ロールスロイス ファントム 「俗世から遮断された異世界のクルマ」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

工藤 貴宏
工藤 貴宏
自動車ジャーナリスト
評価

5

デザイン
4
走行性能
5
乗り心地
5
積載性
5
燃費
1
価格
1

俗世から遮断された異世界のクルマ

2021.9.30

年式
2018年1月〜モデル
総評
この世界を知ってしまうと、一般的な量販車とは見ている世界が違うことに気が付く。まさに孤高の存在だ。何もかもが一般常識からかけ離れた、限られた世界に住む人だけの特別なクルマである。もし購入するならEWB(エクステンディド・ホイール・ベース)と呼ばれるロング仕様を強くお勧めする。後席のゆとりがまるで違うからだ。
満足している点
圧倒的な存在感。豪華絢爛な作り込み。快適性。そしてリヤシートに座って移動する際の、「下界を見下ろす感じ」が凄い。このクルマの後席は開放感が少ないものの、外壁に包まれた部屋にも似た“閉ざされた空間の落ち着き”がある。この感覚はロールスロイス以外のクルマでは味わえない。
不満な点
これといって気になるポイントはない。価格の高さ、車体の大きさとそれに伴う不自由さ、燃費の悪さ、維持費の高さ……などは、このクルマを所有するオーナーにとってはウィークポイントというよりはむしろ勲章のようなものではないだろうか。
デザイン

4

まさに威風堂々。パルテノン神殿がモチーフとされるグリルなど威圧感の強いフロントに、横から見ると後ろ下がりのショルダーラインに四角いキャビンを組み合わせた独特のスタイルを構築している。標準タイプでも全長6m近い全長と1.7m近い全高が生み出すプロポーションも浮世離れしたもの。圧倒的な存在感。
走行性能

5

一般的な感覚からは離れた不思議な乗り味。アクセルをグッと踏み込んでも動きがゆったりで急加速しているようには思えないが、実際には460psのエンジンを積んでいるのでしっかり加速している。それを乗員に伝えない、どっしりと構えた感覚が独特だ。旋回も同様で、乗員へ不快な挙動を感じさせない安定感が見事。
乗り心地

5

エアサスと電子制御可変ダンパーが状況に合わせて瞬時にサスペンションを最適に調整してくれるので、路面の細かい凹凸をシャットアウト。そのうえで段差を超えてもまるでそれがなかったかのように乗員へ伝えないのは見事としかいいようがない。沈み込み感が素晴らしいリヤシートも贅沢の極みだ。まるで魔法の絨毯のよう。
積載性

5

548Lと文句なしの大容量。複数の大型スーツケースを積んで空港や客船ターミナルへ向かうことが可能だ。ただしリヤシート格納といった、一般的なクルマでは常識的な仕掛けはない。
燃費

1

車両重量が2.5トンを超え、排気量6750ccのV型12気筒ツインターボという巨大な心臓を持つ。もう燃費の話はするだけ野暮だろう。乗用車において、もっとも燃費の悪い部類にどっぷりと浸かっている。ガソリン価格の変動なんて気にしない、ガソリンの値段に詳しくない人向けのクルマだ。
価格

1

量産車のなかではもっとも高価な部類。都内にちょっとしたマンションを買える金額だ。坪単価で言えばかなりの額となる。しかし、実際にこのクルマに触れると「不当に高い」なんて感じるどころか、内外装の別次元の作りから「このくらいはするよね」とすら思えてくるから不思議だ。
工藤 貴宏
工藤 貴宏
自動車ジャーナリスト
1976年生まれ。クルマ好きが高じ、大学在学中に自動車雑誌の編集部でアルバイトしたことをきっかけに、そのまま就職。そして編集プロダクションを経てフリーランスの自動車ライターに。日々新車を試乗し、日夜レポートを書く日々も気がつけば10年以上。そろそろ、家族に内緒でスポーツカーを買う癖はなんとかしないと。
ロールスロイス ファントム 新型・現行モデル