバンに負けてしまうほどの動力性能ですが、スポーツカーの楽しさは絶対性能ではないのです。

乗り心地

3

スポーツカーだからと言って極端に硬められているわけではなく、日常生活でも心配はいりません。意図的にサスペンションを硬めてキャラクターを際立たせているMINIなどと違い、同乗者からのクレームは少ないのではないでしょうか。ただし居住性まで話を広げると、実質的に大人が乗るのは厳しい後席だけでなく、前席も閉塞感あり。とはいえ、それがスポーツカーらしいという判断もできますが。

積載性

3

トランクは底が浅くてセダンなどに比べると広くはありませんが、大型スーツケースも1つなら積載可能で、日常生活レベルで考えれば十分と言えるんじゃないでしょうかね。後席を倒せば、ノーマルサイズのタイヤが4本積めます。これは開発陣のこだわりですね。

燃費

3

まさか、このクルマに燃費を求める人なんていませんよね？（笑）WLTCモード燃費が12.8km/Lというのはまったくもって自慢できる数字ではありませんが、実燃費でも12km/Lに近い数字をコンスタントに出しているユーザーも多いようです。走りを楽しむスポーツカーと考えれば十分ですね。

価格

5

欧州車がこんなクルマを開発したら、どう考えても500万円では買えないでしょう。なにせ専用プラットフォームに専用のクーペボディですからね。それを200万円台で実現したトヨタは素晴らしい。