マセラティ グレカーレ 「もっとマセラティらしい個性が欲しい」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

もっとマセラティらしい個性が欲しい

2023.9.4

年式

2022年5月〜モデル

総評

このクラスのSUVは現在トレンドとなっていて、ライバルは多いゾーンだ。それだけに総合的な性能と個性が求められるわけだが、どちらに関しても中途半端な印象。乗っている時の雰囲気はあるものの、割高感とマセラティらしいデザイン性の欠如が目立ってしまい、購入時の決定打に欠ける。エントリーグレードではなくトップグレードの3.0L V6はハイパフォーマンスSUVとしてコストパフォーマンスが高く、イタリア車らしい官能的な雰囲気をより強く味わえる。

満足している点

満足できるポイントとしては走行時の雰囲気だろう。4気筒の2.0Lターボであっても、車内に入ってくるエキゾーストからはイタリア車らしいサウンドを堪能することが出来る。また、インテリアのデザインや色使いもイタリア車らしく、その点での所有欲は高い。

不満な点

エントリーグレードは金額の割高感を感じること、操作系のフィーリングがナチュラルかつグッドレスポンスではないことなどが不満ポイント。さらに、個人的にはエクステリアデザインだ。この手のハイブランドモデルであれば、新規参入となるSUVというジャンルでもそのブランドらしさが出ているべきと思うが、グレカーレはグリルの主張だけで全体的にマセラティらしさが薄いのが残念。

デザイン

2

近年はあらゆるブランドがSUVに進出しているが、その流れを見るとグレカーレのデザインはいささか保守的すぎるというか、オーソドックスな型にはめすぎている印象を受ける。もっとマセラティらしさ、ブランドの個性を出すべきだろう。レヴァンテとの関係性を考えるとボディサイズ的に難しいのかもしれないが、もっとワイド＆ローなシルエットにしてクーペSUVライクなデザインに、そしてグリルをもっと薄くすればマセラティらしさが出るのではないだろうか。

走行性能

3

エンジンのトルクは低速からも十分に感じられるため、日常域では扱いやすいと感じる。エントリーグレードの2.0Lターボでも十分だ。しかし、スロットルに対して鈍感すぎるような印象を受ける。それはオンだけでなくオフも同様。また、ステアリングはセンター付近がダルな印象になっている。トルク感とロール感はさほど悪くないだけに、操作系のフィーリングがもったいないと感じてしまう。

乗り心地

3

低速域ではややハードな印象を受けるが、速度が増すと角が取れてフラットな印象になってくる。ただ、ライバルと比べると全体的にはハード。市街地の低速域を快適に走行したいのであれば、ほかのSUVの方が良いという声は出てきそうだ。

積載性

3

特別な驚きがあるほど広くはないが、期待外れというほど狭くはない。やや縦の奥行きが長いため、長物を載せることが多い人は嬉しいという人もいるのでは。スーツケース4つは厳しいかもしれないが、カバンをしっかりと選べば4人乗車での旅行でも不満が出ることはなさそうだ。

燃費

1

ダウンサイジングターボの2.0Lでも実燃費は10.0km/Lを平気で切ってくる印象。うーん…マイルドハイブリッドシステムとダウンサイジングターボの組み合わせでこの数値は正直言って厳しい。燃費性能が優れていて同じサイズ感のSUVはもっとたくさんある。トップグレードの530PSを発揮する3.0L V6ツインターボならば「しょうがない」と思うが、2.0Lターボでこの燃費性能はいかがなものか。

価格

3

内装の質感が高く、オシャレな感じはいかにもイタリア車というニュアンスだが、それ以外は約1000万円からという価格に見合った感はあまりない。乗っていて雰囲気はそこそこあるものの、金額分の満足感を体感できるかというと個人的には微妙だ。ただ、トップグレードの3.0L V6が1500万円を切ってくるのは少しお買い得感を感じる。（買える人ならば）上級グレードになるほど、金額と満足度のバランス的にはアリだと感じる。