【試乗】走り最優先のマツダ CX-60が乗り心地を改善、より多くのユーザーに走りの良さをアピール

2024年12月、マツダのクロスオーバーSUV「CX-60」が一部改良されて登場した。2022年のデビュー以来、走りの俊敏さで定評のあるマツダらしい胸のすくハンドリングで人気となる一方、やや粗削りな面が指摘されていたが、今回の一部改良でどう変わったのか。今回は3.3L直列6気筒ディーゼルターボ搭載の2WDと、これにマイルドハイブリッドを加えた4WDモデルに試乗した。

マツダらしい「クルマとの一体感」を追求したモデル
2022年に新世代ラージ商品群の第1弾としてデビューしたマツダCX-60。エンジン縦置きFRプラットフォーム、直列6気筒ディーゼルエンジン、トルコンレスAT、プラグインハイブリッドユニットなど、まったく新たに開発した技術を盛り込んで登場して大きな話題となった。

ダウンサイジングや効率、コストダウンが叫ばれる時代の潮流に逆らってまで、走りの気持ち良さを追求するメカニズムの投入に「マツダらしい反骨心」を感じた走り屋は多かったはずだ。

もちろん電動化への配慮は忘れず、パワーユニットは3.3L直列6気筒ディーゼルターボエンジンとこれにモーターを組み込んだマイルドハイブリッドに加え、2.5L直NAエンジンには純ガソリンのほかプラグインハイブリッド（PHEV）もラインナップ。4種類のパワーユニットから選択できる。

駆動方式はFRベースの多板クラッチ式「i-ACTIV AWD」を基本に、純ディーゼル車と純ガソリン車にはFRモデルも設定される。

課題であった乗り心地を改善、さらに完成度を高める
CX-60はデビューするや、マツダらしい「クルマとの一体感」を追求したモデルとして大きな反響を呼び、販売開始からわずか4カ月で2万台の受注を記録した。その一方で一部からは乗り心地の粗さ、スムーズさに欠ける所作を指摘する声も上がっていた。

今回の一部改良はそんな指摘に対応した乗り心地の改善が主な目的で、好評の内外装にはほぼ手がつけられていない。

具体的な改良点は、フロントサスペンションのナックルの締結ポイントとダンパーの減衰力を変更。リアサスペンションではスプリングレートやダンパーの減衰力、バンプストッパーの特性、クロスメンバーブッシュの特性などの変更に加え、スタビライザーを廃止。スプリングレートをソフトにしてダンパー減衰力を高め、入力を受け止めるように改められた。

また、トルコンレスの8速ATのシフトクオリティが高められ、スムーズなシフトが行われる対策が施された。さらにパワーステアリングの制御も操舵フィールを最適化する方向でチューニングされ、4WD制御もサスペンションの変更にともない調整された。

こうした改良により、実際の乗り心地や振動、異音、ギクシャクした動きはかなり改善されている。サスペンションが全体的にリファインされて、うねりの多いワインディングロードでの揺さぶられ感や荒れた路面での微振動、大きな入力での突き上げ感が減少し、巧みなボディコントロールで乗り心地の悪さが気になるほどではなくなった。

2WDのベーシックモデルでも、しなやかな乗り味
トルコンレスの8速ATも少しゆっくりとつながるイメージで、街中走行のレベルではスムーズに、スポーティに走らせればダイレクト感のあるものになっている。

それでいて相変わらず直列6気筒らしいスムーズさと吹け上がりの鋭さは魅力的で、FRプラットフォームならではの素直な回頭性が味わえる。注意深く見れば、まだ完全に粗さが払拭されたわけではないものの、これらも含めて、これがこのクルマの個性と考えていいのではないかと思う。

今回は2WDの3.3L直列6気筒ディーゼルモデルと、4WDの3.3L直列6気筒ディーゼルマイルドハイブリッド車に試乗することができた。2WDの3.3L直列6気筒ディーゼルの「XD Lパッケージ」は、発進加速こそ少し鈍いが、1500rpmから最大トルク500Nmを発生してくれるので低速域から力強いし、車重が1820kgと軽いのでワインディングでは軽快なハンドリングを見せてくれる。

一方の4WDの「XD ハイブリッド プレミアムモダン」は、モーターのアシストが効いて発進からスムーズ。ハイブリッドと4WDシステムを搭載する分、車両重量は1950kgとやや大きく、「XD Lパッケージ」ほどの軽快感はないが、燃費は20.7km／L（WLTCモード）と良好だ。

2WDの3.3L直列6気筒ディーゼルモデルか、4WDの3.3L直列6気筒ディーゼルマイルドハイブリッド車か、どちらを選択するのか悩ましいところだが、これは好みで選べばいいだろう。個人的には最後に少しの時間だけ試乗した新グレード「XD SP」にも好印象を抱いた。2WDのベーシックモデルだが、車両重量は1820kgとさらに軽く、しなやかな乗り心地が実現されていた。

課題であった乗り心地を改善したマツダ CX-60が、これからさらにエンジン縦置きFRプラットフォームの魅力を発揮し始める。（文：松本雅弘）

マツダ CX-60 ラインナップ＆スペック
■マツダ CX-60　モデルラインナップ（車両価格は税込み）
●2.5ガソリン
25S Sパッケージ：3,267,000円
25S Lパッケージ：3,795,000円
25S エクスクルーシブモード：4,097,500円
25S Sパッケージ（4WD）：3,492,500円
25S Lパッケージ（4WD）：4,020,500円
25S エクスクルーシブモード（4WD）：4,323,000円
●3.3ディーゼルターボ
XD SP：4,125,000円
XD Lパッケージ：4,224,000円
XD エクスクルーシブモード：4,565,000円
XD SP（4WD）：4,350,500円
XD Lパッケージ（4WD）：4,449,500円
XD エクスクルーシブモード（4WD）：4,790,500円
●3.3ディーゼルターボ ハイブリッド
XD ハイブリッド エクスクルーシブスポーツ（4WD）：5,307,500円
XD ハイブリッド エクスクルーシブモダン（4WD）：5,307,500円
XD ハイブリッド プレミアムスポーツ（4WD）：5,670,500円
XD ハイブリッド プレミアムモダン（4WD）：5,670,500円
●2.5ガソリン プラグインハイブリッド
PHEV Lパッケージ（4WD）：5,700,200円
PHEV プレミアムスポーツ（4WD）：6,462,500円
PHEV プレミアムモダン（4WD）：6,462,500円

マツダ CX-60 XD Lパッケージ（2WD） 主要諸元
●全長×全幅×全高：4740×1890×1685mm
●ホイールベース：2870mm
●車両重量：1820kg
●エンジン：直6 DOHCディーゼルターボ
●総排気量：3283cc
●最高出力：170kW（231ps）／4000－4200rpm
●最大トルク：500Nm（51.0kgm）／1500－3000rpm
●トランスミッション：8速AT（トルコンレス）
●駆動方式：FR
●燃料・タンク容量：軽油・58L
●WLTCモード燃費：19.7km／L
●タイヤサイズ：215／50R20
●車両価格（税込）：427万9000円

マツダ CX-60 XD ハイブリッド プレミアムモダン 主要諸元
●全長×全幅×全高：4740×1890×1685mm
●ホイールベース：2870mm
●車両重量：1950kg
●エンジン：直6 DOHCディーゼルターボ+モーター
●総排気量：3283cc
●最高出力：197kW（254ps）／3750rpm
●最大トルク：550Nm（56.1kgm）／1500－2400rpm
●モーター最高出力：12kW（16.3ps）／900rpm
●モーター最大トルク：153Nm（15.6kgm）／200rpm
●トランスミッション：8速AT（トルコンレス）
●駆動方式：4WD
●燃料・タンク容量：軽油・58L
●WLTCモード燃費：20.7km／L
●タイヤサイズ：215／50R20
●車両価格（税込）：572万5500円

マツダ CX-60 XD SP（2WD） 主要諸元
●全長×全幅×全高：4740×1890×1685mm
●ホイールベース：2870mm
●車両重量：1820kg
●エンジン：直6 DOHCディーゼルターボ
●総排気量：3283cc
●最高出力：170kW（231ps）／4000－4200rpm
●最大トルク：500Nm（51.0kgm）／1500－3000rpm
●トランスミッション：8速AT（トルコンレス）
●駆動方式：FR
●燃料・タンク容量：軽油・58L
●WLTCモード燃費：19.7km／L
●タイヤサイズ：215／50R20
●車両価格（税込）：458万1500円

[ アルバム : マツダ CX-60 はオリジナルサイトでご覧ください ]

Comments

[tak********]

初期型の不具合を２年掛けて改善した80に乗ったら、全てにおいて上質な質感で驚きました。
作りは同じでコンパクト軽量なのはで運転楽しそう

[tondemo310]

初期の尖ったサスを好む人も居る。しかし今は多様性が認められない時代。軽かトヨタ以外に乗っていると変人扱い。軽もスーパーハイト以外は変人扱い。多様性とはLGBTのこと。ホモやレズを気持ち悪いと思う自由は無い。
CX-60は、インフルエンサ―が「此奴をイジメろ」と指定したイジメられっこ。たとえボランティアをやっても「売名行為」、テストで100点取れば「ガリ勉」、終いには「合法だが不適切」で殴る蹴るされる。
いずれマツダは国内販売を終了する。マツダディーラーはトヨタディーラーになる。その代わり、既存のマツダ車は現在のトヨタディーラーでもアフターを受けられる。