アルファロメオ ステルヴィオ 「SUVではトップクラスのハンドリング性能」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

SUVではトップクラスのハンドリング性能

2022.1.17

年式

2018年6月〜モデル

総評

イタリアのデザインは見る者を魅了する。これはクルマに限らず、また古くから言われていることながら、ステルヴィオを目の前にすると美しいなと見とれてしまう。SUVでその美しさを携えていることがステルヴィオ最大の特徴だ。見た目を裏切らないシャープな走行性能も美点。競合車の多いSUV市場にあったひときわ強い個性を発揮している。

満足している点

個性をSUVに求めるユーザーが増えてきた。多くがオフロード性能を特化させ差別化を図るなどの手段が取られている。そうしたなかステルヴィオは、本格的に走る、曲がる、止まるといったスポーツカーの要素を加えた。見た目だけなく機能部品はいずれも速く走ることを目標に設計された。希有な存在だが、それだけに選ぶ価値はある。

不満な点

美しいデザインだが、荒削りなところもある。工作精度そのものは高いと思われるが、たとえばスイッチ操作に対する反応がユーザーの意識とずれていたり、表示部分が小さかったりする。慣れの問題でもあるが、メーター表示などは運転操作の根幹に関わる部分なのであえて不満点として挙げた。

デザイン

4

マルチパーパス的なデザイン要素が強い一般的なSUVとは異なり、他のアルファロメオ同様に抑揚のあるボディラインを最大の特徴とするステルヴィオ。顔つきはまさしくアルファといった力強さがあり、サイドラインにはキャラクターラインを通して塊感を演出。内装も奥行きを活かしたメーターパネルにセンターコンソールなど形状にも凝っている。

走行性能

4

直列4気筒2.0ｌターボエンジンと同2.2ｌディーゼルターボの2種類のパワートレーン。トランスミッションはいずれも8速ATだ。2.0ｌガソリンはとてもパワフル。また低速域から太いトルクを発揮するよう過給圧コントロールが行なわれる。クイックなステアリングギヤ比と相まって山道では1680㎜の全高を感じさせないスポーツカーの走りを見せる。

乗り心地

4

そのスポーツ性能を確保するため、2.0ｌモデルは全般的に硬めの乗り心地。ただし、それにあわせてステアリングにギヤ比やスロットル開度の制御が行なわれているため不快ではない。SUVユーザーにはおっとりした走りが好まれるようだが、ステルヴィオの走りはそれとは真逆。刺激的だ。

積載性

3

秀逸なデザインでありながら、しっかりとSUVとしての使い勝手は確保する。サスペンションの張り出しを抑えたことで、四角い収納スペースが出現。正確には張り出し部分を覆っているのだが、高めに設定された後席シートバックによって重ね積みなどにも対応する。

燃費

3

2.0ｌガソリンはハイパワーをセールスポイントにするだけあって市街地では伸び悩む。山道では同クラスのスポーツカー並の6〜7㎞/ｌ台に落ち込むこともある。一方、2.2ｌディーゼルはWLTC値16.0㎞/ｌと優秀。伝達ロスの少ない8速ATとの組み合わせにより、丁寧な運転操作をすればさらに伸びる。

価格

3

4輪駆動のSUVで、輸入ブランドとなればやはり高額に。ステルヴィオはボトムグレードである SPRINTこそ598万円と600万円の大台は切ってきたが、装備との兼ね合いでいえば上位グレードのVELOCEを狙いたい。となると価格はディーゼルが687万円、ガソリンが720万円と一気に上昇する。