マツダ MX-30 EVモデル 「唯一無二のロータリーを発電用にしたPHEV」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西村 直人
西村 直人(著者の記事一覧
交通コメンテーター
評価

5

デザイン
4
走行性能
4
乗り心地
3
積載性
4
燃費
4
価格
3

唯一無二のロータリーを発電用にしたPHEV

2024.2.28

年式
2021年1月〜モデル
総評
MX-30のPHEVモデル。エンジンで発電するが、その内燃機関がマツダらしくユニークでロータリーエンジン(1ローター)を発電用として活用している。新規開発した830ccのロータリーエンジン(72PS/112N・m)は発電時に最大効率を発揮するように設計された。シリーズハイブリッド方式なのでエンジンが直接タイヤを駆動することはないが、急加速時などはエンジンが4000回転以上回ることから、その存在がしっかり確認できる。
満足している点
17.8kWhの二次バッテリーを搭載するPHEVなので、エンジンを停止させた状態でのEV走行時間が長く「EVモード」では実質90km程度は走行可能だ。外気温10度以下の運転環境でも筆者の試乗では80km程度を記録した。MX-30は観音開き状のスペースユーティリティドアを採用するが、このPHEVモデルでも継承された。2ドア+α的な使い方ではとても重宝する。内燃機関を未来に継承し続けるというマツダの意気込みには賛同したい。
不満な点
おそらく多くのユーザーにはスペースユーティリティドアがないこと、4WDではないこと、カタログ上のハイブリッド燃費数値がふるわないことが不満になるはずだ。確かに競合モデルと比較しても、使い勝手が独特だからユーザーを選ぶし、マツダの中でもたとえば同門のCX-30と比較すると、駆動方式の選択肢という意味でMX-30は分が悪い。また、装備内容からすれば納得できるものの、車両本体価格が高めに感じてしまう。
デザイン

4

新しいライフスタイルを提案するために作られたデザインだ。ヘッドライトの造形はマツダのなかでひと際シャープだし、インテリアには東洋コルク工業時代から培われてきたコルクを配し、マツダならではのシックな装いを含め特別な印象を抱かせてくれる。リヤセクションは大きな弧を描くボディラインと、立体感あふれるゲート処理との相乗効果がサイズ以上に大きく見える。若干、腰高な印象があるが、テールランプのデザイン処理の効果により軽快感も助長された。
走行性能

4

発電用のロータリーエンジンと二次バッテリーの出力を掛け合わせて最高出力170PSを発揮するシステムだ。同軸上に配置されたロータリーエンジン、ジェネレーター、駆動モーターによりエンジン発電時であっても体感として伝わる振動はごくわずか。とても上品だ。しかし、アクセルを大きく開けると一気に高回転域まで上昇し、さらにそのロータリーエンジンに合わせて、スピーカーから発する擬似的なエンジンサウンドが上乗せされ高揚感を生み出す。
乗り心地

3

振幅そのものは小さいものの、やや後輪側からの突き上げが激しい。基本的にフラットライドなのだが路面状況によって上質感がそがれてしまうこともある。MX-30のBEVモデルから搭載するバッテリー容量を半分に減らし、空いたスペースに50L分のガソリンタンクを搭載した。MX-30のBEVモデルでは突き上げをそれほど感じなかったことから、重量バランスの問題と、それに応じたサスペンション(スプリングとダンパー)の設定変更によるところも大きいようだ。
積載性

4

ボディサイズからして順当なラゲッジスペースだ。分割可倒式のリヤシートを倒せば当然ながら長尺物もラクに積載できる。床面積はそれなりだがスペース効率は良好で、サスペンションの張り出しも少ないから大きなスーツケースなどをまっすぐ積載した状態でも、無駄なスペースが生まれない。リヤゲートを開けた際のゲートの高さも低めに設定されている。前席中央の収納スペースは容量と深さがあるので重宝する。
燃費

4

乗り方でずいぶんと燃費数値が変化する。システムの特性もあるが、マツダ独自の電動駆動による加速フィールにも要因がある。マツダは内燃機関で慣れ親しんだ加速特性を、BEVやシリーズハイブリッドモデルでも同じように体感できるよう加速度や連続する加速度である躍度をコントロールしている。よって、他の電動駆動モデルよりも積極的にアクセルを踏み込むと気持ちの良い走りと、良好な燃費数値(筆者の市街地走行では18km/L台)が記録できる。
価格

3

423万5000円〜491万7000円だが、補助金などの交付があるため実質的には300万円台。装備内容が充実しているのでカタログ上の価格はどうしても高くなる。しかし、上質な走りに見合う装備はほとんど標準で装備されているので、所有満足度は高いはず。また、発電用とはいえ新規開発したロータリーエンジンを搭載したモデルとあって、高回転域で発電している際の走行フィールは特有の振動があるが、筆者にはチャームポイントとして感じられた。
西村 直人
西村 直人
交通コメンテーター
WRカーやF1、MotoGPマシンのサーキット走行をこなし、4&2輪のアマチュアレースにも参戦。物流や環境に関する取材を多数。大型商用車の開発業務も担当。国土交通省「スマートウェイ検討委員会」、警察庁「UTMS懇談会」に出席。自動運転技術の研修会(公的/教育/民間)における講師を継続。警視庁の安全運転管理者法定講習における講師。近著は「2020年、人工知能は車を運転するのか」(インプレス刊)。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員日本自動車ジャーナリスト協会会員
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