スバルの良心を引き継ぐ車
現行インプレッサが登場した時、日本国内ではハッチバックのみとなったことは物議を醸しました。インプレッサと言えばやはり4ドアセ
2008.10.14
- 総評
- スバルの良心を引き継ぐ車
現行インプレッサが登場した時、日本国内ではハッチバックのみとなったことは物議を醸しました。インプレッサと言えばやはり4ドアセダンのイメージが強かったからだと思うのですが、スバルがそれと決別したことには私も驚いたものです。
このほど、北米などでは発売されていた4ドアセダンが、「アネシス」のサブネームと共に日本国内にも投入されましたが、「インプレッサ=高性能セダン」というイメージから完全に決別する車として登場しました。法人や保守的なユーザーなど、「トランク付きの3BOXセダンでないと・・・」という需要に特化しているようで、STiはおろかS-GTすらラインナップされておらず、一見地味な印象は否めません。
ただ、実際に乗ってみるとアネシスが単なる廉価版のつまらない車ではないということがわかります。しっとりした乗り心地や必要にして十分なエンジンパワー、素直なハンドリング性能、使いやすく開放的な室内空間など、スバルの車が昔から持っていた良心がこの車にもしっかり引き継がれている印象です。スバルがトヨタ傘下に入ったことにより、スバルの車らしい味が失われるのではないかという危惧もありましたが、同じ1.5リッターセダンでもカローラアクシオなどとは全く違う、スバルらしい車です。決して派手ではないが、このような良心的な車が出てくると、スバルとトヨタの今後のコラボレーションも決して悪いものではないなと思います。
- 満足している点
- ・ガラス面積が広く視界がよい
最近の車の多くは全高を高く見せないようにするデザイン上の処理や、衝突安全対策からウインドウの下端が高くて窓が小さく、室内に閉塞感があるものが多いのですが、アネシスはウインドウ下端が低くて窓が大きいため、室内に開放感があります。
また、窓が大きいことは、車の周囲の死角が減り安全運転に貢献します。交通量の多い市街地中心部で試乗したのですが、歩行者・自転車などがよく見えて安心感がありますし、狭い駐車場にも入れやすいです。
・必要十分な動力性能
ハッチバック登場時に同じ1.5リッターの15S(4WD・AT)に乗ってみたのですが、この時走り出した瞬間に感じたのは「お、遅い!!」ということでした。街中でちょっと強く加速をするときもかなかスピードに乗らず、正直言って遅い車でした。
インプレッサの1.5Lは先代からエンジンパワーが足りないと指摘されてきましたが、アネシスのエンジン性能はほとんど問題ありません。エンジンのスペックはハッチバックと特に変わった点はないようですが、街中を走っている限り軽快に走り、不満のない動力性能です。
シャシー性能については、非常に素直でライントレース性に優れている印象です。重心が低くてロール感が少ないため、運転していて気持ちいいです。
・乗り心地が良い
現行型ハッチバックが登場したときから定評のある乗り心地ですが、アネシスにも引き継がれており、1.5Lクラスの車としては非常に快適です。
・トランクスルーの実用性が高い
アネシスは全車にトランクスルーが標準装備されていますが、後席背もたれを倒すと長方形の広大な穴が出現し、非常に実用性が高いです。また倒した背もたれがほぼフラットになり、床面の段差も少ないため、ワゴン的に使えそうです。
トランクスルーが付いていても、穴が小さかったり床面の段差が大きかったりする車が多い中、アネシスは使えるトランクスルーです。
・リヤワイパーが標準装備
非常に地味な装備ですが、3BOXセダンにもかかわらず、リヤワイパーが全グレードに標準装備されています。ハッチバックに比べてリヤウインドーへの雨や汚れの付着が少ないとはいえ、安全に直結する装備なのでありがたいです。まして、リヤワイパーは後付けができない装備なので・・・
- 不満な点
- ・後席背もたれの角度が寝すぎ
後席背もたれの角度がやや寝ており、ダラッといい加減に座る姿勢になってしまいます。後席の頭上空間が握りこぶし横に一個分(身長175cm)程度とややタイトなので、頭上空間をクリアするために背もたれを寝かせているのでしょうが・・・
せっかくトランクスルー付きで背もたれの角度は変えられるはずなので、今後の改良時に、背もたれ固定位置を何段階か選べるようにしてはいかがでしょうか。
・シートの出来がイマイチ
前席シートは背もたれが低くて、肩付近のサポート性が良くありませんし、背もたれ・座面とも体を点で支えている感じで、平板な印象です。追突時の頚椎へのダメージを軽減するアクティブヘッドレスト機構が備わっているのはいいのですが、背もたれクッションにその存在が感じられてあまり快適ではないのと、ヘッドレスト上部が常に後頭部に接している感じで少しうっとうしいです。
またサイドサポート部の表皮の合成皮革がビニール丸出しの安っぽい質感です。スポーツ性をアピールすることを狙っているのかもしれませんが、全面トリコットでいいと思います。
・ブレーキの効きがいまひとつ
ブレーキの効きがあまりよくありません。60キロ程度からやや強めのブレーキをかけると、ローターにパッドが喰いつかず、「ツツツ~」と滑走していくような印象です。シャシー性能は高いだけにやや残念です。
・1.8リッターのラインナップがあってもいいのでは?
1.5Lでも必要十分な動力性能なのですが、プラスアルファの余裕を求めるといきなり2Lになってしまいます。2Lはスポーティグレードのみとし、ベーシックグレードには1.7~1.8Lでよいのではないでしょうか。
- デザイン
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- 走行性能
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- 乗り心地
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- 積載性
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- 燃費
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- 価格
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- 故障経験