BMW 5シリーズ セダン 「あらゆる機構要素が高精度かつ正確この上な...」のユーザーレビュー

あらゆる機構要素が高精度かつ正確この上な...

2004.5.6

総評

あらゆる機構要素が高精度かつ正確この上ない，しかも，その動きはしっとりと上質でスムーズであり，現世代の５（日本仕様は改悪）を含めてこのクラス（ヨーロッパ・Eセグメント）で，世界でもベストの自動車のひとつです。もはや中古でしか購入できないのは，何とも残念至極。エンジン，操舵系，フットワーク等々を極限まで煮詰めた，20世紀の自動車技術の完成型のひとつであることは間違いありません。
　何ともまろやかな乗り心地といい，リアシートのしっとりとした包まれ感といい，こうした実用を含むあらゆる面において，世界で最高のクルマのひとつです（ATのみ除く）。国産自動車の設計者は，このクルマをもう一度徹底的に学ぶべきです。国産メーカがいまだにやっている，やくざな仕事でおかしな製品や技術ばかりを創り出すやり方ではなく，今はまだ「まずはよいものを学ぶ」ことが必須の段階・レベルにありましょう。
　さらにユーザにとっては，今New5を買うくらいなら，E39を中古で購入して，乗りつぶすまで乗り続けた方が，どんなに毎日のスポーツ（ドライビング）や生活が楽しいことか。このクラスでの中古車検討の際の筆頭に上げられるクルマであることは間違いありません。

満足している点

E39の最終年式を購入し，１年を過ぎました。細かいことを云々するのが馬鹿らしいほど，すばらしい。
　誰にでもわかりやすい点は，M54-2.5Lエンジンのスムーズさ（およびトルク）でしょうね。自動車のバランスとしては3.0Lが優れますが，エンジンのスムーズさは，機械の原理どおり2.5Lが絶品。いつまでも飽きがこないその感触に浸っていると，世界でもっとも高精度な機械のひとつを自在に操っているという，本当の意味での上質な幸せに浸ることができ，一日の気力が再びみなぎってきます。
　このエンジンのフィーリングが，クルマ全体のあらゆる機構要素に当てはまると考えて頂いて間違いありません。その中でも，特に日本の自動車マスコミのレベルではほとんど理解されていない（と思う）点は，E39-525iおよび530iの操舵系です（日本の自動車マスコミのレベルは特に低い）。
　エンジンとフットワークの良さは（欧州車では）いわば当たり前であり，さらにステアリング系のスムーズさとその力の出方の適切さこそが，超一流のクルマかどうかを決定付けます（操舵系は，クルマの機構要素の中で最も難しい部分のひとつです）。アウディ（FF-based System）の操舵系（Four Link）と肩を並べ，5と7（FR）のフロントサスは，極めて高精度かつ高剛結を達成すべく設計された，前後分割ダブルジョイント・ロアアームによるものですね。力の受け方を徹底的に工夫して，タイヤの性能を極限まで引き出すこうしたサスペンションがあってこその，この操舵系でもあります（A4もE39も）。
　すばらしいクルマです。

不満な点

逆に操舵系で注意すべき点は，540iなどのサーボトロニックがダメだという点です。操舵とその時の力の返り方がデタラメ。BMWに限らず，電子制御で操舵の本来の力の出方を再現するのは，現在の技術ではまだまだ到底無理です。現状でとり得るのは，操舵感を重く＝制御を弱くという，本末転倒のやり方だけです。
　ついでにM-Sportも，まったくダメ。サーボトロニックと共に，いずれもBMWの本当のよさを完全にスポイルしてしまいます。デザイン命！という方は仕方がありませんが，中身をとるのであれば，M-Sport以外を絶対に選択してください。
　逆に，「純正ナビはダメ」ということに一般にはなっていると聞きましたが，それこそ逆で，市販のナビのインタフェースは，ほとんどがダメ。それに比較してBMWの純正ナビはすばらしい。トヨタの純正ナビと比較すれば，人間工学上，その仕様の違いに雲泥の差のあることに気づきます（トヨタには，人間工学の専門家はいないのか？）。ぜひとも，BMWの純正ナビを使うべきです。
　私の525iは最終年式ですが，ダメな点がひとつだけあります。GM製のATのみが，唯一ルーズでダメな点。では，中古車選択の際にどうするか？　ここから先は少々不確かな情報で申し訳ありませんが，確かMC直後あたりの5では，ZF製ATだった時期があるように記憶しています。そこを狙えばベストです（実際，現在のE46がZFのATを採用しており，すばらしいものになりました）。最終年式以外はキーレスエントリが電波式ではないとか，細かな違いはありますが，ベストのATを選んだ方がずっとよいと，私はお勧めします。

デザイン

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走行性能

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乗り心地

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積載性

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燃費

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価格

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故障経験