レクサスの300hのパワートレインについてです。

Question

当方、FRのRC300hに乗っていますが、出力について純粋な疑問があります。
300hは2.5L直列4気筒エンジン:最高出力178馬力
電気モーター:最高出力143馬力
システム出力:220馬力 となっています。
ホンダや日産のパラレルハイブリッドだとほぼエンジンとモーターの合算値がシステム出力となりますが、トヨタのTHS2はシリーズ・パラレルハイブリッドで、全く合算値からかけ離れています。
つまり、300hが最高出力を発揮する時はモーターが143馬力、エンジン出力のうち77馬力が駆動に、101馬力が発電機を回すという感じなのでしょうか？
モーターが143馬力を発揮していないのであれば、143馬力のモーターを搭載する意味はないでしょうし。

Answer 1

パラレル方式も馬力はエンジンとモーターの合算値にはなっていません。

トヨタのハイブリッド方式の場合、エンジン出力は発電機と直接駆動に分配されます。
発電機へはエンジン出力の23%以上が分配され、発電で得た電気エネルギーでモーター駆動します。
エンジン出力を分配した直接駆動とモーター駆動を合成して走行します。
この時の動力エネルギーは、発電機に分配したエネルギーと直接駆動のエネルギーですから、合算すると元のエンジン出力−αとなります。
駆動バッテリー電荷に余裕がありモーター出力を多く必要とする場合は、発電した電力エネルギーに駆動用バッテリーの電力を加えます。
この時の車軸トルクと車軸回転数の積が最大となった時が、システム最大馬力となります。
要するに、エンジン最大馬力の178馬力にモーター駆動で42馬力が加わってシステムで220馬力となるのです。
駆動用バッテリーは数百m〜2km程度のアシストしかできませんから、駆動用バッテリーが枯渇に近い状態での最大馬力はエンジン馬力の178馬力が最大となります。
駆動用バッテリーを最大限にに使ってシステム220馬力を出した数分後には、最大出力は178馬力まで落ちてしまいます。

モーター最大143馬力を発揮するのは、エンジン回転数がそんなに高くない時です。
その時点でのシステム馬力は最大ではありません。
THS/THS2は動力分割機構のエンジン軸と直接駆動軸の比率(変速比)を発電機の負荷インピーダンスで制御する無段階変速を実現しています。
そのため、物理的なトランスミッションを持ちません。
これによりモーターは高回転域での動作を余儀無くされます。
モーターは低回転域で高いトルク性能を発揮しますが、一定回転数を超えるとトルクが激減します。
その激減したトルクの領域を一種強引に使うしか無い構造です。
そのため、モーターの定格表示は大きくても、実際の運動性能は数値よりもかなり低くなってしいます。

他社のパラレル型ハイブリッドモデルはトランスミッションがあるので、モーターを高回転域まで酷使する必要は無く、トルクバンドの良い回転域で使用するのでモーター定格表記は小さめとなります。

いずれでも、馬力はトルクと回転数の積でありますから、回転数毎のトルクを求めて回転数を掛けないとその回転数での馬力は出せません。
モーターの低回転域程高いトルク、エンジンの回転数が上がるに連れて増加するトルク。
全く違った特性を合わせるのですから、両方の効率が良い回転数は存在しないのです。

(bon_bon_jovi_jovi_very_niceさんへ)