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Cd値0.2の超空力ボディ ルーシッド・エアへ試乗 北米の新ブランド 均質化と一線画す革新性

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Cd値0.2の超空力ボディ ルーシッド・エアへ試乗 北米の新ブランド 均質化と一線画す革新性

ボディサイズはBMW i5と同等 Cd値は0.2

都心の渋滞にハマっても、ルーシッド・エアなら退屈しない。そびえる高層ビル群を、巨大なガラスルーフを通じて観察できるから。

【画像】均質化と一線画す革新性 ルーシッド・エア サイズの近い電動サルーンはコレ 全139枚

北米で誕生したバッテリーEVの新ブランド、ルーシッドは、先輩に当たるテスラ以上のプレミアム・ブランドを目指している。メルセデス・ベンツやベントレーに並ぶポジションを狙っている。

同社はバッテリーやモーターなど、電動パワートレインのサプライヤーとして、2007年に創業。自動車メーカーへステップアップし、最初の量産車となるのが、アルミニウム製ボディをまとうサルーン、エアだ。

フロア部分に駆動用バッテリーが敷かれた、プラットフォームは自社開発。トランスミッションやインバーターなどを内蔵する小さな駆動用モーターに、112kWhと大容量の駆動用バッテリーも同様。航続距離は、アメリカのEPA値で830kmがうたわれる。

試乗したエア・グランドツーリングでは、前後に1基づつモーターが載り、総合での最高出力は819ps。車重は2360kgあるが、0-100km/h加速を3.0秒で処理する。もし不満なら、1050psへ強化した仕様も選べる。

ボディサイズは、全長が4975mm、全幅が1939mmで、BMW i5より僅かに短く広い。スタイリングは宇宙船のようで、大胆なライン処理はなく、派手さも抑えられている。洗練され、筆者はカッコいいと思う。

不要なものを省き最小限に抑えることへ、ルーシッドは注力したという。ヘッドライトの高さは、27mmだけ。全高も1410mmと、同クラスでは低い方に入る。空気抵抗を示すCd値は、0.2しかない。

上質な雰囲気の内装 テスラとBMWの中間

スタイリングと同様に、インテリアも無駄が排除された上質な雰囲気。ナッパレザーにアルパカウール、アルカンターラ、カーボンオークなど、素材には相当こだわられている。職人技を感じさせる高水準にあり、テスラとBMWの中間といった印象だろう。

前席と後席で、異なるカラーコーディネートを指定できるのは面白い。運転席側はダークな色調でスポーティに、その後ろはライトな色調でラグジュアリーに、試乗車は仕立てられていた。見事なデザインだといえる。

ただし、サンバイザーは後付けアイテムのよう。ちょっとチープに見えていた。断熱性に制限がある大面積のガラスルーフは、エアコンの効きに影響が出そうだ。

ダッシュボード上には、メーター用とインフォテインメント用が一体の、湾曲した32.0インチのモニターパネルが浮いている。5Kの解像度を誇り、表示は極めて高精細。中央側にも、タブレットサイズのタッチモニターが据えられる。

ソフトウエアの反応は素早く、エアコンには実際に押せるハードスイッチも与えられている。アップル・カープレイの接続は、少し安定しなかった。

後席側の空間は広大。メルセデス・ベンツSクラス級にゆとりがある。キャビンフォワードのプロポーションが、効果的に活かされている。リア側のトランクは、2m以上あるサーフボードが入るほどの大容量。フロント側にも、小さな収納空間が設けられている。

洗練されたドライブトレイン 少し過剰な819ps

交通量の少ない道で右足へ力を込めれば、エアの速さに言葉を失う。筆者がこれまでに試乗したバッテリーEVの中でも、最速の1台といっていい。ドライブトレインは非常に洗練されており、ゆったり快適な移動も不得意ではない。

圧巻の加速力は、高速道路の速度域を過ぎても衰えない。とはいえ、パワーが制限されるスムーズ・モードでも気持ちが悪くなるほどで、少し過剰かもしれない。人工的なサウンドも、筆者には耳障りに思えた。

スイフトかスプリント、2つのモードを選ぶと、本来の819psを利用できる。ステアリングとサスペンションも、それに応じて引き締まる。

スプリント・モードを試してみたが、パワフルになる反面、快適性には明らかに陰りが出る様子。スムーズ・モードが、ほとんどの環境に適したエアになる。

市街地での乗り心地は良好。ガラス面積が大きいため視界は広く、ステアリングやペダルの反応は正確で、扱いやすく運転しやすい。ルーシッドが設定した、普段使いに適したサルーンという目標は、充分に達成されている。

意欲的に操り始めると、軽くない車重を実感する。充分に予想しやすい操縦性と反応ながら、つづら折りのカーブを楽しめる特性ではないだろう。少し抑えて滑らかに走らせれば、充足感は低くないものの、テスラ・モデル3の方が運転の楽しさでは勝る。

高速道路の巡航は静かで快適 電費も優秀

アルミホイールは19インチで、タイヤサイズは245/45。サイドウォールが比較的厚く、乗り心地へプラスに働いていた。路面の凹凸を通過しても、落ち着きが失われたり、粗野な衝撃が車内へ伝わる場面はなかった。

サスペンションの構成は、前後ともダブルウイッシュボーンで、コイルスプリングにアダプティブダンパーという組み合わせ。エアスプリングは、開発中らしい。

高速道路の巡航は、非常に静かで快適。V12エンジンを積んでいた、メルセデスAMG Sクラスを彷彿とさせるほど。

エネルギー効率は、ルーシッドの主張通り優秀。今回は積極的に320kmほどを走らせたが、駆動用バッテリーの残量は50%と表示されていた。急速充電も300kWとかなり高速。最短21分で、480km走れる電気を蓄えられるという。

エアの英国販売は未定だが、右ハンドル車は予定されておらず、可能性は低い。間もなく登場するSUVのルーシッド・グラビティは、右ハンドルにも対応予定とのこと。

北米価格は、後輪駆動のシングルモーターで430psを発揮し、1度の充電で675km走れるエア・ピュアで6万9990ドル(約1050万円)から。試乗したツインモーターのグランドツーリングは、11万900ドル(約1719万円)へ上昇する。

均質化と一線を画す革新的な電動サルーン

普段使いしやすい、高性能な4ドアのグランドツアラーへ仕上がった、エア。革新的な電動サルーンとして、訴求力は小さくないだろう。電動パワートレインの特性を活かした、魅力的なクルマが創出されている。BMW i7にも重なる印象を筆者は受けた。

ルーシッドのようなブランドが登場することで、バッテリーEV市場は、均質化の抑えられた興味深いものになる。この滑らかなボディラインを、グレートブリテン島でも目撃できる日が、遠からず来ることを望みたい。

◯:圧巻の動力性能 洗練され快適な運転体験 最高水準の航続距離
△:カーブで実感する車重 エアコンの効きが弱くなるガラスルーフ 英国で売られる可能性は低い

ルーシッド・エア・ドリーム・グランドツーリング(欧州仕様)のスペック

北米価格:13万8000ドル(約2139万円)
全長:4975mm
全幅:1939mm
全高:1410mm
最高速度:270km/h
0-100km/h加速:3.0秒
航続距離:830km
電費:7.4km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2360kg
パワートレイン:ツイン永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:112.0kWh
急速充電能力:300kW
最高出力:819ps(システム総合)
最大トルク:122.1kg-m(システム総合)
ギアボックス:1速リダクション(四輪駆動)

文:AUTOCAR JAPAN AUTOCAR JAPAN
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みんなのコメント

1件
  • rai********
    これを日本導入して、ルーシッド丸パクリクラウンを駆逐してほしい。昔の中国とやってること変わらん。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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