スポーツラグジュアリィのお手本
セールスも好調な日本市場におけるアウディには、ひとつだけ厄介な問題が残っている。それはフツウの、つまりはSやRSといっ
2011.12.30
- 総評
- スポーツラグジュアリィのお手本
セールスも好調な日本市場におけるアウディには、ひとつだけ厄介な問題が残っている。それはフツウの、つまりはSやRSといった特殊モデルではない上級ラインナップに、ライバルほどの人気がない、ことだ。
といっても、クルマがパッとしないというわけじゃない。アウディには、そもそも“上に行けばいくほど"いいクルマ、という傾向がある。最上級のA8も、そしてアッパーミドルのA6も、代々とてもいい仕上がりだった。けれども、なぜか日本市場では、メルセデスのEクラスやBMWの5シリーズのように、うまく売れていかない。欧州ではもう何年も前から、A6やA8が「アウトバーン追い越し車線の星」になっているというのに...。
7世代めとなった新型A6は、またもやクラススタンダード級の仕上がりとなって登場し、早くもツウを唸らせている。今のところ2グレード、セダンのみという状況だが、おいおいワゴンのアバントや他エンジングレードも追加導入されることだろう。メカニズム的にみれば、ひと足早くに登場したA7とほぼ共通していると言っていい。アバント待ちで、ほしいい一台にある。
- 満足している点
- インテリアエクステリア
細部では、フロントライトのLEDデザインが特に印象的だ。
アウディの、表面仕上げ質感の高さはすさまじく、結果、デザイン面のみならず見ための上質さでも、思わずA8と取り違うほど。面の張りの美しさと、均一なすき間コントロールが素晴らしい。ディテールのユニークさに比べて、フォルムは至極真っ当で、それゆえイマドキ新鮮な“セダン的"存在感もあったりする。
インテリアはさらに上質だ。A8やA7とデザインベクトルは同一ながらも、細かな点で違っている。見比べてみるのも楽しい。なんといっても、その風景の良さや凝りようでは、もはやEクラスや5シリーズの完全に上をいっているのだ。クラス最高のインテリア空間だと思う。このあたりもまた、ディテールクォリティにこだわるアウディ戦略で、所有欲を大いに駆り立てる。
内部は、"ハイブリッド"である。軽いスチールやアルミニウムを適材適所に使った。その接着接続技術こそが、こだわりのポイントで、軽量化に大いに寄与している。
走らしてみて
3.0TFSIクワトロに試乗した。軽量ボディのみならず、エンジン、シャシー、クワトロシステムに至るまで、大刷新を受けたモデルである。走りの方も相当に期待できる! と断言できるのはA7を既に味見済みだから。
第一印象は、なんと軽快なサルーン、だった。このクラス、サイズともなれば、ある程度の重さが感じられて、それが好意的に解釈されて重厚感だと思ったりするものだが、そういう旧来の価値観をまるで嫌うかのように、軽くて朗らかな身のこなしである。特に、電動パワーステアリングのフィールと、リアアクスルの動きが旧型とはまるで違う点だ。特に前者は、今現在、最もフィールの自然な電動パワステだと思う。
リアに多めのトルクを配分し、さらに左右輪駆動力配分(トルクベクタリング)まで作動するから、調子を上げていったときの振る舞いは、予想以上にスポーティだ。A4に乗っているのか、と思うほど軽やかにコーナーをクリアしていく。走行モードを変えることができるので、スポーティを選び、ステアリングフィールを多少重めにしておかないと、心もとないくらいである。
街から高速道路、ワインディングロードまで、澱みのなさ、後味の爽やかさが印象に残る。デザイン性の高さと相まって、このクラスで今、もっとも注目しておきたいサルーンでEクラスは3位ドベ。
- 不満な点
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- デザイン
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- 走行性能
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- 乗り心地
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- 積載性
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- 燃費
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- 価格
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- 故障経験