輸入車乗り上級者にお似合い
スポーツカー人気がきわめて低調な昨今、目立って“支持されている”モデルがあった。アウディTTシリーズだ。なんでも、デビュー
2011.12.30
- 総評
- 輸入車乗り上級者にお似合い
スポーツカー人気がきわめて低調な昨今、目立って“支持されている”モデルがあった。アウディTTシリーズだ。なんでも、デビューした'07年の販売実績では国産勢と肩を並べるほどであったらしい。強力な販売網を誇る国産勢と数において対等に戦うことのできる輸入車は少ない。スポーツカーという低迷するカテゴリーにあって、いかにアウディTTシリーズの商品力が日本人ウケしたかが分かる。TTSは、そんなTTシリーズ待望のSモデル、すなわり高性能バージョンだ。アウディファンには馴染みの深いSモデル、これまで基幹モデルにのみ設定されていたが、今回TTシリーズに初めて設定されることとなった。それだけ、素のTTシリーズのポテンシャルが高いということ。実際、二代目デビュー直後からSモデルへの期待は高かった。
注目は、なんといっても心臓部だ。これまでのSモデルといえば小さめのクラスに大きなエンジンを積むという、高性能車の伝統的手法によっていたが、TTではノーマルモデルにV6モデルがあるにも関わらず、高出力タイプの2リッターターボエンジン搭載となった。もちろん、アウディご自慢の直噴ユニットで、高出力かつクリーン&低燃費という時流に沿ったエンジンである。高性能車も“気を遣う”時代なのだ。
- 満足している点
- インテリアエクステリア
もちろん、エンジンだけがTTSのウリではない。パワーアップに併せて足回りやブレーキなど各部の専用チューンにも余念がない。磁性流体を使ってダンピングを制御するマグネティックライドコントロールもSモデル専用のセッティングだ。トランスミッションは、当然、ツインクラッチシステムのSトロニック。
そんな“中身の凄さ”は、スタイリングにも滲み出ている。パッと見はノーマルとそれほど違いはないように思えて、実は小技が利いているのだ。ヘッドライトはアウディ最新モデルの流儀に則ってLEDランプ入りだし、迫力のフロントエアロバンパーやクローム調カバー付きミラーや18インチアルミホイール、さらには4本出しテールエンドなどなど、標準グレードのユーザーからしてみれば“やられた”のひと言だろう。ディテールの作り込みの上手さが最終的に“何だか凄そうだぞ”オーラを発散させている。インテリアもスポーティにまとめられた。下部をフラットにしたステアリングホイールやスポーツシートなど、走りのムード満点である。
走らせて見て
TTシリーズはどのグレードもけっこう走りを楽しめる仕様になっている。スタイリングの格好よさ、アウディというブランドの力、そしてスポーツカー的なパフォーマンス。その3つがほどよい価格設定のなかでバランスされているのが人気の理由だろう。個人的には2リッターターボのクワトロが最もオススメだし、そんなTTシリーズだから、TTSには“ずば抜けた”キャラが欲しくなる。言ってしまえば、“ここまではいらないよなあ、2リッターで十分だよ”と言わしめてこそ勝ち、だと思うのだ。
実際に乗ってみると、どうか。それはもうご機嫌なスポーツカーである。アウディがV6ではなく直4を選んだのも正解だ。ノーズの動きが厭味なくシャープかつリニアだから、気分がいい。ワインディングを駆け抜けていると自然と笑みが浮かぶ。
かといって、目を三角にするような汗臭いスポーティさとは無縁というあたりが、いかにもアウディらしいスポーツカーというべきか。そのぶん、普段遣いでは硬めの乗り心地に終始する。街乗りならV6とさほど変わらない気もするが、長い時間乗ってみるとやはり硬く、体への負担を感じる。ワインディングでの気持ちよさとトレードオフということだろう。都会では日常的によく見かけるスポーツカー、TT。その高性能仕様ゆえ優越感はすこぶる高い。
- 不満な点
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- デザイン
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- 走行性能
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- 乗り心地
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- 積載性
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- 燃費
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- 価格
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- 故障経験