マツダ CX-60 「輸入車にも対抗できるプレミアム感」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

輸入車にも対抗できるプレミアム感

2022.11.25

年式

2022年9月〜モデル

総評

マツダのラージ商品群第1弾となるCX-60はマツダのスポーツカーを除けば久々となるFRベースのモデル。それだけに気合いの入れようはハンパなく、プレミアムセグメントと比べても遜色のない仕上がりを見せている。現時点ですべてのモデルが出揃ってはいないが、今後も注目を集めることは間違いない。

満足している点

高速域での安定した走りっぷりとすぐれた経済性。直6ディーゼルターボの吹き上がりのスムーズさ、かすかに響くサウンドも上質でCX-5と比べても確実に1クラス上の乗り味が確かめられる。XDハイブリッドの上質な内装も魅力のポイントだ。

不満な点

FRベースのレイアウトを採ることでボディは拡大しているが、居住空間についてはCX-5よりもやや広くなった程度。とくに後席の足元スペースはゆったりといった広さではない。ややスローなステアフィールやATのシフトショックといった気になった点の改善にも期待したい。

デザイン

4

一見しただけでマツダのSUVだと判別のつくデザイン。だが、これまでのモデルと異なるのはノーズの長さとフロントタイヤが前方に追いやられていること。フロントドアとホイールアーチ間の距離が長くなり、FRレイアウトをベースとしていることがよくわかる。長いノーズは直6エンジンを縦置き搭載するだけではなく、直4ガソリンのPHEVの搭載にも必要だった。

走行性能

4

試乗したeスカイアクティブDには3.3リットル直6ディーゼルターボを搭載。254馬力/56.1kgmの性能は1.9トンを超えるボディを余裕で引っ張り、急な上り勾配が平坦路に思えるほどの力強さがある。組み合わされるトルコンレスの8速ATは素早い変速を行うが、タウンユースでの発進時に軽いシフトショックを伴うことも。高速走行における操縦安定性の高さはさすが。ロングドライブは楽勝だ。ロックトゥーロック3.3回転のステアリングはやや重く、切り始めがスローなのでタイトなワインディングでは操作が忙しくなる。

乗り心地

4

前ダブルウイッシュボーン/後マルチリンクの足まわりは操舵に応じた穏やかなロールが得られるが、路面のギャップによっては大きめのショックを伝えてくることもある。100km/h時のエンジン回転数は1500回転と低く、高速クルーズ時の静粛性はハイレベル。一般道での加速時のディーゼルノック音は直接的なノイズではないものの、それなりに耳につくものだった。

積載性

4

ラゲッジルームはホイールハウスの張り出しが抑えられたスクエアな形状で使いやすい。後席シートバックは4：2：4の分割可倒式を多くのモデルに採用し、後席はゲート側にあるレバーで簡単に倒すことができる。フロアとゲート部の段差がないので荷物は積みやすいが、容量的にはCX-5と同等レベル。ハンズフリーパワーリフトゲートは多くのモデルに設定されている。

燃費

5

3.3リッターという排気量でありながらWLTCモード21.0km/Lの経済性には驚かされる。これはCX-5の2.2Lディーゼルターボを上まわり、CX-3の1.8Lディーゼルターボと並ぶ水準にある。とくに高速クルーズでの燃費性能には期待が持てそうだ。

価格

5

ベースグレードとなる25S Sパッケージは2WDで299.2万円。ハイブリッドではない3.3リッター直6を搭載するXDでも323万9500円からという安さ。XDハイブリッドは仕様・装備内容が充実することもあって価格は500万円台となるが、それでも輸入プレミアムSUVと比べれば破格のプライス。