日本初の快挙
『・・・それは完全にブラインドなアップヒルの高速右ターンで、進入速度は楽勝で160Km/hを超えてしまう。そこをガヤルドで走ったときには
2011.3.6
- 総評
- 日本初の快挙
『・・・それは完全にブラインドなアップヒルの高速右ターンで、進入速度は楽勝で160Km/hを超えてしまう。そこをガヤルドで走ったときには思わず目をつぶってしまいそうになったほどだ。アペックスに向かって旋廻Gを高めていく過程は心臓が口から飛び出しそうになるほどで、ほとんどフルスロットルではあったが完全には踏み切れなかった。ところが同じコーナーを、GT-Rでは完璧にフラットアウトで抜けられたのだ。リミッターが効いたまま180Km/hで進入し、脱出までまったく同じスピードのまま平然とクリアしていったのである。・・・これはもう圧勝としかいいようがない。・・・このクルマこそ間違いなく2008年の最高のドライバーズカーだ。一刻も早く英国でも販売すべきである。』
この記事は、「AUTOCAR JAPAN 2008年12月号」の記事の抜粋であり、予選を通過した5台(①アウディ・R8、②ランボルギーニ・ガヤルド、③ロータス・エリーゼ、④ケーティーエム・クロスボー、⑤ニッサン・GT-R)を、英国マン島においてテストし、総計9人の英国人のロードテスターや編集者がベストハンドリングカーを選んだときの記事である。
この記事が象徴していると思うが、これまで、日本車に対して、クルマとして本当の意味では決して誉めなかった海外の専門家がなかばあきれ顔で、脱帽、という形で認めざるを得なかったのが今度のGT-Rなのだと思う。
まさに、日本車が、耐久性などの品質や価格の側面からではなく、いわゆる「クルマ」として本当の意味でオリンピックの「金メダル」をとったのだといっていいと思う。それも、従来の欧米の価値基準の延長上ではなく、日本発のオリジナルの価値をぶつけての快挙だと思う。
- 満足している点
- ゴルフバック2個積めて、無理すれば4人乗れて、オートマと完全に同じ操作でマニュアルと同じ動作をし、サーキットではレーシングカーとなり、家ではお買い物カーにもなり、腕がなくてもレーシングカー並みに早く走れ、しかもニュルでほぼ世界最速、故障はほぼ皆無などなど・・・、欧米のスポーツカーの発想ではありえん発想だと思う。宮沢賢治の世界を別の意味で現実にクリアして見せたような。
私は、3年乗っているが、いつもわくわくしながら乗っている。ほかの車なら手に汗をじっとりにじませながらでないと通過できないようなカーブも、メータをみると本人が信じられないスピードで信じられないほど平然と通過していることに気づかされる。これほど痛快なクルマはない。かなりの雨の夜の運転のこの安心感はなんだろう。これほど安全と思わせるクルマもないのではないか。全く故障がない。この点はしっかり日本車だ。しかし、ハンドルを握ったときの重厚感は、一瞬、戦車か装甲車をイメージさせるほど。が、しかし、走り出すとこの軽快さ、痛快さ。
- 不満な点
- これだけの長所に対して支払うべき対価としてはむしろ当然かもしれないが、欲を言えば、維持費(特にタイヤ交換費)が高いこと、タイヤ選択の自由度がないこと、そして、中傷としか思えないような言われ方をされる場合があること。中傷としか思えないような評価に対しては次のように思う。すなわち、何を「好き」、「きらい」、「面白い」、「つまらない」等々と感じるかは全く人それぞれであろう。「あばたもえくぼ」の場合もあれば、「豚に真珠」、「猫に小判」、「馬の耳に念仏」の場合もあろう。しかしながら、私であれば、仮に、どう感じたとしても、このような日本初の快挙を成し遂げた金メダリストに対しては、賞賛こそすれ、顔がチープだの、人間的に面白みのないやつだ、などなど・・・と嫉妬がらみの難癖、と受け止められかねない言い方をするようなことはできないだろう。世界最高性能の超音速ジェット戦闘機に対して、プロペラで飛ぶゼロ戦のような操縦感覚が得られないから操縦してもつまらないなどといってみてもしょうがないし、下手すると、自らの趣味の矮小さを白状したなどと変に受け止められかねないし、誰をもハッピーにすることはないし、逆に、「あばたもえくぼ」の人を著しく傷つけることになりかねないし、いいことはひとつもないので、それこそつまらないではないか。
癪に障ろうが、ほかの事では文句があろうが、そのこと、つまり、「クルマ」なら「クルマ」がいいのであれば、他の点はどうであれ「いいものはいい」、と、凛としていう人が多い点で欧米社会は立派だと思う。また、そういう考えが、騎士道の精神であり、武士道の精神であり、スポーツマンシップでもあり、仁義でもあり、人間としての品位・品格ともなるのではないかとも思う。
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