BMW 5シリーズ セダン 「走りが魅力のスタンダードセダン」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

走りが魅力のスタンダードセダン

2021.9.30

年式

2017年2月〜モデル

総評

ゆとりのあるボディサイズでスポーティに走れるEセグメントセダンを望むなら、5シリーズは魅力的な選択肢となるだろう。操縦性はライバルに比べて俊敏で、操る歓びを感じることができる。ただし、一昔前の7シリーズ並みのボディサイズは「運転しやすさ」という観点では意見が分かれるかもしれない。

満足している点

スッとドライバーの思い通りに動くハンドリングのキレのよさは運転が楽しくなってくる。まさに「駆け抜ける歓び」だ。弟分の3シリーズと比べると、後席の広さなどに余裕を感じる。ガソリン、ディーゼル、そしてプラグインハイブリッドと好みにあわせてパワートレインが選べるのもうれしい。

不満な点

全長がほぼ5mの大きなボディは、日本の道路環境では大きいと感じることがあるだろう。例えば、昔のクルマにあわせた古いパーキングに駐車するときなどだ。そして好みの問題ではあるが、メルセデス・ベンツ「Eクラス」やアウディ「A6」といったライバルに比べると、液晶パネルの使い方などインパネ周辺の先進感が乏しいと感じるかもしれない。

デザイン

4

全長5mに迫る大型セダンだけあり、バランスの取れた伸びやかなプロポーションを持つ。鋭い目つきや、側面のプレスラインエッジを効かせた絶妙なシャープさは多くの人に好印象を与えるに違いない。ツーリング（ワゴン）モデルも精悍なデザインで、スポーティさと品格が漂う。

走行性能

4

結論からいうと、最大のライバルである「メルセデス・ベンツEクラス」よりも動的性能の質感が高い。たとえばハンドリングは、ハンドル操作に対する正確性が高いこと、そしてドライバーの思い通りに車体が反応することの2つの面から運転が愉しい。パワートレインはガソリン直6ターボなど高性能ユニットの躍動感が素晴らしい。いっぽうでディーゼルやガソリン4気筒ターボでも十分な動力性能が備わる。

乗り心地

4

一般的なスチールに加え、超高張力鋼板やアルミニウムを多く使っているのが車体構造の特徴のひとつ。最大のメリットは軽量化だが、特製の異なる素材をミックスすることで振動を効率的に減衰し、車体構造でも乗り心地にも貢献している。その効果もあり、細かい振動から大きな段差を乗り越えた後の衝撃まで車体がしっかりと吸収し、乗員に伝えにくい。加えて、高価格車ゆえにショックアブソーバーも上質で乗り心地はしっとり。

積載性

4

ラージセダンだけに文句なしの容量530L。奥行き1mを超えるトランクルームには特大スーツケース1つを収めてもかなりの余裕が残り、中型サイズなら3つを飲み込む実力だ。セダンとしては最高水準といえるだろう。それでも足りないとなれば、リヤシートを倒せば段差のない床となり、その気になれば大人2人が横になって寝られるほど。

燃費

3

セダンのWLTCモード燃費はガソリン車が8.9km/L〜13.2km/L。ディーゼルは15.0km/L〜。ランニングコストを考えればディーゼル一択だ。燃費が優れるだけでなく、燃料の軽油はハイオクガソリンに比べて単価が2割ほど安いのも魅力となる。自宅で充電する環境があれば、プラグインハイブリッドの「530e」を選ぶのもいいだろう。最大で50キロ程度と、日常的な移動範囲であればエンジンをかけずにモーターだけで走行できる。

価格

2

ボトムグレードでも752万円、最上級グレードになれば1335万円という価格は身近とは言いづらい。しかし、ライバルである「Eクラス」と比べると、中身の充実度と価格のバランスという意味では5シリーズのほうがコストパフォーマンスは高いと判断できる。