必要最低限ガレージまでのスリッパとして
第3のエコカー、というキャッチフレーズが耳につく。ハイブリッドや電気自動車と違って、従来どおりのガソリン内燃機
2011.12.31
- 総評
- 必要最低限ガレージまでのスリッパとして
第3のエコカー、というキャッチフレーズが耳につく。ハイブリッドや電気自動車と違って、従来どおりのガソリン内燃機関を使い、リッター30km/l以上走るクルマ、という解釈でいいだろう。新しい技術を使わないぶん、安価に提供できる、というのも“第3”の魅力である。
とはいえ、もはや実用車の世界において、“エコ”であることは当然の“標準装備”だ。ミライースに関していえば、あまり意味のないそんなキャッチフレーズで紹介するよりも、“燃費を改善しつつ軽自動車本来の姿を復活”くらいに言ってくれた方が、その内容がよく判るというもの。
コンセプトは、日本独自の軽規格のなかで安穏と呑気に構えていた燃費性能(軽は税金も安く、維持費の総合的な観点からみても、これまでさほど燃費が気にされることはなかった)をエンジニアリングの力で引き上げ、とにかく安く仕立てることにあった。
背の高いモデルで黄金時代を築いてきた軽自動車に、原点回帰の進化を促す1台ではある(なんて言っていたら、ムーヴもリッター30kmに! )。
- 満足している点
- インテリアとエクテリア
発表後から、受注販売は好調に推移している。“安くて燃費が良ければそれにこしたことはない”実用領域において、当然の結果である。とはいえ、商用私用を問わず、シティコミューターとして、それ以外に望むことはないのか、と問われれば、残る課題としては安全性能くらいだろうか。機能装備充実か、都市内低速化か、という議論はあるものの、命を考えれば両方であり、“早い”のは前者で、そういう意味ではイースにもいくつかの不満点は残る。軽規格と自動車税制の抜本的見直しを真剣に考える時が来たのかも知れない。
安く売るためには、安く作らなければならない。ミライースの場合、それは内外装の見栄えを見れば一目瞭然。昔の軽自動車がそうであったように、必要最低限の質感レベルでまとめた。クルマ好きから言わせれば、褒めるところはゼロ。そんな視点を排除して生まれたのだから、当然で、むしろエンジニアに対する褒め言葉だろう。
とはいえ、エンジンルームなどを見てみても、愕然とするほどには手を抜いてないのが、ダイハツの心意気である。
走らせると踏み込みすぎるとウナルCVT急勾配でもブンブンなので、じわ~とアクセルオン仕様
ぺらぺらのドアを閉め、クルマを揺らしながら座る。グレードはX。
インテリアはさすがに安っぽい。同じコストをかけないやり方でも、日本車のレベルは次元が低いままで、もったいない。陽気なイタリアン&フレンチを真似ろとは言わないが、昨今の安いドイツ車を研究すれば、もう少し“安格好いい”とか“安可愛い”もありえるはず。
もっとも、そこまでガンガン切り捨てるというのなら、やはりもっと安くして欲しい、となり、そんなことをしていると、それこそ“第3世界のエコカー”に近い将来、負けてしまうことだろう!
走りは、といえば、雨風しのげて税金安くてオマケに燃費がいいのだからこんなもん、であり、キーボード上でクルマ好き評論家の指を踊らす要素は皆無である。事実上の先代モデルにあたるエッセの方が、そういう意味ではまだ見どころがあった。
そこを積極的に諦めるか積極的に諦めないか。自動車文化の成熟度合いと密接に関連しているようにも思える。ニッポンの誇るべき軽自動車には、そこかしこに未練が残っていて、中途半端だ。
- 不満な点
- そんななかでも、80万円を切るDグレードともなれば、さすがに割り切りも激しく、パーソナルユースには向かない。そうすると100万円以上のグレードを選ぶことになるわけだが、だとすれば、運転した感覚まで含め、“ちょっと高いな”という印象をもってしまう。メイドイン・ジャパン。
- デザイン
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- 走行性能
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- 乗り心地
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- 積載性
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- 燃費
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- 価格
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- 故障経験