この記事をまとめると
■世界一の自動車大国である中国を走るクルマには見慣れない漢字エンブレムが付いている
【500ps超え】スーパーカー並のスペックを持つ超荒削りな中華SUVに乗った
■漢字エンブレムは海外メーカーと現地メーカーによる合弁会社のエンブレムだ
■中国でクルマを製造販売するには現地企業との合弁会社せつりつが義務付けられている
四文字の漢字バッジは中国企業との合弁会社のエンブレム
いまや、世界最大の自動車大国となった中国。国際自動車工業連合会(OICA:オイカ)によると、直近2020年の国別自動車販売数では、中国は約2531万台(前年比1.9%減)で第1位だ。次いで、アメリカが約1445万台(15.2%減)、そして第3位が日本で約460万台(11.5%減)となる。
こうした数字を見るだけでも、世界自動車産業界における中国の存在感の大きさがよく分かる。
そんな中国に実際に行ってみると、多くの日本人が「あれ?」と思うような光景を目にすることになる。上海や北京など、中国の街中を走っているクルマの後部には、日本ではあまり見たことがない漢字四文字が並んでいるからだ。
一汽〇〇、東風〇〇、上海〇〇といった具合で、〇〇にはトヨタ、日産、ホンダなど示す中国の文字が書かれている。これらは、海外メーカーが中国で設立した合弁会社の名称である。 一汽とは第一汽車、東風は東風汽車、そして上海は上海汽車という中国地場の自動車メーカーである。
合弁会社設立義務化は自動車産業を育てたい中国政府の政策
たとえば、トヨタのカムリは、日本と同じように車体前後にはトヨタのマークがあるのだが、車体後部には「広汽豊田(中国語表記)」というネームバッジがついている。広汽とは、広州汽車のことである。
筆者は以前、広汽トヨタの生産拠点を取材したことがある。その現場は、日本のトヨタ生産拠点を手本とした”マザー工場”だった。さらに特長は、生産拠点周辺に隣接するサプライヤー(部品メーカー)から広汽トヨタの専用道路を使いトラム(小型運搬車両)で適宜運ばれてきたいた。
現地取材で分かったことは、生産設備の設計や、生産するモデルの製品開発のほとんどをトヨタが行い、それを広州汽車がサポートする体制だ。ただし、トヨタと広州汽車は、合弁企業・広汽トヨタに対する出資比率は50:50の対等な立場であり、さまざまな情報は完全に共有されていた。
これが、中国政府が打ち出した外資規制50%による中国地場企業にとっての大きなメリットだ。
海外メーカーが中国で自動車を製造販売する場合、出資比率が最大50%で中国地場メーカーと合弁企業を設立することが義務化されてきた。理由は、中国政府が自動車を中国の主力産業として育成するため、海外メーカーの技術力を活用するというものだ。
こうした中国特有の法規制があっても、独フォルクスワーゲンはかなり早い段階で中国市場参入を決めたことが、中国でのシェア拡大につながったといえるだろう。
日系では日産が東風日産として積極的に中国進出を果たし、トヨタは中国進出に慎重なステップを踏んできたという経緯がある。
こうした合弁事業に対する外資50%規制、または外資と現地メーカーの2社限定としてきた規制、それぞれについて事実上の規制緩和がされて、直近では外資75%という事例も出てきた。いずれにしても、海外メーカーとしては、中国固有の事情を十分考慮に入れた上で事業を展開することに変わりはない。
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ボルボやメルセデスみたく中国資本になったら終わり。