プジョー 5008 「実用的なフレンチクロスオーバー」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

実用的なフレンチクロスオーバー

2021.9.30

年式

2017年9月〜モデル

総評

輸入車で、適度なボディサイズ、3列シートモデルで3列目を畳めば荷室が広く、ボトムグレードは500万円に届かない。そんな5008の商品力はかなり高い。購入時に重視すべきはクルマのデザインやインパネ周りの雰囲気、そして運転感覚が身体に馴染むかどうか。特にコックピットまわりはやや癖があるので、しっかりと確認してから購入を決めるといいだろう。

満足している点

スターティングプライスが500万円を割り込む3列シートの輸入車というのは大きな魅力。全長4.64mと大きすぎない割に3列目を畳んだ際の荷室が広く、パッケージングも優れている。車体が大きすぎず室内空間にゆとりのあるSUVを求めている人とのマッチングがいい。

不満な点

人によって大きく意見が分かれそうなのが、コックピットのコンセプト。高い位置にメーターパネルを置き小径のハンドルを組み合わせた設計は、ハンドルによりメーターが遮られるのを防ぐ狙いがある。それ自体はいい発想だが、小径ハンドルの操作性は「すぐに慣れる」という人がいる一方で「いつまでも慣れない」という人も。筆者は前者だが。

デザイン

3

プジョー5008のパッケージは初代と2代目で大きく異なる。初代はシトロエン「C4ピカソ」とボディを共用する純ミニバン。2017年登場の2代目は、クロスオーバーSUVである「3008」を3列化したロングバージョンだ。長いボンネットと武骨な仕上がりとした2代目のほうがアクティブな雰囲気が強く、そのぶん生活感は薄まっている。2021年1月にマイナーチェンジを受けた後のフレームレスのグリルはとにかく斬新だ。

走行性能

4

とりたててスポーティというほどではないが、昨今のPSA（旧プジョーシトロエングループ、現ステランティス）のクルマ作りのいい面が滲み出ている。ハンドリングはしっかり感があり、峠道などでも嫌な挙動がなくドライバーの思い通りに爽快に走ることができる。エンジンは1.6Lガソリンターボと2.0Lディーゼルターボが選べるが、推奨したいのは後者。どちらも低回転トルクが太くて扱いやすいが、ディーゼルのほうがより力強くてキビキビ走れる。

乗り心地

4

フランス車は乗り心地のよさに定評があるが、この5008も良好だ。路面の凹凸をしっかりと吸収し、乗員に不快さを与えない、乗員にやさしいクルマといえる。いっぽうシートはかつてのフランス車のような柔らかさはないが、長時間座り続けても疲れにくい伝統は受け継がれている。

積載性

5

3列シートモデルだけあり、3列目格納時のラゲッジスペースは奥行きが広く積載性抜群だ。3列目シートは床下へスッキリと収まり、その状態での容量はなんと702L。奥行きは1.2mに迫る。2列目は左右と中央の3分割で、1席分だけ畳んで2人がゆったり座れるなど、アレンジの自由度も高い。

燃費

4

エンジンはガソリンターボとディーゼルだが、いずれも良好と言える。WLTCモード燃費は前者が15.6km/L、後者は16.6km/L。車体が重いにもかかわらず、輸入車のガソリン車としてはかなり優秀だ。ディーゼルは高速道路をゆっくり巡行すれば20km/Lほどまで伸びるから、ロングドライブ好きであれば特に満足するだろう。

価格

3

もっともベーシックなタイプで460万円。国産車でのライバルと言えるマツダ「CX-8」に比べると割高感は否めないが、輸入車として考えれば身近な存在だ。もし中古車として購入するのであれば、新車時のプライスに比べて割安な印象。