Takahide Sumidaさん
日産 エクストレイル
グレード:20S“エマージェンシーブレーキパッケージ”_5人乗り(CVT_2.0)
2015年式
乗車形式:レンタカー
無骨なスタイルから一転、都会派になって好き嫌いが分かれるのでは
2016.1.3
- 総評
- 現行型がフルモデルチェンジした時、これがエクストレイル!?と目を疑った。それもそのはず、3代目エクストレイルはエクストレイルとして開発されたわけではなく、北米向け「ローグ」を日本のエクストレイルとして割り当てられたグローバルカーなのだ。聞けばこのローグ、北米市場では生産が追いつかないほど売れており、日産九州で補完生産されるのだとか。
そんな諸事情を知っているのと知らないのでは、三代目エクストレイルに対する印象も異なってくる。というのは先代までが守ってきた、あの無骨なSUVをまんまと捨てて、いきなりスタイリッシュなSUVに仕立ててきたものだから、支持層を置き去りにしたと言われても仕方がないだろう。
田舎に行くとエクストレイルはおじさんがちょっとした釣りに来てたり、林業やアウトドアの道具として、いわばランドローバー的に使われている光景をよく目にした。そういったユーザーに対し今回の様変わりは置いてきぼりにしたかと思いきや、先代まで守ってきた防水のシートにやラゲッジボード、このラゲッジボードで棚や仕切りを作れたりと、エクストレイルらしさは一応、踏襲されている。
とはいってもこのエクストレイル、新型車だけに安全装備が充実しており、自動ブレーキや車線逸脱警報が装備されており、上級グレードになればお得意のアラウンドヴューを応用して車庫入れもやってくれる機能もあるなど、やっちゃえ日産の横展開は勢いが感じられる。
現行に乗るのはおそらくこれで3回目だと思うが、やはりエクストレイルらしい個性を感じることは希薄に思った。これは今の日産グローバル車種全体に言えることで、マーチ、シルフィからティアナまでそう。2000年代の良かった頃の日産車のアイデンティティはゴーンちゃんによってバッサバッサと切り捨てられた。
さらに追い討ちをかけるようで心許ないのは、低中速域での乗り心地が良くなかった。これもマーチにもノートにも続く傾向だが腰が太いのはいいがサスペンションの減衰不足で上下にピョコピョコ跳ねる傾向が見られ、これなら先代の方がいいと思ったほど。それに右折する交差点でスタッドレスではあったが簡単にスキール音を鳴らすなど、今回に限ったことであってほしいがネガティブな印象がつきまとった。
今回のエクストレイルは思えば乗用車クリーンディーゼルで先陣を切った筈で、立ち消えかと思っていたらハイブリッドが追加された。詳しくは調べていないのだが現在のディーゼルではユーロ6など規制値に対応できていないのでは。刷新もままならない状況なのだろうか、なんだかもうブレブレである。カルロス・ゴーン率いる日産はルノーを兄弟に持ち、メルセデスとも提携関係にある大きな会社で一車種でも影響が大きい。それだけに最近の日産のクルマ作りは会社の諸事情をユーザーに被せられたようなクルマが少なくない。エクストレイルもそのうちの1台になってしまったことは残念に思う。
- 満足している点
- ・街中で映えるスタイリング。反面、日本の田舎情景に合わなくなったか。
・遠慮なく使い倒せるラゲッジスペース。
- 不満な点
- レーダークルーズコントロールが採用されていないこと。それなのにメーターパネル内では今となってはレーダークルーズコントロールかと勘違いしそうな紛らわしく映るインジケーター。廉価グレードにはオプションでもいいと思うが、それ以外は標準装備とするべし。
- デザイン
-
-
- 走行性能
-
-
- 日産車全般に言えるのは機関系と駆動系のデリバリーが上手く、CVTであってもロスなく車体を推進力に繋げているのが素晴らしい。
- 乗り心地
-
-
- ダンパーの減衰力不足で、ピッチング方法に揺さぶられる傾向あり。不整路ではゴリゴリと微振動が伝わってきた。200万円台中盤のクラスとしてはもうちょっと何とかして欲しいのは本音。
- 積載性
-
-
防水の丈夫なラゲッジボードにより仕切りを作ったり、棚を作ったりと、荷室アレンジが楽しい。
- 燃費
-
-
- 価格
-
-
- 故障経験