FRのスタンバイ4WDは、普段はほとんど後輪駆動ですが、上り坂の雪道などでは、前輪も駆動するのでスリップしにくい。雨のカーブでも。

Question

と聞きました。

これは確かに、そうだと思うのですが、実際、どのくらい効果があるのでしょうか。
やはり、4WDの方が良いのでしょうか。雪や雨の降り方にもよるのでしょうか。

Answer 1

結論から申し上げると、FRベースのスタンバイ式4WDは、2WDのFRと比べ、 雪道の走破性にはかなりの差があります。ベースとなるレイアウトの特性を引きずりますので、最初に2WDのFFとFRから比べてみたいと思います。

■ 駆動輪の回転特性

FFはFRに比べて雪道でスタックしにくいです。それは前輪が雪の塊等の障害物に遭遇しても、その障害物を前輪自体の回転力で掻き壊したり、掻き登って進むことができるからです。一方、FRは、その障害物が前輪のクルマ止めになり、後輪が頑張って押しても、グリップが負けて空転してしまうのです。なので、雪の積もった駐車場でスタックしたFR車がバックだと抜け出せたりするわけです。

■ 前後荷重配分

＜FF車＞
FFは前輪の上に重たいエンジンがあり、駆動輪を雪面に押し付けるためグリップに有利です。但し、平地よりも登り坂では前輪の荷重が抜けやすくなります。さらにコーナーではステアリングを切っても、重たい頭が直進しようとするため、コーナーでは膨らみやすい（アンダーステアになりやすい）素性を持ちます。

＜FR車＞
FRは、重たいエンジンが前にあるため、その重さで駆動輪の後輪に荷重をかけることができません。それゆえ後輪のグリップが弱く、スタックを助長し、横滑りも起こしやすいです。これらはFRが雪道で不安定な要因です。FRの乗用車は、できる限り重たいエンジンを室内寄りに搭載して、前後輪の荷重配分を均等に近づける設計にしています。これによりコーナーでは極めてニュートラルな素性で気持ちよく曲がる車両が多いです。また、通常はステアリングは曲がるため、アクセルは加速のために操作しますが、FRはアクセルを第二のステアリングとして利用できます。コーナーでリアタイヤの横滑り具合をアクセルでコントロールしながら進めるわけです。この幅広いコントロール性ゆえ、FRを崇める人も多くいます。

■ FRベースのスタンバイ式4WD

ここまで2WDでのFFとFRの素性を説明してきましたが、FRはコントロール性のよさでは大変優秀です。一方、雪道でスタックしやすく、また、腕に覚えのない人にとっては、後輪の横滑りのしやすさも不安定に感じると思います。
FRベースのスタンバイ式4WDというのは、このFRのコントール性の良さと、4WDのトラクションの良さの良いところ取りをしたものです。例えば、発進時はリアが滑ったと同時に前輪にトルク配分されグイグイ前進します。また、コーナーで後輪が横滑りすると、前輪が補助してグイグイとクルマを進ませ挙動も安定させます。基本、4WDが必要ないところでは、後輪駆動の気持ちよさを堪能でき、FRの困った欠点を4WDユニットが補ってくれます。

FFベースのスタンバイ式4WDについては、本格的なセンターデフ式フルタイム4WDと比べて見下す人が多いのも実態です。しかしながら、FRベースのスタンバイ式4WDは、先に記載した理由により見下す傾向は低いのですね。日産のR32 GT-Rに採用された「アテーサ E-TS」が先駆ですが、現在では、BMWのx-DriveやジャガーF-Paceやレンジローバーヴェラール等もFRベースのスタンバイ式4WDになっています。ハイパワー車両であったり、雪道で乗られるのであればオススメいたします。

長くなり失礼いたしました。ご不明な点などございましたら、追加でご質問いただけましたら幸いです。

質問者からのお礼コメント

よくわかりました。ありがとうございました。

Answer 2

状況にはよりますが、基本的にはFFベースの4WDの方が雪道は強いです。トラクションがよくかかるので。
でも普通のFRよりはFRのスタンバイ4WDの方が特に発進時はいいと思います。