ホンダ ビート のみんなの質問

解決済み
回答数:
5
5
閲覧数:
199
0

クルマのタイヤと物理学について

クルマのタイヤと言えばエコタイヤなら転がり抵抗が少ないのでエネルギーをあまり消費することなく走れる一方で地面を蹴りつける力が少ない、スポーツタイヤはその逆で蹴りつける力は強いがその分エネルギーを使うと。

そこで疑問に思うのは高校物理だとタイヤは静止抵抗値で走っているので、滑るかどうかの限界値がエコタイヤは低いだけで、グリップ感に影響があるのはなぜなのでしょうか?
とある物理学者が言っていたのですが、「今のエコの時代にはより無駄なくトラクションがかけられるFFが主流」とのこと。確かにFRよりFFの方が滑りにくいですが、それは極限までいった時の話で、普段の走行性能になぜ影響があるのか、ということを物理学的に何が起こっているのかお教えいただけますか?

補足

ありがとうございます。変形がグリップに影響を与えるのは分かりました。ただもう少し物理学的な面からご説明頂けませんか? 例えば静止抵抗値100Nだとしたら100N以上の力がタイヤにかかれば滑り出す、それ以下であれば滑らない。 だったらエコタイヤが蹴りつける力が弱く感じるのはちょっと滑っているからなのでしょうか?

「みんなの質問」はYahoo!知恵袋の「自動車」カテゴリとデータを共有しています。

ベストアンサーに選ばれた回答

物理的に説明すると、
タイヤのグリップは、高校で習う「摩擦力=摩擦係数x荷重」ではありません。
静止抵抗値で走ってるわけでもありません。
原理がまるで違います。


タイヤは「弾性体」で、
弾性体の摩擦力=凝着性摩擦力+ヒステリシス摩擦力、となります。


弾性体とは「バネ」のようなもので、そのバネを細菌より小さくして前後左右上下に組み合わせたものが弾性体、とイメージするとわかりやすいと思います。
すると、弾性体のような性質=変形させられたら元に戻ろうとする、も備えます。
その時の、
「伸ばされたので縮もうとする時に接触してるものを掴むかのような力=凝着性摩擦力」で、
「縮められたので伸びようとする時に接触してるものを押すかのような力=ヒステリシス摩擦力」となります。
例えば、ボールペンを分解して中からバネを取り出し、机の上に置いても何も動きません(ってひとりでに動いたら気持ち悪いですが)。
けれどこのバネを縮めると伸びようとします。伸ばすと縮もうとします。このバネのような「元に戻ろうとする力」がタイヤのグリップの源。
タイヤのグリップ力は「接地面で平らに潰された上に、縮められ伸ばされ曲げられてそれが元に戻ろうとする時に生まれる力」です。

それを物理的に言うと、
凝着性摩擦力=①ゴムの食い込み易さx②接触面積
ヒステリシス摩擦力=③ゴムのバネ定数x②接触面積x④加えられた力
となります。

これをy=a・f(x)の形で表すと以下のようになります。


グリップ力=[{①μT・f(1/Np)x②S・f(N)f(1/kBkC)f(AV/p)}
+{③kH・f(kBkC)f(pAV)x②S・f(N)f(1/kBkC)x④ーF・f(vf)}}x⑤f(T)x⑥f(PR)


μT;ゴムの食い込み易さ(せん断強さ)。
S:接地面積
N:荷重
p:空気圧
AV:エアボリューム
kB;ベルトの弾性力
kC;カーカス(サイドウォール)の弾性力
kH:タイヤゴムのバネ定数
T:温度
F;加えられた(伸び縮み曲げ)力
vf;加えられた力の速度
PR:ポアソン比

項目別に説明します。
①μT・f(1/Np):ゴムの食い込み易さ(せん断強さ)
いわゆる「静止摩擦係数」と言う概念に一番近いモノがこれですが、「静止摩擦係数」と言った時はその物体の化学的組成を変えない限り係数は変化しませんが、せん断強さは化学的組成を変えなくても変化します。
荷重を加えるとせん断強さは減少し、空気圧を上げても減少します。従って、単位面積当たりの荷重(接地圧)が小さい方が「せん断強さ」は大きくなります。

②S・f(N)f(1/kBkC)f(AV/p):接地面積
接地面積は荷重と共に増加します。が、ベルトやサイドウォールが柔らかい程増加する割合が増えます。逆にサイドウォールが硬すぎると荷重をかけても接地面積の増加は見込めません。
また、空気圧を高くすると接地面積は減少し、空気圧を低くすると接地面積は増えます。
タイヤの接地面積を一番簡単に増減する方法は空気圧を変えることです。
※この①②で表される凝着性摩擦力は、停止時(速度ゼロ)の時に最大で、速度が上がるに従って小さくなります。


③kH・f(kBkC)f(pAV):ゴムのバネ定数
トレッドゴム独自にも弾性力がありますが、ベルトやカーカス、そしてなにより空気圧とエアボリュームが大きい程弾性力が大きくなります。
エアボリュームはどこまで荷重に耐えられるか(耐荷重性能)に直結し、エアボリュームが大きい程耐荷重性能が高くなります。トラックや飛行機のタイヤが分厚く出来ているのはその為です。
パンクしたタイヤ=内部に空気が無いタイヤは、潰れて接地面積が大幅に増えますがまともに走りません。それは内部の空気が生む③④のグリップ力がタイヤのグリップ力の70割超を占めているからです。
また、バネと同様に、伸ばされ過ぎたり縮められ過ぎるとそれ以上伸びないし縮まない所が有るのと同様に、ある点以上になると一気に力が抜ける点(弾性限界)があります。


④ーF・f(vf):加えられた力
机の上にバネを置いてもそのままでは何も力が出ないのと同様、タイヤも伸ばされ縮められ曲げられてその反力として出ます(③④の力)。ですので、加えられた力(ベクトル)と正反対の向き(マイナス)に力(③④)が発揮されます。
ただし、加えられた力がある点を越えると弾性限界に達して、摩擦力は一気に抜けてしまいます。
また、一気に(速い速度で)力が加わると反力を発揮する間もなく弾性限界に達します。
※③④で表されるヒステリシス摩擦力は、停止時(速度がゼロ=上下方向に履歪められているが、路面と平行方向には歪みが少ない)に最小で、速度が上がるにつれて入力が大きくなるのでその反力も大きくなります。

⑤f(T);温度
ゴムは温度が高いと柔らかく、低いと硬くなる性質があります。柔らかさ=弾性力なので、この「低温で硬くなる」のが、ノーマルタイヤが雪道で滑る最大の要因です。スタッドレスは低温でも硬くならないことが第一です。

⑥f(PR);接地面の形状(縦横比率)
長方形の消しゴムを長い方向に擦る時と短い方向に擦る時、長い方向に捩じる時と短い方向に捩じる時ではそれぞれ必要な力が違います。タイヤも、長い方向にグリップがより強くなります。
扁平率で言うと65、60、55%辺りが正方形になり前後左右にバランスが良く、70、80%だと前後方向に長くなりトラクション(加速減速)重視となり、50、45%だと左右方向に長くなるのでコーナリング重視となります。
※40以下の場合は、エアヴォリュームが不足し、前後方向に極端に短くなるのでトラクションが特に減速が悪くなります。

これらをざっくり言うと、
「速度ゼロから極低速域では凝着性摩擦力がグリップの多くを占める。速度が上がるとヒステリシス摩擦力が殆どを占める。つまり、走ってる車のグリップは、歪められたのでそれが元に戻ろうとする力が殆どを占めてる」



以上を踏まえてエコタイヤについて言うと、
エコタイヤはこの「ヒステリシス摩擦力」を意図的に減らそうとして作られています。
ヒステリシス摩擦力は「歪みが元に戻ろうとする力」ですが、タイヤ内部の空気が圧縮膨張を繰り替えすことで大幅に増幅されています。
ところが内部の空気の圧縮膨張は熱を生んでしまう。
熱を生むということは、エネルギーをロスしてるということ(ブレーキとはまさに運動エネルギーを熱にして発散する装置)なので、
その熱を生む抵抗を減らそう→圧縮膨張が少なくなるようにしよう、という方向性で「エコ」を目指してます。
※タイヤメーカーのサイトでエコタイヤの説明として「ヒステリシスロスを減らす」と書いてあるのが、まさにこの意味です。


>エコタイヤが蹴りつける力が弱く感じるのはちょっと滑っているからなのでしょうか?
「歪んだ後に戻ろうとする力(ヒステリシス摩擦力)がグリップの源なのに、それを減らそうとしたタイヤなので」蹴りつける力が弱く感じるのでしょう。


>ちょっと滑ってる・・・
この「滑ってる」というニュアンスと「タイヤのスリップ率」は意味が別です。

「スリップ率」は、車体の速度とタイヤの速度のズレ、という定義です。
具体的には、
1回転すると1mの円周のタイヤがあり、そのタイヤをつけた車が一秒間に1m進んだけれど、タイヤは0.9回転しかしなかったら、スリップ率10%。
車が1m進み、タイヤが0.8回転しかしなかったら、スリップ率20%。

ではそれだけ「滑ってるのか?」というとそうではなく「歪んでいる」のです。
例えば、車体と剛結してるホイールが回転し始めたら、ホイールのリムとぎっちり引っ付いてるタイヤのビート部も回転し始めるけれど、
ビートが回り出し
→サイドウォールが「少し歪んで遅れて動き」
→その動きが伝わってトレッドが「少し歪んで遅れて動く」。
この「歪んで少し遅れて」がスリップ率。
一般的に、スリップ率10%~20%の時にタイヤのグリップ(ヒステリシス摩擦力)は最大になると言われています。

この「ヒステリシス摩擦力」すなわちそれだけの「抵抗」を減らそうというのがエコタイヤ。


※エコタイヤと言う物の中には、ミシュラン・エナジーのように「燃費を良くするエコ」ではなく「ロングライフ性能」を良くするエコ、というタイヤもあり、このミシュランの場合は、国産エコタイヤどころか、スポーツタイヤと比べても遜色のない走りとがっちり感があります。

質問者からのお礼コメント

2019.7.29 20:05

ありがとうございます。

普段革靴なのですが、スニーカーを履いた瞬間めちゃめちゃ前に進むのが不思議でしょうがなかったです。
これも同じ原理ということですね。

その他の回答 (4件)

  • クルマのタイヤと物理学について

    回答の画像
  • タイヤのグリップ感は、荷重変化時のタイヤの変形による接地面積の変化だと思います。ブレーキングやコーナリングによるフロント荷重の増加はタイヤを変形させ接地面積が増加しグリップが増加します。

    走行によるタイヤの変形は変形による熱エネルギーの発生があり結果燃費に影響が出ます。
    なので最近のエコタイヤはサイドウォールを強化して変形が少なくなるようにしているようです。

    FFとFRのトラクションの違いは、単純に考えると重量物となるエンジンが駆動タイヤの上にあるかどうか、ではないでしょうか。

  • 物理的な説明じゃないけど。

    例えば、チェーンやギアで動力を伝える時は、滑ってるか滑って無いかは、一目瞭然でしょ?
    だけど、ベルトで伝えるならその境目は曖昧だよね。

    平らな路面を平らなタイヤで、しかも砂などで抵抗を下げてる状況で、走行中はほとんど滑りながらって事でしょ。

  • >今のエコの時代にはより無駄なくトラクションがかけられるFFが主流
    これはタイヤの問題じゃなくて車の駆動方式の話です。

    エコタイヤはタイヤの変形が少なく、その分乗り心地が悪いです。
    変形が少ないという事はグリップがあまり良くない(タイヤの接地面積が低い)
    それをFFという駆動方式で補っているという事です。

「みんなの質問」はYahoo!知恵袋の
「自動車」カテゴリとデータを共有しています。
ホンダ ビート 新型・現行モデル

ビートを見た人はこんな車と比較しています

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

※ 掲載しているすべての情報について保証をいたしかねます。新車価格は発売時の価格のため、掲載価格と実際の価格が異なる場合があります。詳細は、メーカーまたは取扱販売店にてお問い合わせください。

ログイン

中古車探しをもっと便利に

  • 中古車お気に入り管理
  • おすすめ中古車の表示

ホンダ ビートのみんなの質問ランキング

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離