ホンダ シビック (ハッチバック) 「ハイブリッドの完成度が凄い」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

ハイブリッドの完成度が凄い

2022.11.22

年式

2021年9月〜モデル

総評

クルマの出来は素晴らしいです。本当に素晴らしい。もう少し手の届きやすい価格だとうれしいのですが…。

満足している点

たくさんあるのですが、ここで声高に主張しておきたいポイントは3つ。ひとつはクルマの完成度の高さ。なかでも動的性能のクオリティは、Cセグメントハッチバックにおいて世界のトップを走っているかも。ふたつめはガソリン車でMT（マニュアルシフト）を選べること。しっかり用意してくれているのはうれしいですね。そして3つめは、「e:HEV」と呼ぶハイブリッドモデルの「アクセルを踏む歓び」の濃さ。効率だけでなく人間の感性に寄り添ったことで実現した、こんなにも楽しいハイブリッドはそうお目にかかれません。

不満な点

価格水準が高いこと。もしかすると周りのライバルたちが「安すぎる」ということなのかもしれませんが、比べると「う〜ん」となってしまうのが正直な印象。それに見合うクルマの出来だということは理解していますが……。

デザイン

4

バキバキのガンダム系だった先代から一転、新型はシンプル＆クリーンなデザインと方向性を大きくスイッチしました。基本的なプロポーションは同じなのですが、テイストを変えたことで上質に見えますね。

走行性能

5

文句なしに日本のCセグメント、いや世界のCセグメントハッチバックをリードする存在だと思います。動的性能に関してはほどほどですが、旋回性能に関しては素晴らしいのひとこと。オン・ザ・レール感覚がすさまじく、とっても綺麗なコーナリングラインを描けるのが見事です。これだけでシビックを買いたくなるほど。加速感の話をすると、ハイブリッドモデルはドライバビリティ向上のために加速時にエンジン回転数を落として疑似的なシフトアップを行うのが特徴。それによってドライバーの感性（加速感）と実際の加速の乖離がなくなり、ハイブリッドとは思えない心地よさが得られる感覚はぜひ体験して欲しいところです。こんなに加速が気持ちいいハイブリッドは、普及価格帯のモデルではそうお目にかかれないですよ。

乗り心地

5

ガソリン車でも上質ですが、ハイブリッドはその上を行きます。ハイブリッドはガソリン車に対して低重心なこと、そしてサスペンションセッティングの違いなどもありますが、タイヤ（ハイブリッド車はミシュラン製の専用設計タイヤを履く）の違いも効いているとか。

積載性

4

荷室容量は床上だけで404L（ガソリン車もハイブリッドも変わらず）あり、Cセグメントのハッチバックとしてはかなりレベルが高い（参考までにこのクラスのスタンダードであるフォルクスワーゲン「ゴルフ」は380L）。加えてガソリン車には深めの床下収納もありますが、先代に比べて床が低くなって実用性がアップ。どうして床を低くできたかといえば、センターマフラーをやめたからです。

燃費

4

ガソリン車に搭載するエンジンは排気量1.5Lのターボで、WLTCモード計測による燃費は16.3km/L（CVT車もMT車も総合モードは共通）。まずまずの実力です。いっぽうで驚くのがハイブリッドの24.2km/L。あれだけ楽しい走りをして、燃費もここまで稼げるなんて凄すぎます。

価格

3

完成度が極めて高いシビックにおいて、唯一ともいえる“惜しい”ポイントが車両価格。ベーシックグレードの「LX」でも319万円の設定で、ライバルの「カローラスポーツ」や「インプレッサスポーツ」そして「マツダ3」などに比べると割高という印象です。ベーシックグレードまでカーナビが標準装備で「装備を積み上げていくとこのくらいの価格になる」という理屈はわからなくもないですが、ライバルと価格で比べるとつらいところ。ハイブリッドも400万円弱で、商品としてはかなり魅力的ですが価格が購入のハードルを上げている感が否めないところです。