ホンダ ステップワゴンスパーダ 「「派手役」だったスパーダが親しみやすいプレーンなデザインに」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西川 昇吾
西川 昇吾(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

5

デザイン
5
走行性能
3
乗り心地
3
積載性
5
燃費
3
価格
5

「派手役」だったスパーダが親しみやすいプレーンなデザインに

2022.11.21

年式
2022年5月〜モデル
総評
ステップワゴンが新型になって全体的に良くなったのは事実であるが、ライバルと比べると「新型になったぞ!」と感じられる部分が少し弱い気がしている。だがメカニズムや各種装備は進化しながらもライバルと比べて先代との価格差を抑えてきたホンダに拍手を送りたい。3列目の床下収納といったステップワゴンにしか持ち合わせていない武器もあるので、ミドルクラスミニバンを検討中なのであれば、検討候補に入れておくべきだ。
満足している点
ライバルと比べて「先代からさほど変わっていない価格」と「床下収納が可能な3列目シート」が強み。価格については実際に見積もりを出してみても想像していた金額とのそこまで差異がないはずだ。そして3列目シートを床下収納できるミドルクラスミニバンは、現状ステップワゴンだけである。この利点が好きでステップワゴンを乗り継ぐ人も少なくない。その他のGoodポイントとして「派手系」になりがちなカスタム系グレードの「スパーダ」が標準モデルとなる「エアー」のプレーンなイメージを保っている点を挙げておきたい。
不満な点
これはスパーダに限った話ではなく、ステップワゴン全体の話となってしまうが「ライバルに比べて燃費性能がやや劣る」という声もあるかもしれない。実際そうなのだが気にするほど大きな差ではないと思う。それよりも乗り心地の硬さの方が気になる。乗り心地が悪いという訳ではないのだが、「コツコツ感」があるのだ。先代よりも重たくなった車重も影響しているのかもしれないが、それが乗り心地や各種走行性能にも悪影響を及ぼしているという印象を受ける。それはライバルと比べ得た場合でも同じ。家族のミニバンというところを考えると、懸念材料となる場合もあるだろう。
デザイン

5

ミニバンの場合、全体的なシルエットは似通ってしまうが、初代をオマージュしたようなステップワゴンらしい各種ラインは、キャラクターが表れていて好印象。そのステップワゴンらしさの中に、灯火類やグリルなどのデザイン処理で今風なエッセンスを加えている部分も良い。一目見てステップワゴンと分かるのが何より嬉しい。またカスタム系グレードはゴテゴテした印象になりやすいが、スパーダはステップワゴンのデザインキャラクターを生かしたデザインに仕上がっているのも好印象。
走行性能

3

加速性能に関してはガソリンだとやや物足りないという声もあるかもしれないが、使い方を考えれば十分と言えるのではないだろうか。少なくとも不足は感じない。また、この手のミニバンとしては珍しくパドルシフトが装備されており、エンジンブレーキをストレスなくコントロールできるのが嬉しいというお父さんも多いはずだ。また、スパーダプレミアムラインに用意された17インチ低扁平タイヤならば、コーナリング時のしっかり感も多少出てくるはずだ。ただ「重さ」を感じるのが少し気になる。ミニバンに走りを求めてすぎてはいけないかもしれないが、他の同クラスミニバンと比べて重心が高く感じられ、ロールが大きいという印象だ。
乗り心地

3

乗り心地は特別良いと感じない。ライバルと比べると少し固めでゴツゴツとした印象だ。上級グレードの17インチ低扁平ならばその印象は強くなる。通常の走行ではあまり感じないかもしれないが、つぎはぎの多い荒れた路面では気になるという声もあるだろう。この点は車重の違いでハイブリッドとガソリンでも違うと思うし、2WDと4WDでも異なるポイントだ。とにかく不快というレベルではないが、ライバルと比べると気になるポイントだ。
積載性

5

このクラスのミニバンとしては十分な積載性と言える。スパーダに限った話ではないが、ステップワゴンのラゲッジスペースの真価は「3列目シートが床下収納」というところだろう。これが可能な現行ミドルクラスミニバンはない。3列目を使わずに多くの荷物を載せたい時はとても便利だし、何より斜め後方の視界が変わらないというのも嬉しい。そしてこの3列目の収納方法がとても簡単である点も購入検討において大きなポイントになるはずだ。
燃費

3

ライバルに比べると一歩劣るが、ハイブリッドでWLTCモード19.6㎞/L、ガソリンで13.7㎞/Lという燃費性能は十分と言えるだろう。燃費性能だけでみるならば他の選択の方が幸せになれるはずだ。
価格

5

先代モデルよりも値上がりしているものの、300〜400万円という価格設定はライバルに比べてリーズナブルと言える。スパーダを中心に考えた場合、ハイブリッドが約370万円、ガソリンが約330万円なので、どちらかと言えばハイブリッドの方がオススメと言えそうだ。また、オプション装備になりそうなものが標準装備となっており、オプションによる価格上昇が少ないのも魅力的なポイントと言えるだろう。価格が抑えられた分、内外装の質感が下がったということはないし、走りも安っぽさがある訳ではない。このクラスのミニバンでイニシャルコストのコストパフォーマンスを求めるのであれば、最有力候補と言える。
西川 昇吾
西川 昇吾
自動車ジャーナリスト
1997年生まれ、大学時代から自動車ライターとしての活動をスタート。現在はWEB・紙の各種媒体で様々なジャンルの記事を執筆するほか、車両解説動画にも出演し、喋りの分野にも挑戦中。愛車のマツダ・ロードスターで定期的にサーキット走行をし、ドラテクの鍛錬も忘れない、目指すは「書けて、喋れて、走れるモータージャーナリスト」
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