アバルト 595 （ハッチバック） 「オリジナリティある世界観を持つホットハッチ」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

オリジナリティある世界観を持つホットハッチ

2022.1.21

年式

2013年1月〜モデル

総評

スポーティーな雰囲気とオシャレさを兼ね備えたモデル。このコンセプトとパッケージはライバル不在なのかとも思う。他に替えがないと言えばないモデルと言えよう。他と比べることなくこのモデルのオリジナリティに共感した人は迷うことがないのであろう。

満足している点

走りの装備や雰囲気もバッチリであるのにもかかわらず、どこかオシャレだと感じさせる仕上がりが良い。全体的に小粋だと感じさせるのが良い点。モデルライフも長くなってきているので、いささか古い部分が目立つかと思いがちだが、他にない個性が強く古臭さを忘れてしまうというのが本音。長く乗っても飽きることはそうないのではないだろうか。

不満な点

他車と比べると…となった時に現行ラインアップの中ではちょうどいいライバルがなく、価格的にも速さ的にも中途半端なポジションとなってしまうこと。最も何かと比較して購入するモデルではないと思うので、理にかなっているかとは思うが、このクラスのホットハッチがもっと増えれば見方も変わってくるかもしれない。

デザイン

5

ベースとなる500の面影を残しているのは当然なのだが、それでいてしっかりとレーシーな雰囲気が出ている点はとても好印象。細やかなデザインの演出にイタリアのセンスの良さを感じる。各種色使いもとてもオシャレな印象を受け、所有欲を満たしてくれるデザインに仕上がっていると感じさせる。

走行性能

4

全高が高いその見た目からは想像がつかないほどコーナリングとハンドリングは良好。また、驚かされるのは高速走行時の直進安定性である。コンパクトなボディでショートホイールベースながら、しっかりと高速域で安定感があるのは、デフューザーなどの空力パーツが飾りでなくしっかりと機能するものとして設計されている証なのではないか。

乗り心地

5

やる気満々でスポーティーな雰囲気を色んなところから感じるモデルであるが、意外と乗り心地は良い。街乗りの低速域では少し角が目立つ部分もあるが、しいて言えばなレベル。高速域ではコンパクトなボディとは思えないほどしっとりとした感じで、ロールも穏やかである。

積載性

3

積載性に関しては日本の5ナンバーハッチバックの方が良く、595はそれよりもコンパクトなボディであるためトランクルームの縦横幅はそれほどない。しかし、意外と高さがあるという印象だ。積載性に関しては他のハッチバックに敵わないことを理解しておくべきと言えるが、決して日常で大きく不満が出るレベルではない。

燃費

5

JC08モードでカタログ燃費13.0km/Lとなっているが、使用状況によっては実燃費はその数値を上回ることもしばしばあるという具合。そういった意味では燃費性能はいい意味で期待を裏切ってくる。ハイオク指定なのは仕方ないが、実際に使用すると「思ったよりも燃費がいい」という感想が出てくるのではないか。

価格

4

装備やスペックを見て新車価格300万円からという設定は、日本のホットハッチと比べると割高感があるのは否めない。しかし、それは日本のこのクラスのモデルが安すぎるだけではないかとも思う。比べる相手が悪いとも言える。しかし、ベースの500から変更されている部分を見て、価格差を考えると595の価格設定は妥当なラインであると思う。