マツダ MX-30 EVモデル 「ロータリーエンジン搭載で航続距離の長さをアピール」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

一条 孝
一条 孝(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

3

デザイン
3
走行性能
4
乗り心地
4
積載性
3
燃費
2
価格
3

ロータリーエンジン搭載で航続距離の長さをアピール

2024.2.29

年式
2021年1月〜モデル
総評
MX-30 EVモデルは航続距離の短さが難点として上げられていたが、新たに追加されたプラグインハイブリッドのR-EVはEVとしての航続距離は60km以上を確保し、さらにロータリーエンジンと50リットルの燃料タンクを搭載することで電池の容量を気にすることなくロングドライブが可能。エンジンを発電用とすることにより加速時のスムーズさはEVと変わらず、力強い加速も得られる。普段使いはEV、たまに遠出をするというユーザーに向いたモデルだが、ハイブリッドモードでの実燃費はいまひとつなのが気になるところだ。
満足している点
個性的なクーペスタイルでありながらある程度の実用性を確保し、通勤や買い物程度の使用ならばほとんどEVとして乗ることが可能。急速充電も使えるので遠出の際はガソリン消費を抑えることも出来る。ファミリーユースとしては後席居住空間がやや狭いものの、パーソナルユースとして使うには十分。ラゲッジルームもEVモデルと変わらない350リットルの容量が確保されている。
不満な点
EVモードでの静粛性にすぐれるものの、チャージモードではロータリーエンジンは高回転で回るため「ブーン」といったノイズが目立つようになる。実用燃費もいまひとつなので、遠出の際は急速充電器を併用したくなる。操縦安定性は悪くないものの、ノーズがやや重いこともあって路面によってはピッチングが気になることもある。
デザイン

3

エクステリアデザインの差別化はほとんどなく、REをイメージしたフェンダーバッジ、空力と軽量化に貢献するアルミホイールデザイン、リヤのR-EVエンブレム程度。インテリアデザインにも違いはないが、内装カラーにはブラックの専用色「ナチュラルモノトーン」を新設定。メーターについても右側にバッテリーとガソリンの残量が表示され、電費と燃費を確認することが出来る。
走行性能

4

前輪を駆動するモーターはBEVよりもパワーで勝り、130kg増加した車両重量(1780kg)による動力性能の低下をカバーする。EV走行時の加速性能は劇的な速さこそないものの、このクラスとしては十分なレベルにある。ドライビングポジションに違和感はなく、ハンドリングもシャープ過ぎず、扱いやすいものだ。
乗り心地

4

「ノーマル」モード走行時はエンジンはほとんど始動せず、車内はハイレベルの静粛性が得られる。急加速時にはエンジンが始動するものの、その際のエンジン音はほとんど気にならない。バッテリーを使い果たすとロータリーエンジンが始動するが、その際のエンジンノイズは耳につく音質で「チャージ」モードも同様。欲を言えばさらにノイズを抑えたいところだ。乗り心地はドッシリとした感触があるものの、路面によってはピッチングが気になることも。
積載性

3

ラゲッジルーム容量は350リットルを確保し、BOSE装着車は332リットルとなる。後席シートバックには6:4の分割機構が備わり、前倒しのみで荷室を拡大することができる。R-EVモデルには充電ケーブルのケースが備わり、荷室側面に固定することができる。このクラスとしては十分な広さがあるものの、それと引き換えに後席シートバックが立ち気味になっている。積載スペースを広げるのもいいが、後席にはリクライニング機構があってもいい。
燃費

2

WLTCモード燃費は15.4km/Lと発表されており、MX-30マイルドハイブリッドモデルとさほど変わらない数値にとどまる。EV走行後の実燃費は12〜13km/L程度にとどまり、実際の航続距離は600kmを超えるものの、経済性にすぐれるユニットとは言えない。普段はEVとして使い、たまに充電を気にせずにロングドライブをするようなユーザーには悪くない選択肢と言うことが出来る。
価格

3

売れ筋と見られる「ナチュラルモノトーン」、「モダンコンフィデンス」、「インダストリアルクラシック」はともに478.5万円。PHEV購入時はCEV補助金も出るのでもう少し安く購入することが出来るが、経済性を重視するのであればプラグインハイブリッドのプリウスZもほぼ同価格で購入することが可能。燃費よりも個性的なPHEVモデルを求めるユーザーにはプリウスよりも刺さるモデルではなかろうか。
一条 孝
一条 孝
自動車ジャーナリスト
自動車専門誌の編集&ライターとして活動後、自動車ジャーナリストとして専門誌やWeb、タブロイド紙などに寄稿。運転する楽しさを追求するとともに、環境性能やパッケージングにもこだわりを持つ。これまで保有した車の大半はFRレイアウトのマニュアル車。日本自動車ジャーナリスト協会会員
マツダ MX-30 EVモデル 新型・現行モデル

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