■一時は高級車のイメージもあったサイドモール、今は?
かつては高級車を中心に純正で採用されていたドア側面にフロントフェンダーからリアフェンダーに掛けて水平の「サイドモール」。
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昨今ではあまり姿を見ることも少なくなってきています。なぜ見かける機会が減少しているのでしょうか。
サイドモールの役割は大きくふたつあります。ひとつは傷や破損の防止です。
例えば、駐車場などで隣のクルマが、ドアの開閉時に自車に当たってしまうと、自社のボディがへコんでしまいます。
車種にもよりますが、ボディがヘコんで塗装が剥げてしまうと少なくとも数万円、高級車では10万円以上の修理費用が掛かる可能性があるのです。
しかし、樹脂製パーツのサイドモールを装着していれば、その取り換え費用だけで済むため、板金塗装の半分程度のコストで修復することが可能です。
もうひとつの役割は、デザイン上のアクセントになることです。国内外問わず、高級車は大型のボディになりがちですが、その反面ボディサイドのデザインが単調になりやすいという課題があります。
そこで、サイドモールをデザインに組み込むことでボディサイドに抑揚を出すという手法が用いられてきました。
そういった背景もあって、「高級車=サイドモール」というイメージが定着していきます。
しかし、近年サイドモールを装着するクルマが減ってきたといわれています。
実際に、自動車整備工場の担当者は、次のように話します。
「2000年から2010年ごろまでは、サイドモールの修理依頼が月に数件ありました。
しかし、2010年以降はほとんど見られなくなってしまいました。そもそも、サイドモールがついたクルマは、全体の1%あるかないかというくらいだと思います」
※ ※ ※
では、付いていると便利なサイドモールを見かける機会が減少した要因として、どのようなものがあるのでしょうか。
カーディーラーやカー用品店などで話を聞くと、次のような回答がありました。
「新車時にオプションでモールを付けられるほとんどは、上級セダンクラスに乗っている人が多かったイメージがあります」(カーディーラー)
「ひと昔前には、後付けするサイドモールを販売しており、年配層でセダンに乗られている人が購入されている印象が多かったです」(カー用品店)
このようにセダンに乗っている人がサイドモールを付ける傾向にあるようです。
そして、近年ではセダン需要の減少が顕著に現われていることも、サイドモールを見かけなくなった要因のひとつといえます。
す。
しかし、サイドモールが消えた原因は、セダンの減少だけが原因なのでしょうか。
■サイドモールはどこへ消えた?
サイドモールが消えたもうひとつの要因として、プレス技術の進化が挙げられます。
前述の通り、サイドモールにはボディサイドの抑揚を出すといったデザイン上のメリットがあります。
しかし、それは同時に、従来のプレス技術では、抑揚のあるボディ形状を形成できなかったということでもあります。
一方、近年技術が進歩したことにより、プレスによって複雑なボディラインを演出することができるようになりました。
デザイン上のメリットはもちろん、車体軽量化や空気抵抗の減少化などを考慮しても、サイドモールを装着するよりもプレスによって形成するほうが良いといえます。
高級セダンに多く採用されてきたサイドモールですが、シンプルなデザインを好むユーザーにとっては、「とってつけた感」の強いサイドモールよりも、プレスによる自然なボディラインのほうが適しているとも考えられます。
とはいえ、需要がゼロになったかというと実はそうでもありません。アフターマーケットでは、カスタムパーツとしてのサイドモールは一定のニーズがあるといいます。
自動車用品販売の関係者は次のように話します。
「例えば、『VIPカー』というカスタムジャンルにおいては『マークII』『クラウン』『セルシオ』などの高級セダンに社外品のサイドモールを装着するユーザーが見られます。
また、大型のバンパーやライトポッドがついているようなSUVやキャンピングカーでは、車両保護パーツがついているほうがよりスタイリッシュに見えることから、実際にはそれほど必要ではなくとも装着するユーザーが多いと感じます。
もちろん、本来の用途である『車両保護』の観点から装着する人もまだまだいらっしゃいます。
デザイン的には不必要になっても、樹脂パーツより板金塗装のほうが高額なのは変わっていないことが原因と考えられます」
※ ※ ※
一時は高級車の証としてもてはやされたサイドモールですが、今はすっかり見る影もなくなってしまいました。
一方で、トヨタ「カローラ」やスバル「インプレッサ」にはいまだに純正オプションとしてサイドモールが用意されているなど、一定の需要はあるようです。
また、「車両保護」の観点から今後も需要があると読んだルノーやシトロエンは、サイドモールを現代的に解釈し、カジュアルなデザインに落とし込むなどの工夫をしています。
トレンドではなくなったサイドモールですが、工夫次第で復権はあり得るのかもしれません。
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みんなのコメント
コスト削減目的
それ以外何がある?
多少のドアパンチも防げるし、デザイン上のアクセントにもなる。