日産 エルグランド 「低床・低全高パッケージの功罪」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

一条 孝
一条 孝(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

3

デザイン
3
走行性能
4
乗り心地
4
積載性
2
燃費
3
価格
4

低床・低全高パッケージの功罪

2023.6.23

年式
2010年8月〜モデル
総評
3代目エルグランドのデビューは2010年。デビュー以降大きな進化はなく、販売面ではアルファード/ヴェルファイアに大きく水をあけられている。低床&低全高のパッケージは操縦安定性の高さで有利でも、Lクラスミニバンで小さく見えてしまうのは選択肢として厳しい面がある。室内空間もアルファードのほうが広く、ラゲッジルームの使い勝手でも差がつけられている。次期モデルでは高級ミニバンの元祖としての意地を見せてもらいたい。
満足している点
ミニバンとしては乗用車的なドライビングポジションが得られ、しなやかさのある足まわりがもたらすフラットかつ上質な乗り味がいい。操縦安定性も良好で、ミニバンとしては安定した走りが確かめられる。
不満な点
エンジンは3.5L V6と2.5L直4の2タイプ。ライバルのようにハイブリッドの設定はなく、経済性でのセールスポイントがない。室内空間もLクラスミニバンらしいゆとりが欲しいところ。
デザイン

3

基本デザインはデビュー当初から変わらないが、2020年のマイナーチェンジでフロントグリルを一新。ボディカラーも新色が採用され、新たに2トーンカラーが設定された。インテリアもインストルメントパネルからドアトリムにかけてのデザインをリニューアル。センターには10インチの大型ディスプレイを装着し、連続したキルティングパターンのシートも採用されている。
走行性能

4

250シリーズに搭載される2.5リッター直4エンジンは必要にして十分といった性能を確保。350シリーズに搭載される3.5リッターV6は余裕ある走りをもたらし、滑らかな吹き上がりも確かめられる。操縦安定性も良好で、コーナーでのロールもさほど気にならない。
乗り心地

4

フラットで上質な乗り味が得られ、4気筒エンジンでも回した際のノイズは低めに抑えられている。滑らかに吹き上がるV6のフィールは余裕たっぷり。どの席に座っても快適だが、中折れ機構を備えた2列目キャプテンシートと3列目シートの座り心地には少なからぬ開きがある。
積載性

2

サードシート後方には奥行き550mmのラゲッジルームを確保。容量は十分とは言えないが、アンダーボックスを活用することで9インチのゴルフバッグを立てて収納することも可能。クッションとシートバックは6:4分割可倒式を採用し、前倒し収納することで奥行きのあるフラットなフロアが出現する。
燃費

3

3.5リッターV6のWLTCモード8.7km/L、2.5リッター直4は10.0km/L(いずれもFF)。経済性を重視するユーザーには向かず、エルグランド自体にもe-POWERを設定するなど、何らかの対策が必要だ。
価格

4

2023年4月に原材料費の高騰により、エルグランドは20〜30万円アップの価格改訂が行われている。車両価格はやや高価な印象もあるが、現在(2023年6月)3列シートの国産高級ミニバンはエルグランドのみ。まもなく新型アルファードが登場するが、どんな価格設定になるのか気になるところ。
一条 孝
一条 孝
自動車ジャーナリスト
自動車専門誌の編集&ライターとして活動後、自動車ジャーナリストとして専門誌やWeb、タブロイド紙などに寄稿。運転する楽しさを追求するとともに、環境性能やパッケージングにもこだわりを持つ。これまで保有した車の大半はFRレイアウトのマニュアル車。日本自動車ジャーナリスト協会会員
日産 エルグランド 新型・現行モデル

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