スズキ ジムニーシエラ 「オンロードでの快適性や燃費性能と引き換えに得るもの」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

オンロードでの快適性や燃費性能と引き換えに得るもの

2022.1.21

年式

2018年7月〜モデル

総評

現行型登場以降人気が爆発し、新たなユーザー層も多くいると聞くがオンロードでの快適性や燃費性能は他の同価格帯のクルマと同じものを求めてはいけない。その点とこのクルマが求めた性能やコンセプトを理解した上で購入して欲しいと思う。他とはちょっと違う特殊なクルマであることを忘れないでほしい。

満足している点

このクルマの良いところは優れたオフロード性能に尽きる。近年はSUVがトレンドでファッション性の高いSUVが増えているが、そのようなクルマたちとは一線を画す。求める性能が明確でそれはメカニズムだけでなく、細かなデザインにも表れている。機能美あふれるクルマと言えるだろう。

不満な点

燃費性能に関してはこのクルマのコンセプトや求めた性能を考えれば致し方ないと思うポイントだが、比較的新しいモデルの割に先進運転支援システムが乏しいのが気になる。同メーカーのMTモデルには衝突被害軽減ブレーキやACCを備えたモデルもあるので、このあたりの装備が用意されるのを期待したい。

デザイン

5

ジムニーらしさと新しさがうまく取り入れられたデザインとして高い評価を受けることが多いが、個人的には狭いオフロードを走るのに適した機能性の高いデザインだと思う。それは単純な形だけでなく、ハンターや林業関係者の意見を取り入れたボディカラーにも表れている。まさにツール（道具）として優れたデザインに仕上がっているのだ。

走行性能

4

オンロードで乗ると快適性はあまり優れているとは言えないだろう、ステアリングのフィーリングもボールナットでダルな印象を受けるし、ロール量も大きく他のクルマから乗り換えると違和感を抱くだろう。しかし、このクルマの本来の目的でもあるオフロードでの走行性能は高い。世界的に見てもこの金額帯でここまで高いオフロード性能を持つクルマはない。

乗り心地

3

ソフトな乗り心地ではあるものの、それは決して乗り心地が優れているという訳ではない。ロール感も大きく高速域では疲労感も大きく疲れてしまうだろう。しかし、それはこのクルマに求めるべき性能か？と言われるとそうではないと思う。このクルマのコンセプトを理解しているならば、オンロードでの乗り心地に目をつぶることも簡単なはずだ。

積載性

2

スクエアなボディ形状から優れた積載性を期待してしまうかもしれないが、はっきりいって積載性はあまり高くない。リアシートの居住性もあまりよくないので実質2シーターと割り切って、普段はリアシートを倒しておくのがいいかもしれない。アウトドア需要などを考えてかリアシート背面と荷室は樹脂製の内装となっている。この点の機能性は高い。

燃費

2

低回転でも大きなトルク特性を実現するために、速度域が低めのギア比となっている影響か燃費性能は優れていない。同じ排気量（1.5L）のコンパクトカーと比べてしまうと燃費性能は大きく不満が出ることだろう。オンロードでの日常使いもするのであれば、その点を理解すべきモデルであると言える。

価格

3

快適装備や先進運転支援システムなどを考えると一般的なドライバーからすると高いと感じざるを得ない。しかし、世界的に見てもこの金額帯で本格的なオフロード性能を備えたモデルは少ない、ということを考えると安いという見方もできる。このクルマの本来のコンセプトを理解すれば人によってはバーゲンプライスと感じられるだろう。