トヨタ 86 「スポーティーカーのムーブメントを再び起こしたモデル」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

スポーティーカーのムーブメントを再び起こしたモデル

2022.1.21

年式

2012年4月〜モデル

総評

今でこそそんな雰囲気は感じないが、登場当時は「スポーツカー冬の時代」とも言われていた。このクルマの登場によってスポーティーカー市場やスポーツ走行などのクルマ遊びが再び盛り上がったと感じさせる。そんなムーブメントを引き起こしたことは素晴らしいの一言。中古車も出回っていて汎用性もあるので、スポーツカーが欲しいと思った人にはまずオススメする1台だ。

満足している点

価格や積載性などで現実的な存在でありながら、この時代に新たに新規車種としてFRスポーツを造ったという点が何よりも評価に値する。スポーツカーと聞くと尖がったモデルという印象を受けるが、86はコンセプトとして汎用性が高いクルマという点もあった。それが積載性の高さなどにもつながっているのだが、現代のモータスポーツやスポーツ走行の裾野を広げた存在となったのは間違いないだろう。

不満な点

欲を言えば…の部分になってはしまうが、燃費性能とチューニングベースとしての拡張性の無さが不満なポイントと言える。カスタマイズベースとして人気となったため、過給機チューニングなども進んでいるがトランスミッションやエンジンの耐久性能はチューニングベースとしては線が細いと言える。

デザイン

5

FRスポーツらしいロングノーズショートデッキのシルエット。低いノーズを実現しFRスポーツの王道を体現しているエクステリアデザインと言える。また部分的にエッジが効いたデザインとなっていて、スポーツカーらしいシャープさも兼ね備えている。それでいて、各種エアロパーツが映える仕上がりは、カスタムベースとなることも狙ったデザインなのかと関心させられる。

走行性能

5

2.0LのNAエンジン搭載車で、特別な駆動コントロールや電子制御システムがないことを考えると十分な走行性能と言える。スペックこそ大きく変わってはいないが年次改良で絶えず進化してきたところも見逃せない。新型が登場してもその良さは色あせることがなく、選択肢として「これもアリ」と思わせる。しかし、油温的に少々厳しいのはウィークポイントと言える。

乗り心地

5

乗り心地に関して言えば現行よりもこちらの方が優れているのでは？と思う。どちらかというとこちらの先代モデルの方が足回りの味付けがソフトな印象に感じて、あらゆるシーンでオールマイティに対応可能という印象だ。しかし、ワインディングやサーキット走行では現行の方が優れていると感じる。

積載性

5

実際に調べた訳ではないが、見た目の印象は現行型よりも積載性に優れていると感じる。純正タイヤ4本が積載できることを考慮した設計となっているので、使い方次第ではなかなかに可能性を感じる積載性である。様々なユーザーにとってこの点はありがたいポイントと言える。

燃費

2

水平対向エンジンのウィークポイントからくるものであるが、2.0LのNAエンジンで比較的軽量な車体の組み合わせ、という観点から考えると正直いって燃費性能はあまりいいとは言えない。最もこのモデルに優れた燃費性能を期待する声はあまりないとは思うが、庶民のスポーツカーとしてはマイナスポイントと言える。

価格

5

当時の新車価格はもちろん、現在の中古相場を踏まえてもFRスポーツとしては庶民の味方と言えるプライスなのは高評価だ。スペックから考えて「超お買い得」という訳ではないが、現行型と違ってイチからFRパワートレイン＆プラットフォームが作られた上でと考えると、価格の評価は現行型よりもこちらの方が高い。