ヒョンデ アイオニック5 「電気自動車の利点が際立たされたよく出来たEV」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

電気自動車の利点が際立たされたよく出来たEV

2022.11.21

年式

2022年2月〜モデル

総評

ひと昔前ならば韓国車というだけで選択肢から外されてしまったこともあったと思う。しかし、そういった色眼鏡なく見てみると電気自動車という枠組みの中で、アリな選択肢と言えるほどの仕上がりだ。気になる部分があることには違いないが、少なくとも色眼鏡は外してみてみれば新たな発見があると感じさせてくれるクルマだ。電気自動車の利点の多くの部分を商品に生かしている。そんな印象を受ける1台。今後の発展にも注目したいと感じさせる。

満足している点

電気自動車らしく、未来感のあるデザイン。そして比較的コストパフォーマンスが高い点がGoodポイントと言える。また、このクルマを振り返ると特に素晴らしいと感じるのは静粛性の高さだ。電気自動車の中から1台を選ぶとして、電気自動車らしい利点を体感できる選択をしたのであれば、候補に入れるべき1台と言える。走行性能に関しても完成度は低くない。選択肢としてアリな1台だ。

不満な点

電気自動車なら仕方がないと思う人もいるかもしれないが、電気自動車の枠の中であっても厳しいと感じるのがラゲッジスペースの小ささと、機能性の低さだろう。この点は日常ユースを考えるといささか厳しいものがある。また、車速感応型のパワーステアリングの味付けも気になるところ。60キロを超えたあたりから大きな違和感を感じるほど重たくなってくる。これには実際に運転してみたら嫌悪感を抱く人もいるはずだ。

デザイン

5

直線基調のデザインは先進的で未来感があり、電気自動車にピッタリなデザインと言える。サイドのプレスラインもエッジが効いていて、非常にいいエッセンスとなっていて好印象だ。先進的で未来感があるデザインと聞くと親しみが持てない奇抜なデザインと思ってしまいがちだが、そんなことはなく、馴染みやすい適度に攻めたデザインとなっていると言える。SUVではあるもの、低重心に見えるデザインであることも電気自動車らしくて好印象だ。

走行性能

3

電気自動車だとブレーキのフィーリングが回生ブレーキの性で不思議に感じることがあると思うが、アイオニック５は自然な仕上がりとなっていて、スロットルのフィーリングも変に尖った印象がなく馴染みやすいと言える。走る、止まる、に関しては好印象だ。しかし、パワステの味付けには疑問が残るところ。車速感応型パワステなのだが、速度が上がると必要以上に重たくなる。ここまで過度な味付けにする必要はないと思う。今後の改良を期待したい。

乗り心地

4

電気自動車でバッテリーが重たいため、少しハードな印象があるものの、バタつき感もさほどなく、乗り心地はまあまあな印象と言える。また、快適性という部分で驚かされるのは静粛性の高さだ。電気自動車であるためエンジンノイズが無いのは当然だが、その静かさはドアを閉めた瞬間から実感できる。風切り音やロードノイズがかなり小さい。乗り心地と静粛性の高さから快適性は比較的高いと言える仕上がりになっている。

積載性

2

はっきり言って積載性はかなり悪い。床下にバッテリーや各種パワートレインに関係するメカニズムが入っているのは電気自動車だから当然ではあるものの、ラゲッジスペースを開けるとその「かさ上げ感」に驚かされる。フロントにもわずかにラゲッジスペースがあるものの、あまり実用性がある大きさではない。前も後ろも「電気自動車だから仕方がない…」というレベルではないほど、ラゲッジスペースは狭い。この点は今後のモデルで改善していってほしいポイントだ。

燃費

3

WLTCモードで航続距離500キロ強から600キロちょっとという性能は、現在の電気自動車の中でも比較的良好な部類に入るのではないだろうか？実状の航続距離は450キロほどらしいので、計画的なエネルギー消費をすればあまり問題はないと言える。航続距離や電力消費量という項目だけに注目するならば、各国の電気自動車と比べてもずば抜けているわけではないが、特に見劣りするような印象はしない。

価格

4

バッテリーの影響で高価になりがちな電気自動車、この点はもはや電気自動車の宿命とも言えるポイントだ。SUVというボディ形状を採用していて、各車600万円がボリュームゾーンといった具合が現状ではないだろうか？そのような状況の中で、アイコニック5は若干ではあるものの、30〜50万円ほどボリュームゾーンが安いポイントにある。性能としては大きく劣っている訳でもないので、このクラスの電気自動車を購入するのであれば、お買い得感はあると言えるだろう。