三菱 アウトランダーPHEV 「未完の新世代グランドツアラーか。」のユーザーレビュー

未完の新世代グランドツアラーか。

2023.3.10

総評

この車の個性はパワープラントと特徴的な駆動系。どの自動車メーカーも未だ持って無い組み合わせです。
いささか電子制御演出過多で足回りからのインフォメーションも希薄なため、かなり好き嫌いが出ると思います。
オーソドックスな機構でハイパワー、全てがレスポンシブな車は勿論楽しいですが、アウトランダーに乗ると車を操る事が好きなドライバーは敬遠するかもしれませんが、違う解釈での到達点を感じられると思います。
でもガタイに合わない電制任せの機動性を喜ぶ車ではなく、バッテリーマネジメントを意識して環境負荷を低減する走りをドライバーが実践する。そのような付き合い方が醍醐味な車だと受け取っています。

満足している点

どんなドライビングシチュエーションでも対応出来ること。
車としては正直熟成不足なところがあり物足りないですが、S U Vスタイルの群れの中ではデジタルギミックのお陰でトップクラスの走行性能だと思います。日本の四季、天候に対応して移動できる、グランドツアラーだと思う。

不満な点

エクステリアとインテリアは上質感は高いけど、上質ではないです。
昔に乗っていた三菱車(二代目パジェロのマイナーチェンジ後モデル)のように、気づくと車内に固定クリップやら小ネジが転がっている様な事は無くなりましたが、エクステリアとインテリアのパーツ類接合やステアリングとフットペダルの支持剛性まで含めて、各部の建て付けは緩いというか安普請。しっかり組み立てられた車が持つ精緻感を感じない。
車としての動的性能がここまで高いのに、製品としての本質的な事が低くて損をしてると思うので、所有満足度は経年で下がっていくと思います。
新生三菱自動車の象徴として、オプション装備品を含めてリピートしたいと思わせるクオリティアップや仕様変更が必要と思います。

デザイン

3

新世代的な駆動システムと秀逸な走りに重きを置きましたが、エクステリアデザインはECOを標榜するにしても走りを売りにするにしても、走行時の空気の流れをコントロールする思想がデザインに無いことが既にオールドプレイヤー。
でもエクステリアフォルムは前後タイヤ上のショルダー部が盛り上がって力強さが出ているし、ボンネットはまんまクラムシェルデザイン。
体躯の割に短いホイールベースは残念ながら、アノ欧州SU Vの雄を思わせる良いフォルムを構築していると思う。
でもインスパイアされたデザインを誤魔化そうとしたのか、今どき使うかというレベルの古臭いサイドのキャラクターラインやオーバーフェンダーをイメージさせるタイヤハウス上のライン等、何でも盛り込もうとした余計な装飾のオンパレードと安っぽいメッキパーツのお陰でサイドビューはフォルムに合わない雑っぷり。そして古臭い

走行性能

3

基本的に電動車にドライビングファンを期待して無い古いタイプのドライバーですが、意外にも楽しめたのはターマックモード。ワインディングのアップもダウンもこの車体に見合わない挙動。
でも、ユーザーニーズが少なそうなオフロード走行も視野に入れた為に足まわりの路面を掴む様な安定感は皆無ですし、ステアリングインフォは無いに等しい。多数の走行モード特性を際出させる為に演出された走りは、奥行きが無く飽きるのも早いと思う。

乗り心地

2

重いエンジンと補器類をフロントに積んで、重いバッテリーを腹下に積んでいるのに頑張っていると思いますが、常に締まり感が乏しい乗り心地。
法定速度内でもうねりの有る高速道路は終始煽られっぱなし。特にアクセルペダルを一定値で踏んでるのに常にピッチングを感じる。コレはドライブ疲れを余計に感じるし、常に軽いステアリングと相まってスタビリティはホント頼り無い。この車重にして異様に短いホイールベースに接地感希薄なリアサス、そしてオーバースペックな２０インチホイール等、それは納得の出来具合。

積載性

3

システム上からも床面が高く天地が狭め。おまけにスラントしたリアパネル上部とのコラボで荷物が思ったほど入らないが、いわゆるDセグメントとしては妥当な広さだと思います。
叶うならばＰグレードに欲しくなくても漏れなく付いてくる三列目シート、やはりこれはオプションにしてレス仕様はアンダートレイが欲しい。

燃費

4

現在まで6,500キロ走行。平均ガソリン消費燃費はリッター15キロくらい。同クラスの欧州製Ｐhev車とあまり遜色無くて残念ですが、フルタイム4WDで2トン越え車重、レギュラーガス仕様なのに優秀だと思っています。
高速走行時に効く車体下の整流機能、飾りじゃないエアロパーツが有れば高速走行時のハンドリングが安定して燃費も向上しそう。
出先での充電のみを目的とした急速充電は、時間を無駄にしたくないので利用しません。その時間、他のことで有意義に使いたい。

価格

2

走りの内容はバーゲンプライスだと思います。


ランニングコストはこのクラスの中では秀逸だと思います。消耗品の損耗も少なめの様です。
ただし製品クォリティが期待値を随分と下回り、車格に対して当然の作りが端折られていたり。現物を見ないで期待値で購入しましたが、PHEVである事を差し引いてもかなり割高と感じます。
非常時電源として考えると価値があるが，ドライビングパートナーとしては相性が悪かったです。
そして購入時は魅力的だった４年間保有を条件とした補助金、今では諸刃の剣だったと感じています。

故障経験

エアコントラブルにインフォマティクス系が諸々。メーカーの事象に対応するレスポンスは遅くて残念。販社が可哀想。
電装系は当初の予想通り、脆弱なのか未完成なシステムなのか不安定だと思います。
エクステリアやインテリアも部品が浮いていたり剥がれていたりが多発。面倒なので定期点検の度に交換や修正をしてますが、本当に日本車の安心感が無いのが不思議だが、致命的なトラブルはないです。